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地方公務員(事務系)が宅建資格を持つことの意義を考える

この記事では、地方公務員(事務系)が宅建(宅地建物取引士)資格を持つ意義とかについて話そうと思う。
筆者は政令指定都市に勤務していた平成25年に当時「宅地建物取引主任者」と呼ばれていた資格を取得した。
別に不動産会社に転職したいとかではなく、なんとなく国家資格が取りたかったというのが正直なところで、独学で3年ほど取り組んだ。明確な動機がなく、モチベーションもなかったので、2回も落ちてしまった。最後にちょっと今回は本気出そうと思ってなんとか合格した。
それから10年近く経とうとしているが、宅建の資格が給料の向上に結び付いたとかそんなことはない。

でも、「取ってよかった」と心から思える。

なぜそう思うのかをシェアしたい。宅建取得へのモチベーションにつなげてもらえたら幸いだ。

1.配属先で役に立った話

政令市や県庁、民間企業でいろんな部署を経験したが、以下の部署で役に立ったというか、取ってよかったと思えることがあった。

(1)納税課(徴税)
納税課とは税金の滞納をしている人の相談に乗ったり、払わない人の財産を差し押さえして徴収する部署だ。筆者は、しょっちゅう滞納者の不動産を差し押さえしていた。その際、できるだけ現地を見に行って、不動産登記簿を事前に法務局で取得して、差押え登記を嘱託するのだが、宅建の時に勉強した不動産登記が役に立つことがあった。周りが登記簿の「表題部」とか「権利部」とか何それ?とか興味なさそうに処理しているのを横目に、なんというか「周りより少し理解できてる俺」みたいな優越感を感じていた。登記簿と固定資産税の台帳を見比べたり、このくらいの年数で地価がこのくらいだと競売じゃこんなものなのかとか、不動産というものに一層興味を持てるようになった。そんな知識的なアドバンテージが、仕事に少し面白さのエッセンスを加えてくれた。もちろん、滞納者との折衝は骨が折れたが・・笑

それから人の財産を差し押さえたり、破産した人の税金の徴収を停止したりする仕事だったので、「民法」の知識も少なからず役に立ったのではないかと思う。この点は、採用試験のときに腐るほど民法を勉強したので宅建以前から知識はあったのだが、初学者ならきっと役立つ場面もあるはずだ。

(2)商業振興課
地域への企業の進出などの際に、字図や都市計画図なんかを見る機会があって、用途地域とか都市計画法、また開発許可の状況なんかについて他課や設置者の協議に入った際は理解が早かったと感じた。
農地転用がどうだとか、普通に会話に出てくるのでこれは宅建の知識がないとなんとなくしか理解ができないまま話していただろう。
課的には、補助金がらみで不動産登記簿より、商業登記簿を確認することが多かったが、企業や個人の資産という点で不動産に触れる機会もあり、宅建を持っているということが自信につながったことは確かだった。

(3)財政課
ここは意外かもしれないが、土木予算を担当していたので、用地収用の決裁が原課から上がってくるので、不動産の知識が必須だった。不動産鑑定士が作成した鑑定書や不動産登記簿が起案とセットになって回ってくるので、課長に説明する際に宅建の知識が大いに役立ったことを覚えている。

2.役所で役立ちそうな課

ぱっと思い浮かんで、即座に役立ちそうな課を列挙してみた。
・固定資産税課(まさに不動産なので)
・都市計画課(都市計画法も試験科目)
・企業立地課
・土木課(事務系でも窓口対応など仕事の幅は少し広がるかも?)
・建築課
・道路課
・用地課(収用事務ではきっと役立つはず!)
・まちづくり課
などなど・・・
異動が多い地方公務員なら一度は経験しそうな部署だ。
宅建があれば仕事に少し自信を持って取り組めるようになるかもしれない。

3.人事評価で役に立つ?

正直に言うと、人事評価で役にたったとは思わない。
ただ、所属長が人事面談の際に「お、君、宅建持ってるのか!仕事しながら取るなんて勉強家やな~」などと話が盛り上がったのでマイナスにはならないだろう。

4.公務員から民間企業への転職で役立つのか

これは自己の経験から不動産系の仕事に就くつもりがなくても役に立つことがあると思う。

まず、転職サイトに登録すると、
宅建資格を持ってるだけで元公務員でも不動産系の会社から結構オファーが来る。
不動産会社に行きたいわけではなかったので無視していたが、
転職エージェントからは「受けてみませんか」と提案を受けたことさえある。なので、不動産会社に転職したいのなら必須の資格だ。これは他言無用だろう。

じゃあ、不動産会社以外で役に立ったことがあるかというと、

面接でのアピール材料として役に立った。

筆者は自分のアピールポイントを「与えられた仕事をより楽しくするために資格取得などに励んだ」などと言っていたが、その証左が「宅建」だったわけだ。
面接官も「仕事しながら取るなんてすごいですね」とか言っていたことを思い出す。

結構そんな感じで公務員から民間企業への転職の際のアピール材料になったので、公務員から転職を検討している人は取得して損はないと思う。

5.おわりに

宅建は法律系国家資格でも簡単などと言われるが、とはいえ「国家資格」である。賞状を部屋に飾ると景色がよくなるし、履歴書の空白を埋めることもできる。公務員辞めてもいざとなったら不動産屋で働けるという謎のセーフティネット的な安心感も得られる。

取って損はないですよ。

是非取ってみてください。少し世界が広がると思う。

標題画像:Harry StraussさまによるPixabayからの画像

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