見出し画像

広く深く、クライアントに寄り添って自分を拡張していく─鈴鹿岳宜(Webディレクター)

こんにちは。今回のnoteは、IN FOCUSで共に働くメンバーへのインタビュー。登場してくれるのはWebディレクターの鈴鹿岳宜です。

これまでにクラウド人材管理システム「カオナビ」のコーポレートサイトや「kaonavi Town」、成田空港免税店「AKIHABARA」のメディアサイト、CMや映画・ドラマの楽曲制作を手掛ける「Ongakushitsu Inc.」のWebサイトといった数々のプロジェクトでデザイン・ディレクションを手掛けてきた鈴鹿に、制作への向き合い方やインプット方法について話してもらいました。


様々なアートを学び、Webデザインで活かす道へ

ーWebチームの中でどんな役割を担っていますか?

WebディレクターとWebデザイナーの兼業です。案件によって携わる領域は異なりますが、Webサイト構築における要件定義・コンセプト立案から、フロントエンドデザインと公開までの進行管理・コミュニケーションを担当しています。たまに3DCGを作ったり、イラストを描いたりもしています。

ー現在の仕事につながる領域に興味を持ったきっかけは?

元々絵や漫画を描くことが好きでした。東京藝術大学の美術学部芸術学科に進学し、油絵・彫刻・日本画など幅広い表現技法に触れていました。クレイアニメーションの部活動にも所属していたのですが、最近手掛けている3DCGデザインやアニメーションはその時の経験が活かされているかもしれません。

ーその頃からWebの道に進もうと考えていたんですか?

いえ、当時は美術館やギャラリーのキュレーターなど、作る人を傍から支える立場になるんだろうなと思っていました。パソコンも苦手で(笑)。
大学卒業後は広告制作会社で、テレビCMなど広告のデザイナーとして勤務していました。ただ、2010年代半ばに入るとWeb領域の市場が大きくなってきたので将来を考えてデジタル領域の知見を高めたいと思い、転職しました。
その後はデジタルマーケティングの会社にアートディレクターとしてジョインし、金融・保険・医療系のコーポレートサイトなどの大規模なWebの構築にあたっていました。

ーIN FOCUSはどんなきっかけでジョインしましたか?

前職では制作物のバリエーションがそこまで多くなかったことから、より幅広い表現を追求できる環境に進みたいと考えていました。そんな時、代表の井口とたまたま知り合い、飲みに行った時にその話をしたら声をかけてもらえたんです。
これは後々知った話なのですが、大学時代、アート活動の延長線上で音楽の現場に出入りしていたのですが、実はその頃通っていたクラブの店長が井口さんだったみたいです。その時は知らなかったのですが、今考えると昔から近いところにいた存在だったのかもしれません(笑)。

ー実際に仕事をしてみて、IN FOCUSをどのようなチームだと感じますか?

決まったやり方でシステマチックに仕事を進めるというよりは、案件によって柔軟に進めていくイメージです。関わるメンバーによって自分の役割も変わってきますし。入社当初はマニュアルがなくて辛い時期もあったのですが(笑)。自発的なアイデアや工夫を許容してくれる環境なので、やりがいと面白さを感じています。

ひとつひとつのモチーフから「ディープでカオスな日本」を

ー担当した案件の中で印象深いものを教えてください。

まずは、空港免税店「AKIHABARA」のWebディレクション・3DCGデザインです。「ディープでカオスな日本」というテーマをWebサイト上で表現できたことはとても良い経験になりました。
「ディープさ」「カオスさ」「日本らしさ」を表現するために伝統的な表現から現代のサブカルチャーまで、それぞれの歴史や美学を紐解きながら選定し、モチーフへ落としこんでいきました。
また実店舗「AKIHABARA」の店内装飾に使用されている「三面ねぶたの山車」や招き猫、店舗の壁に描かれている忍者のキャラなどオリジナルのモチーフも加えることで、クライアントならではの「らしさ」も表現しています。映像チームが宇宙から日本の奥へと没入していく世界観をムービーで表現してくれたので、よりカオスさが具現化できたかもしれません。(中島くんや北川さん、田中さんのアイディアにも実際相当助けられています。)
クライアントの要望に寄り添いながら、社内の関係メンバーの知識や経験と照らし合わせたことで初期の想像を超えた表現を導き出せたような気がします。

