なぜ「ヴァナディース事変」と呼ばれるのか

プロローグの事件は「ヴァナディース事変」と呼ばれている

事変(じへん)とは、広範の非常事態や騒乱のこと。「事件」よりも規模が大きい。宣戦布告なしの戦争状態や、小規模・短期間の国家間紛争にも用いられる。
狭義では、警察力で静め得ない騒乱をさす。

Wikipedia

以前この話をしたら「ヴァナディースは国じゃないのに事変と言われてるからおかしい云々、だからカルドは生きててどうのこうの、プロスペラは二人いて一人はカルドでどうの」と言われたから面倒臭くなって放っておいた

あの世界に政府はあるらしいけど影も形も見えず、国家も出てこないので、広範の非常事態と宣戦布告なしの戦争状態、この点で事変と名付けられたと思われる

が「ヴァナディース事変」だ。フォールクヴァングが襲撃されたのに、ヴァナディースはオックスアースに買収されたのに、なぜかヴァナディース事変、という名前がついている、これはどういうことなのか

まず、その後ヴァナディース関係者も「魔女」と呼ばれ、監査組織カテドラルに追い立てられたことは、いくつかの情報から想像に難くない
そこまで「魔女への鉄槌」を徹底したのだから、全ての罪を魔女であるヴァナディース機関に押し付けるのも当然だ、まして死人に口なしである

何故フォールクヴァング事変にならなかったのか?事変と名の付くもののほとんどは、それが起きた地名が付けられている
これに関してはわかりやすい。プロローグでナディムが話した本社のヤマモトの台詞「奴ら経済ではなく暴力で」と、デリングの「本社ともども仕掛けろ」の2つの台詞から、同時に2か所、一斉に襲撃されたので、地名を一か所に絞ることができない

そして本題が「何故オックスアース事変にならなったのか」

ヴァナディースを買収したので大元はオックスアース社だ、ヴァナディースより上位のオックスアースの名を冠してもいいはず
そうならなかった理由は恐らく、オックスアース本社の襲撃は無血で済んだ、或いは犠牲が少なかったからではないか

本社では購入先に次々と運び込まれたルブリス量産試作タイプをはじめ、名も形も、存在するかも知らないオックスアース社製の他のモビルスーツも置かれていただろう。抵抗する力としてはフォールクヴァングより高かったはず、そう考えると「抵抗しなかったのか?」と思ってしまう

だが、恐らくデリングも「制圧」するつもりでも「虐殺」するつもりはなかったんじゃないか
以下はかねてツイッターでも呟いた「推測・妄想」である


襲撃部隊はカテドラルではない?

フォールクヴァング内部に侵入し、スタッフを虐殺した実働部隊。彼らがデリングの手配したカテドラルの部隊ではない可能性がある

①本部が2つある

ラジャンが「本部よりドミニコス隊各機へ通達」と言い、エルノラがルブリスのコクピット内で「本部より各ユニットへ」という無線を傍受している
作戦を行う上で「本部」が二か所もあるというのはどう考えても混乱を招く。二つの声は別人に聞こえるし、後者の台詞は内容からカルド博士を襲撃した部隊(ユニット)のリーダーだろう、であればラジャンでは絶対にないことになり、少なくとも本部が2つあることは間違いない

襲撃部隊が突入する前にフォールクヴァングの通信が妨害されたので、内部と通信できないから、襲撃部隊と外のモビルスーツ運用の部隊とで完全に独立して動いてるから2か所あった?とも考えたが、プラントクエタ襲撃のように一帯を通信妨害したのではなく、あくまであのでかいアンテナを止めたに過ぎず、それを介さないなら外部とも通信できるはずだ
事実各ユニットは手持ちの通信機で連絡し合っている。フォルドと同じくホッピング通信ならたとえ妨害電波が飛んでても通信できるわけだし

②周辺宙域を封鎖する意味

ラジャンはドミニコス隊に、フォールクヴァングとその周辺を封鎖して誰も逃がさないように指示している
襲撃部隊と連携しているなら逃がさないように指示する理由は何だろう?討ち漏らした逃亡者を逃がさないため、と考えることはできるが、であれば「逃亡者を逃さず全て殺害せよ」と命令しない理由は何なのか

③目標はルブリス

「識別照合、目標モビルスーツと一致」出てきたLF-01ルブリス、ナディム機を確認したオペレータの台詞
「目標」である。周辺宙域とフォールクヴァング自体の「封鎖」を命じられたのに、なぜルブリスを「目標」と呼ぶのか?封鎖は目的ではなく手段である、ということだろうか

だとすれば、少なくともラジャンたちはフォールクヴァング内部に侵入した襲撃部隊とは目的が別、ガンダムルブリスが出てきた場合はそれを相手にするのが「目標」の部隊であることは間違いないだろう

④ガンダムの破壊が目的ではない?

