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香りだけであなただとわかる

春本番、待ってましたとばかりにいろんな花が咲き乱れて、風景も人もカラフルに。なんとなく春は心が華やかになる時期。
やわらかな風にのって、ふわりととどく花の香り。
すれ違いざまに、鼻先をかすめる、懐かしい香り。

さつき待つ 花橘の香をかげば 昔の人の 袖の香ぞする
(古今和歌集/伊勢物語の第六十段 花橘)

いわゆる「ブルースト効果」と言われるもので、平安時代の昔から香りは私たちの記憶と切っても切れない関係だったようです。

とは言え、良い香りばかりでもないもので、香りとともに自分が紐付けされるのであれば、良い香りの記憶とともに残るように努力しないと、二日酔いの酒臭い、居酒屋の匂いがしみついた香りと自分がフィットしてしまうということもあるわけで。笑

この匂い=あなた、という決定打はある意味イメージやブランドづくりに直結するニューロマーケティングとしても最近、注目され始めています。
アロマ大好きの私としても、ここは見落とせないポイントです。

あなたは「香り」から、誰を思い出しましたか?
私は白いテッポウユリとはごろもジャスミンの香りをかぐと、なくなった母を思い出します。その母は、白いテッポウユリの香りになくなった自分の父(私の祖父)を重ね、毎年花を咲かせていました。
母の香りの記憶が、形を変えて私に受け継がれたと言うことかな。
香りをきっかけに胸がキュンとしたり、苦笑いしたり、涙ぐんだり、懐かしかったり。

伊勢物語のお話は、女性としてこのオチはどうなの!?と思うところですが、歌だけ見るといとをかし、ですね。
花橘も、いい香りがします。もうすぐ、その季節ですね。

では今日はこのへんで。
ごきげんよう。

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