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夏のブラショフ(ルーマニア)旅

2023年8月27日から8月30日まで、ルーマニアのブラショフに滞在しました。ルーマニアは同じくトランシルバニアに属するシビウに続いて2回目。なんだかルーマニア(というかトランシルバニア?)の沼にハマってしまいました。


【9つの博物館】

ブラショフは大きくて有名な博物館や美術館があるというより、小さい博物館・美術館が街中に点在しています。1つ1つが小規模で疲れずに見て歩けることも利点ですが、テーマごとにピンポイントになるのでわかりやすいのも長所だと思います。そして梯子するとブラショフの歴史絵巻が自分の中で完成するのも楽しいです。

ミュージアム・パス。最初の博物館で購入。なんとたったの5レイで9つの博物館を見て回れます(写真撮影料は各博物館で別途25レイ、もしくは撮影禁止、もしくは「撮ってもいいけど1,2枚だけね」とか)

郊外にあるものもありすべては回れませんでしたが、今回行ったものを紹介したいと思います。
・Muzeul de Artă
美術館です。絵画が多めで、様々なスタイルの作品を鑑賞できます。どの好みの人にも、そして美術館に普段あまり縁のない人もみんなお気に入りの作品が見つかるかと思います。
・Muzeul de Etnografie
民俗博物館です。主に民族衣装や伝統の布製品の展示がメインです。個人的にはブラショフの博物館の中で一番のお気に入りです。

ミサンガのような要領で編むらしい。横に別のを連結させたりもするらしい。
三つ編みを複雑にしたような動きで木の棒を動かして編むそう。館内に実演動画あり。
こういうのが出来上がるらしい
こっちはネットを張る刺繍っぽいスタイル
完成品例
いろいろな編み方織り方を見た後に民族衣装を見ると、あっあの技術がここに使われてる!と発見多し。

・Muzeul Civilizației Urbane
近世・近代の都市生活についての博物館です。この時代になると街の人々の服装もシシィっぽくなるというか、ウィーンやブダペスト、ブカレストの流行にのっとったものになっていたようです。それでも民族衣装はアイデンティティの一部として残っていたとか。調度品などで当時の邸宅や仕立て屋の様子も再現されています。

お屋敷の様子
仕立て屋さん。お洋服がもう民族衣装な感じではない。

・Casa Sfatului
広場にある旧市庁舎内にある博物館です。テーマはブラショフの歴史。ザクセン人(ドイツ人)がやってきたことから、チャウシェスクまで一通り。シビウと違ってブラショフではザクセン人が元々いたルーマニア人(とハンガリー人もかな)を追いやって都市を形成していったそうです。追いやられた人々はスケイ門などのある街のはずれに住むことになったとか…。
・Bastionul Țesătorilor
旧市街の中心部から歩いていくと、城壁と要塞が見えてきます。そこ(織工の要塞)にある博物館です。中世のブラショフを再現した大きなミニチュアがあり、中世都市ブラショフの様子が解説されています。ギルドの義務や働き、都市の大きな出来事(戦役や火災)など。個人的に印象的だったのは人口動態で、ルーマニアの都市なのにルーマニア人の割合が多くなるのはかなり最近(たしか20世紀入ってから)だったということ。それまではドイツ人やハンガリー人のほうが多かったようです。

城壁の内側にある中庭のような空間。右手(写真外)の小さな建物に展示があります。

・Casa Mureșenilor
人物(一族)についての博物館らしいけど、誰?と思いつつ入場。職員さんが英語の説明パンフ(紙をラミネートしたもので、退出時に返却)を渡してくれてやっと理解。教員を務めたりルーマニア語の新聞を発行したりした知識人一族Mureșanu家(Mureșeni家?多分性数格の変化か何かしてるようで形がよくわからない)についての博物館でした。調度品も多く展示されています。1850年代とかそれくらいの時代の話で、長らくザクセン人が街を仕切っていた歴史があり近代に入ってもルーマニア人の割合が決して多くはなかった状態での「ルーマニア語の」新聞というところにグッときますね。

【タンパ山】

ブラショフは旧市街の広場からすぐそこに聳える山が見えます。というか、山の谷間にブラショフがある。旧市街から山のほうに歩いていくと、まずは山のふもとのお散歩エリアが現れます。そこからさらに進むとケーブルカーの駅に辿り着きます。グーグルマップを信じてよし。

