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メカトロニクスとIT

こんにちは。イノカドです。

今回は、メカトロニクスとITの関係について考察していきたいと思います。

今まで、長々と機械のメカトロニクス化について語ってきました。
メカトロニクス化とは、要するに何なのか?ということですが、

”メカトロニクス化とは、電子部品を機械に組み込むこと。” と、解釈出来ます。

1. メカトロニク化とIT

これは、部品の主役が機械要素から電子部品になるということです。

メカトロニクス化は製品のIT化によるQCDの向上というメリットも同時にもたらしました。

製品がIT化される理由は、QCDの向上が目的です。

製品のIT化について考えていましょう。電子部品はプログラムによって動作します。ということは、プログラムを変更すれば電子部品の動作も変えられることを意味します。

プログラムを複数用意すれば、電子部品に複数の役割を持たせることができるので、部品数の削減につながります。部品数の削減はQCDの向上に直結するため、製品のIT化がますます進むことになりました。

2. 製造業の分業化

さて、メカトロニク化の進展により製品の中身が機械部品から、電子部品に変わっていきました。

このことで、製造業は大きく2つのグループに分かれていきました。

1つ目は、工場を持たず設計・開発に専念するグループです。この業態は、IT業界や、特定の電子部品(CPUなど)の製造に専念する企業と相性が良く、身軽であり、利益率も高い特徴があります。

このグループの代表例が、Appleやインテルなどのハイテク企業です。

2つ目は、製造のみに専念し独自ブランドの製品を持たないグループです。この業態で、メカトロニクス製品の組み立てが容易な特徴を生かし、人件費が安い国の企業と相性が良いです。

このグループの代表例が、ホンハイやペガトロンなどのEMS企業です。

このように、製造業の重心が完成品を作る電機メーカから、部品を作るメーカに移ることになりました。

欧米企業はQとCDを分離し、水平分業をする戦略で、製品のQCDを向上させることに成功したのです。

一方、日本の電機メーカは、製品の開発設計から製造までを一社で行おうとしたため、製品のQCDで敗北したのです。

3. ハードとソフトの逆転

さらに追い討ちをかけたのが急速なIT化によるハードとソフトの力関係の逆転です。従来では、ソフトはハード(機械)を動かすための部品に過ぎなかったのですが、マイコンの登場により、ハードがソフトの部品になってしまったのです。

現代の製品で重要なのは、ソフトの方です。なぜなら、部品の性能で差を付けられ無くなっていて、製品の品質を決めるのがソフトになっているからです。これは、Windowsのような基本OSとPCの関係を考えれば理解してもらえると思います。

残念ながら、日本はソフト開発でも敗北しました。その結果がバブル崩壊後の製造業の低迷です。

こう考えると、日本の製造業に希望が無いように思えます。日本の製造業は今後どうすれば生き残れるのでしょうか?

国家規模の問題ですので、私のような一介の機械屋に答えを示すことなどとても出来ません。

ですが、私なりの考えとしては、欧米企業の戦略を採用する他無いと思います。つまり、工場の規模を縮小しながら、開発と設計に専念する業態に変化することが必要だと思っています。



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