日本の現在と過去が混ざったカオスな世界観
店舗の象徴的なモチーフであるねぶた
3Dの制作データの一部

手間をかけて生まれる、あたたかな音楽体験をWeb上に

「Ongakushitsu Inc.」のWebサイトリニューアルも印象に残っています。コンセプト立案からリリースまでを担当した案件です。
「Ongakushitsu Inc.」は、CMや映画・ドラマの楽曲制作をされている会社。音楽制作に対してのイメージや競合他社の雰囲気から、最初は抽象的でジェネラティブな表現を想定していたんです。だから最初は「音が溢れて、音楽が生まれ続ける場所。皆様のための『音楽室』になりたい。」という会社のコンセプトが引っ掛かっていて。
制作されている音楽を聴き込んだところ、実際の楽器の音や人の歌声など、揺れやクセがあってあたたかい「生音」へのこだわりを持たれていることを知りました。代表やスタッフも皆ミュージシャン。純粋に音楽にひたむきな人が集られていて、学校の音楽室のように「音が生まれ続ける場所」で…。そんな「らしさ」をどうしたらデザイン上でも表現できるかなと。
そこで、制作実績を映像だけでなく音源でも視聴ができるようにデザイン。音楽を丁寧に聞いてもらえるよう、音声プレーヤーのUIから再生バーを無くしたり、ボタンを昔のポータブルプレーヤーのように小さめにしたり、あえて少し不便なUIを意識しました。
現在より不便だったが故に、一つの曲を手間をかけて何回も聴いていた、自分の子どもの頃の音楽体験をWeb上で追体験できるように目指しました。
(エンジニアの小原くんが実装上で少し機械的でおぼつかない感じの挙動を表現してくれたと思います。)

WORKS画面をスクロールするとちょっと懐かしい感じのミニプレーヤーが出現
オフィス写真の撮影は杉田知洋江さん
端的なWORKS詳細画面、横方向への移動の際の挙動にも注目ください

興味のある分野を深掘り、共鳴できる引き出しを広げる

ークライアントの「らしさ」を表現するために大切にしていることはありますか?

相手をよく観察して、求めているものの本質を見つけること。そして、その本質に寄り添った表現ができるよう、自分の知識や表現の幅を広げていくことです。
例えば「今回はオシャレな感じで」とか「そこもっとかわいくできますか?」とか制作の現場ではよく耳にするのですが、一口に「オシャレ」「かわいい」と言っても抱くイメージは人それぞれ。認識のすり合わせは簡単ではありません。
その中で自分にできることは、ブランドや企業が元々持っている本質を観察すること。そして見つけた本質と目指していくトンマナを照らし合わせて、自分がこれまで観てきたものの中で共鳴する表現の引き出しを広げていくことかなと思います。

ー引き出しを広げるために意識していること、チェックしているものはありますか?

人がおすすめしてくれたもの、好きだと言っているものには積極的に触れるようにしています。最近だとエンジニアの池くんからはスニーカー、デザイナーの渡邊さんからはKポップ、経理の児玉さんからはミニシアター系の映画と、それぞれ影響を受けて深堀り中です。
あとは最近、ファッション熱が再燃していて。alpha代表・クリエイティブディレクターの南貴之さんやATONのデザイナーの久崎さんのインタビューなどを読んだり聞いてたりしています。
素材へのこだわり、土地の由来から調べて店舗を作っていく話とか、面白いんですよね。そういった信念ある作り手さんのお話は自分の仕事にも還元できるなと思っています。

ー今後やってみたいことを教えてください。

ブランディングのお仕事をやってみたいです。今は定義していただいたものを元にサイト構築やデザインに落とし込んでいくことは多いんですけど。クライアントのパーパスやビジョン、ミッション、タグラインみたいに思想を形づくるところから並走できれば嬉しいですね。

Profile-Takenobu Suzuka
2020年2月からWebディレクター・デザイナーとしてIN FOCUSに所属。
音楽はオルタナティヴなR&B、アフロビーツ系が最近のお気に入り。
おすすめはTinashe・Tyla • Little Simz・Sol Child・Joey Bada$$(PRO ERA周辺)など。SpotifyやCOLORS SHOW で幅広く探索中。
@tknbszk_works

インタビューシリーズ過去回はこちらから。

Twitter
https://twitter.com/infocus_inc
Instagram
https://www.instagram.com/in_focus_inc/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?