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優しいカモ

↑前回のつづき

少し脱線するがタイムリーなので触れておくと、「頂き女子」のネーミングセンスやそれを自称するメンタルが僕の想像を大きく超えていて、街でサイドカーを見かけたときのような感動がある。

という話ではなくて、事のあらましが弱くて優しい世界を象徴しているなと思った。

困っている人がいれば助けたい。もちろん本心ではあるのだろうが、この気持ちは道徳観によって増幅されてもいる。弱者には優しくするものだという社会規範が背中を後押ししている。

詐欺師にとってこれは追い風にほかならない。弱っている姿を見せれば簡単に相手の優しさを引き出せるのだ。弱者男性を狙った恋愛詐欺ともなれば性愛への渇望にもつけこんでさらにチョロい仕事になる。

りりちゃん自身も弱い。父からはDV、学校ではいじめ、母からは冷遇。優しさを求めた相手はホストで、代償としてお金を貢いだ。自分が支えなければ彼はNo.1ホストになれないと考える背景にも弱者に対する優しさの構造がある。

弱いから優しさを求め、弱いから優しさを与えられる。それが肯定される世の中だから悪用する人も現れる。

いっそ弱者を助けてはいけないルールでもあればと思ったが、それだと脆く傷つきやすいものがただ壊れるだけの世界になってしまう。

↓次回につづく