市街地から山へと通じる道。城壁を通って中世都市の外へ。この道の坂がすでにかなりのもの。
ケーブルカーまでの道のり。この段階でもけっこう歩くし登る。

ケーブルカー、月曜日はやってないとの前情報でしたが、ブラショフ滞在の1週間前にグーグルの営業時間が更新されていて月曜日も他の曜日に比べると短時間ながらやっているとか…で実際やってた。ここは行く直前もグーグルマップとかで営業時間を確認しておいた方がよさそうです。ちなみに往復で30レイ。歩いて登ることもできるようですが、ポンコツ体力なので元からケーブルカーの一択。

ケーブルカーからの景色。

ケーブルカーで登り切ったら、頂上駅を出て右側の道を歩いていきます(Belvedereだったかな、と標識がある)。地味にアップダウンしながら山道を歩きます。すると見えてくるのはこの看板(裏手)。

街のいたるところから見えるハリウッド風Brasov看板の裏側

この看板の先に展望台になっているエリアがあり、ブラショフの街を一望できます。後述する広場や塔、教会が見えます。

中世都市とっても、他の多くの都市とは違い、ざっくりとでも円形をしているというわけでは全くない。本当に谷間に生えてる感じ。

頂上の展望台は風も吹き、とても気持ちいいです。これまでに見たことろ、これから行くところをここから探すのも楽しいですよ。

【スファトゥルイ広場】

ヨーロッパの都市と言えば、広場、教会、城壁。ブラショフももれなくちゃんと3点セットが揃っています。

広場とその真ん中にある旧市庁舎(前述の博物館Casa Sfatuluiがある)

飲食店が多く、昼も夜もたくさんの人でにぎわっていました。ここから写真右手の方向を見ると圧倒的タンパ山が聳え立っています。

【2つの教会】

旧市街の中には、有名な黒の教会Biserica Neagrăともう一つ、ちょっと隠れた教会Adormirea Maicii Domnuluiがあります。
まずは黒の教会から。こちらはルター派の教会です。

教会や大聖堂は色々見てきたけど、その中でも天井が高い気がする。
絨毯
もちろんあります、オルガン!
説教壇

入館料は20レイ。教会内の絵や設備(祭壇や説教壇など)についての説明の他、宗教改革についても多くが語られています。もはや半分博物館です。

お次は正教の教会Adormirea Maicii Domnuluiへ。広場のKFCの隣にあるこちらから入ります。

ドアの上と鐘楼を見ると教会だとわかる
廊下を抜け
中庭を通ると
教会内部が出現します
天から見つめられている……
説教壇とステンドグラス
入り口側

こちらは何と入館料なし。寄付ボックスがあるので気持ちをねじ込んでいきましょう。1レウ(20ユーロセント)から札なのに投入口は明らかにコイン仕様……。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            

【2つの塔】

白の塔と黒の塔、ブラショフには2つの塔があります。どちらもかなり有名な模様。なお両者ともかなり近くにあり、森のお散歩道で繋がっています。
まずは黒の塔から。

黒の塔の外観(カロリーメイト……)
塔の麓の城壁とお散歩道と小川
黒の塔からの景色。真ん中は黒の教会、左端は旧市庁舎。

残念ながら棟の展望台は閉まっていましたが、その手前からの景色もなかなか。
次は白の塔です。

急な階段の先に見える塔。これでも中腹。
白の塔の外観(スコーン……)
塔からの景色。同じく左に旧市庁舎、右に黒の教会。山の割れ目はケーブルカー。そして薄っすら見えるハリウッド風Brasov看板。
この通り階段がかなり急でしんどいので、黒の塔から伸びるお散歩道をお勧めします。

【ルーマニア料理】

お待たせいたしました。ルーマニアご飯の時間です!

レモネード。ルーマニアだと種類も豊富でよく見かけます。
肉団子のスープ(チョルバ)。じっくり煮込んだ優しいお味。
サルマーレ。お肉のキャベツロール。右の黄色いのはプチプチモチモチのママリーガ。
ミチ。見た目を裏切らない、とても肉!な料理です。
パパナシ。でかい!だがしかしお上品な甘さと酸味でペロリ。

【まとめ】

閑静な小さな街に、見どころと学びがギュッと詰まっていました。個人的にはシビウとの共通点や違うところを見つけたり、そういえばユダヤ人は?と疑問が出たり、トランシルバニアの沼に入ってしまったようです。あと、どこの国や地域の料理も美味しいけれど、ルーマニア料理は特にオススメです。

もしブラショフに興味を持ったなら、ぜひこちらからシビウもどうぞ!

この後は電車でブカレストへ出て一泊し、イスタンブール行きのボスフォラス急行に乗ります!

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