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『TOVE/トーベ』トーベの自由奔放な生き方がムーミンを生み出した

 『ムーミン』の原作者であるトーベの物語。彼女は芸術家の家庭で育ち、スウェデンではムーミンだけでなく絵画でも有名だという。この映画で描かれた彼女の翻弄な生き方からはムーミンを想像することは難しい。

 この映画に出てくるアトス・ヴィルタネンがスナプキンのモデルといわれている。映画のポスターの「大切なことは、自分のしたいことが、わかっていることだよ」というスナプキンのセリフも描かれているので、ついでにスナプキンの他の名言も羅列しておく。子どものころにムーミンは観ているが、今だからこそ心に染みる言葉だ。

「生きるってことは、平和なものじゃないんですよ」
「1度決めたら最後までやり抜く、それがおれの人生さ」
「本当の勇気とは自分の弱い心に打ち勝つことだよ。包み隠さず本当のことを正々堂々と言える者こそ本当に勇気のある強い者なんだ。」
「心のつながった仲間こそ、ルビーにも勝る美しいルビーだ。」
「僕は自分の目で見たものしか信じない。けどこの目で見たものはどんな馬鹿げたものでも信じるよ。」
「“そのうち”なんて当てにならないな。今がその時さ。
「人の好みは千差万別だと思います。もし全部の人間が同じものを食べ、同じものに感動し、同じ本だしか読まなくなったとしたら、僕はそんな世界は味気ないつまらないものだと思います。」
「人と違った考えを持つことは一向にかまわないさ。でも、その考えを無理やりほかの人に押し付けてはいけないなあ。その人にはその人なりの考えがあるからね。」
「どこにもなかったら自分で作ったらどうだい?できるかどうかはやってみないとわからないんじゃないかな。」

 また、トーベの生み出したムーミンの読者層は「9才から90才まで」というのが凄い。読者ペルソナもへったくれもない幅広い層に、作者が迎合することなく、浸透しているのである。凄いとしかいいようがない。
 最後に彫刻家であった父親の遺品に演劇ムーミンのチケットなどがスクラップされているシーンで号泣するトーベは印象的だ。ほのぼのとしたムーミン一家とは違うが、ルビーのように心がつながっていたのだろう。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。