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毛先で遊ぶ

ファッションには疎いので正確ではないかもしれないが、髪の毛先をカールさせたり、グラデーションに染めたりすることを「毛先で遊ぶ」というようだ。ヘアアレンジについて語りたいのではない。これを「遊ぶ」と表現したセンスに感動している。

Googleで英訳すると play with hair となる。毛先という情報が損失しているのでおそらく間違っている。英語にはこれほど気の利いた表現がないか、まったく別の言い回しになるのだろう。

僕は高校生の頃から自分で髪を切っている。校則に引っ掛からなければ十分で、そのくらい髪型には無頓着だった。だから自分の毛先で遊ぶこともないし、誰かが毛先で遊んでいてもその見た目の良し悪しはわからない。

でも、当人が楽しんでいることはわかる。だって遊んでいるのだから。人間が遊ぶのはそれが楽しいからだ。誰かに強制されているのではない。内から湧き上がる楽しい感情の発露として遊びに興じている。

実際には寝癖が直しきれなかったとか、無感情で流行に乗ってみただけとかの楽しくない事情があったりするのかもしれない。それでも「毛先で遊ぶ」という表現を知っていると、少なくとも傍目には楽しそうに見える。

この言葉は世界をほんの少しだけ幸せにしている。