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『ノマドランド』アメリカにはキブツが必要だ(環境研究)

 リーマン・ショックでノマド労働者になった人々のリアルな物語を、フランシス・マクドーマンドが自ら映画権を獲得し、監督を選び、主演した作品。
 アメリカの資本主義の格差とその中にある連帯感は、社会運動に発展するようなベクトルでなく、別の違うものを生み出すのではないかと予感するようなストーリーだった。

 例えば、イスラエルにあるキブツは純粋な社会主義で、労働を提供するのであれば、キブツの中ではお金の流通を介さず学校へも病院も使うことができる完全社会主義コミュニティーだ。キブツそのものがビジネスをして収益が黒字であれば、その中にはお金は不要なのだ。ひとり親になり、子育てが必要になりキブツに移住する人もいるぐらい社会主義コミュニティーが実現している。

 ノマド労働者とパレスチナ難民やシリア難民を比較してはいけないかも知れないが、アメリカには国としての力があるだけ幸せだ。なぜなら、この映画に登場するような人々が、農業なり、漁業なりの労働を得る手段さえあれば、徹底した資本主義社会であるアメリカで、ピュアなコモンコミュニティーを作り、運営することを政府が支援することも可能だからだ。
 もちろん、エンパイアの街に新産業が起こり、パーマネントな雇用が生み出されれば話が別だが、今後の脱炭素化の波は、第2、第3のエンパイアを生み出す可能性の方が高い。

 それぞれの国がそれぞれの国の実情に合わせ、資本主義の持病である「バブル崩壊」のセーフティーネットをきめ細かく整備する必要があるのだろう。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。