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しーらんぺったんゴーリーラとI don't know

「ただいまぁ!」

はぁはぁと肩で息をしながら、ドスンと豪快にランドセルを置いて今から遊びに行ってくる!と小1三女。

私が休みの日は学童はお休みなので、友だちと近所の公園に行ったり、家を行き来したりが楽しいようだ。喜ばしいことだが、まだスマホも持ってないし少し不安。

「今日はどこ行くの?」

「なるみちゃん家」

「なるみちゃん?ぴっちり前髪の目クリクリっとしたカワイイ子?」

「そうそう!」

「で、なるみちゃんの家はどこにあるの?」

娘は窓の外を見ながら透き通った大きな声で

しーらんぺったんゴーリーラ



突然なんやねんな君。
どういう意味やねん。

家なんて皆目見当もつかずわからんのだよ。
ってことか?

それとも
お前みたいなゴリラにはわからんでいいのだよ。
なのか?

いや両方か。

聞いてみると保育園で仕入れたようで、あまり意味はない言葉遊びらしい。調べてみると絵本が語源のようだ。

地域によっては、しーらんぺったんキュウリになるんだって。そうかそうか、沼落ちしてしまいそうだから考えるのをやめよう。

威勢のいい「ゴーリーラ」で飛んだ記憶を手繰りよせ、本題に戻る。

なるみちゃんの家を知っている友だちと一緒に行くそうだ。しってるぺったんおともだちなら大丈夫か。17時までに帰ってくるように伝えて見送る。

が……暗くなっても帰ってこない。心配になって何度も窓の外に目をやる。15分過ぎたころに走って帰ってくる姿が見えてホッとした。

「ちょっと遅くない?時間わからんの?」

しーらんぺったんゴーリーラ



出た!おい出たよ!逃げにも使えるんか。結構シリアスな雰囲気だったはずなのに。なかったことにしようとしている…。あかん、ペースにはまったら負けや。

暗くなったら危ないし、心配だからお友だちの家でも、ちゃんと時間を見て余裕をもって帰ってきてね。と伝えると「わかったー」と言って、すぐにディズニーチャンネルを見始めた。

ほんまにわかっとるんかいな……でもどこか愛嬌のある、しーらんぺったんのフレーズが頭から離れない。

何だ…、この既視感?デジャブ?


ふと義兄さんの顔が頭に浮かんだ。

姉の旦那はイタリア人。夫婦の会話は英語である。私の単語レベルのカタコト英語を姉が通訳し話すのだが、彼はあまり興味のないことや知らないことを聞かれたときは躊躇なく

I don't know

それはもう刀で切るようにスパッと答える。出会った当初は、会話ひろげようと思ってるのにナニさ?と思っていた。でもつきあいが深まるにつれて、だんだんとI don't knowが心地よくなってきた。

なまじっか歳をとると「わからない、知らない」ってなんだか言いにくくなるし、少しでも会話の糸口を無意識に見つけようとするものだ。

何でもかんでもそれを求める必要はないし、答える必要のないことや、忖度しない方が良いこともきっとたくさんあるはずだ。

義兄さんのI don't knowは肩肘張ったコミニュケーションやめようぜのメッセージ。姉さんにも同じように飛んでいく。

余計なことを考えないから沈黙もあまり気にならないし、その時に感じたことを素直に伝えればいいので、それは心地良いはずだ。

そして毎日、I love youって姉さんに伝えてくれる義兄さんは最高のイタリアーノ。

しーらんぺったんゴーリーラも正直で潔い感じがいいのだろう。流行りの「知らんけど」より責任感があっていいし、私も胸を張って I don't knowと言える大人でありたいものだ。


昨晩、娘にしーらんぺったんゴーリーラって面白いね。学校でもみんな言うの?

と聞くと、今までにない勢いで

しーらんぺったんゴーリーラのケツのあなッー!yeah♪


明らかに不快だ


知らんわボケ!みたいに一言多いだけで不快になることもあるので、よい子のみんなは使い方に気をつけようね。

I don't know ゴリラ🦍

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