ここに関してはやたら否定してくる人もいた説である、あくまで個人の意見として「説の一つ」として信じ切らない方がいい話、とだけ断っておく

プロローグのドミニコス隊だけ、ハイングラだけが何故か「紫色のビーム」を使っている
そしてこのビーム、何とルブリスのビットを撃ち抜けていない

ビームが当たるも
壊れない
装甲は赤熱するが
そのまま飛び続ける
画面からは消えるが爆発しない

これがエアリアルやLF-03、白いルブリスの使うガンビットなら、壊れるとその後に影響するから(盾に合体できない)ストーリー的にも壊れないのはご都合的だがまだわかる
ところがこの量産試作タイプのビットは「爆弾」なのだ、目標に取り付く前に易々と壊れて爆発しては目的を果たせないから簡単には壊れない、現実でもプラスティック爆弾など一部は火の中に入れても爆発しないそうなので、このビットもそうした性能だという可能性はある

が、そんなことは一部のミリタリーオタクでないと思わない、一般的に爆弾なんだから、撃たれてビームが当たったのに爆発しない爆弾に違和感を覚えるだろう、そこに何の説明もない

ビームが直撃するも
ビームが弾けるエフェクトだけ
ビット自体は弾かれて後方で回転して無事
爆発のエフェクトはこう(ビットの爆発でろうそくになったハイングラ)

一度だけなら演出過剰の可能性もある。ブルーレイ版では3話のダリルバルデのツノが折れた断面が赤熱している演出が修正されたように
が、二度もやった。それも爆発エフェクトを省いたという単純なことで、破壊された事実があるなら後に修正されるかもしれないが、よくよく見るとビットがビームで破壊されて「いない」描写が明確にされている

これをしても「いや、あれはビームが貫いて爆発したんだ」という意見を言う人がいたが、そうなるともう水掛け論なので「君がそう思うんなら君の中ではそうなんだろう」と

ということで、ラジャンたちドミニコス隊はフォールクヴァングを封鎖して投降を呼びかけ、基本捕獲の方向(ビームの威力が弱い)で、抵抗されればやむなし、というのが作戦内容だったのではないか、と考えた

襲撃部隊の正体と目的

ではフォールクヴァング内部に侵入した部隊は何者で何が目的だったのか?

①武装が正式部隊のそれ

侵入してきた部隊はボディアーマー(よろいのようなやつ、弾丸を防ぐ)を着込み、目にはゴーグル(角から銃だけ出して撃っているので、内部にモニターがついてて銃のカメラと連携したり、暗い所で視界を確保できたりも恐らくできる)をつけている

角から身を乗り出さずに発砲している

これらの装備は高額で、しかも人数分準備している。画面に映った人数だけなら「ユニット」という呼び方はしないだろうから、カルド博士の前に立った部隊以外にも、あちこちに爆弾を仕掛けた部隊もいたはずだ

重武装のプロローグ襲撃部隊
デリング救出部隊、持っている銃器が襲撃部隊と同じ

そしてその使用している銃器は、プラントクエタが襲撃された際にデリング救出に向かったカテドラルの兵士と同じであった
ん?じゃあやっぱりフォールクヴァング襲ったのってカテドラルで、デリングが指示したんじゃないの?と思うかもしれない

テロリスト(フォルドの夜明け)の貧弱な装備

ここで疑うべきはテロリストであるフォルドの夜明けとの装備の差である
彼らの貧弱装備とは比較にならない点から、襲撃部隊がテロリストではない、一定以上の金銭的余裕がある、ないし武装集団を擁している組織であることがわかる

もう一つ言うなら、フォルドの夜明けがデスルターに実弾兵器を持たせることで「アーシアンの犯行である」という証拠をあえて残した
そう考えると、プロローグの襲撃部隊も「あえてドミニコスと同じ型の銃器を使用した」可能性はないだろうか。犯行をごまかすために

AK-47 壊れにくさと作りやすさでテロリスト御用達の小銃
MP5 複雑な機構を有するため高価

デザイン的にフォルドの銃がテロでお馴染みのものに似ていて、カテドラルの銃が各国の警察や特殊部隊が使用する高い銃「MP5」などをデザインのベースにしているのも、それを意図していると思える

少なくともこれらをやる金銭的余裕がある、つまりスペーシアンの手による犯行であることだけは間違いないだろう

②目的はヴァナディース

外を囲むドミニコス隊の目標がガンダムだった、少なくともそう捉えられる言い回しがいくつかあったが、襲撃部隊の目的は何だったのか

「カルド・ナボ及び主要メンバーの生命無力化に成功」という無線、白いルブリスが残された格納庫が燃えていたことから、彼らの目的はヴァナディースの抹殺であり、ガンダム奪取を狙ってないことから資料などデータに関しては入手する様子が伺えない

こう考えるとドミニコス隊以上にガンダムを警戒、世に出してはならないと考える、或いはカルド博士はじめ魔女に強い恨みを抱いている何者かの犯行だった、と考えるのが妥当に思う

アーシアンを下に見ていた祖父は行方不明、その息子ヴィムは死んだと考えると、どうもジェタークがやったから、復讐対象として報いを受けているように疑えてしまう。その意味では復讐はひと段落ついている、と
同じようにサリウスが頑ななガンダムアレルギーなので、プロローグで驚いていたのはデリングの独断ではない何か、白ルブリスがあったこと、それを取り逃がしたことを驚いた可能性はないか?その場合、表向き穏健に見えたサリウスが仕向けた部隊の可能性も

宇宙議会連合の可能性も疑えるが、もしそうなら一度は潰そうとしたガンダムをなぜ「様子見」しているのかがわからない。あまりあれこれどんでん返しをしている尺はないので、やるならもっと分かりやすい所じゃないか

で、随分長くなってしまったけど、フォールクヴァング襲撃の部隊とドミニコスが別系統の組織だった場合、魔女に恨みのある襲撃部隊はフォールクヴァングにしか行かないので、地球の本社オックスアースは周辺宙域を封鎖しようとしたドミニコス本来のやり方で投降を呼びかけられ、応じたのではないか
その場合抵抗して戦争状態になったのはヴァナディースとだけだから、オックスアース事変とは呼ばれないだろう

ただしその場合「フォールクヴァング事変」と呼ばれない理由が弱まるが


以上、ツイッターで過去つぶやいた内容のまとめ直し
勢いでざっと書いたので、また後に追記する可能性もありますがこの辺で


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?