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『帝国陸軍 知られざる地政学戦略 見果てぬ「防共回廊」』「防共回廊」のようなイスラームと連携した別の戦略(代替案)が必要となる(環境研究)

 中国では牛肉は「牛肉」、鶏肉は「鶏肉」と書くが、豚肉は「肉」と書くだけらしい。確かに餃子も麻婆豆腐も豚肉のひき肉を使うし、レバニラ炒めのレバーは豚肉だ。正反対にあるイスラームでは豚肉は食べれない。さらにイスラームには神が存在するが、中国には序列しか存在しない。したがって、この2つの民族がどちらかに同化することは難しい。

 ウイグル問題は現在中国を支配している中国共産党が試みているウイグル(東トルキスタン)の民族浄化問題だ。チベットも内モンゴル自治区も宗教は違うが同じ民族浄化問題だ。最近の香港問題、今後起きうるであろう台湾問題も中国共産党(漢族)による民族浄化問題だ。

 戦前の帝国陸軍は、ソ連を含めた反共という目的のため「防共回廊構想」があった。
 ベルリン、ビザンチウム(現在のイスタンブール)、バグダット(イラク)を鉄道で結ぶ三B政策によってトルコからイラク、更に隣接するイラン(アーリア系)へと勢力拡大する「第三帝国」と、満州、内モンゴルから隣接する東トルキスタン(ウイグル自治区)へ進出して、最終的はアフガニスタン(ガンダーラ)の東トルキスタンをワハン回廊でリンクするのが「防共回廊構想」だ。
 つまり、内モンゴル、チベット、ウイグルに独立国家を樹立させ、これを中東イスラーム圏とリンクさせ、ソ連と中国共産党との連携を遮断しアジアの赤化を防止しようとした。戦前の日本人はこんなことを考えていたのである。

 「防共回廊」は「一路一帯」に対抗できると著者は主張し、モンゴル、チベット、ウイグルの独立の悲願が達成できれば中華人民共和国(中華帝国)は解体し、本来のサイズに縮小した漢人国家の周囲を反中親日国家群が囲繞することができる、と。

 ウイグル(東トルキスタン)の人たちは民族浄化を受け入れがたく、欧米社会も人権問題としてプレッシャーをかける中、日本はどのような立ち位置でこの地政学を考えれば良いのか、各企業に判断が迫られる昨今、全体最適の視点で戦略は必要だろう。「防共回廊」がその戦略になるのか、明らかに答えは「No」だ。私たちは中国との物理的対立を望んでいるのでないはずだ。右左のイデオロギーの問題でもない。

 ならば、「防共回廊」のようなイスラームと連携した別の戦略(代替案)が必要となるのではないだろうか。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。