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『続ける思考』頭の在庫一掃に映画を使う

 「習慣家」というタイトルをはじめて見たが、著者の井上新八氏は、何事も習慣化して続けるプロということなのだろう。本書が売れているということは、習慣化し続けることを意識している人が少なく、継続することが苦手な人が多いことの証左でもある。

 本書には同感することが多々ある。たとえば、続ける「仕組み」を考えることが楽しいという感覚だ。続かない人のほとんどは、続ける仕組みを考えず、努力で続けようとする。ここには「小さなイノベーション」という創造性を必要とするが、成功体験があると「楽しい」ということになる。問題は成功体験がある前の段階だが、まず続けてみるしかそれを体験できる方法はない。

 さらに「いつやめてもいい」と思うことが、ラクに続くという。例として会社勤務を上げているが、いつでもやめられるということは「辞める力」が身につく方向に行動や思考が変化するので、ラクになるのだろう。
 「やったフリだけすればいい」という発想も脳科学的は合理的なことだ。習慣化するとは、何も考えないことでもあるので、脳の思考負担が少ない。

 本書で何よりも参考になったのは、心の疲れをとるために
「2時間の現実逃避」をすることだ。筆者は映画鑑賞を映画館でするで心が回復するという。私の場合も心の回復と脳の在庫一掃には映画を利用する。ただし映画館ではない。確かに映画館であれば一切のモバイル機器から強制的に離れられるというメリットはあるが、映画に集中できればそれは自宅でも可能だ。涙を流せるほどの感動する映画であると、脳に存在する在庫が流されるようになくなる感覚を味わうことができる。この効果は大きい。心の疲れだけでなく、脳がリセットされるのだ。これが芸術の効果だと思うが、映画は身近な手段になる。

 筆者は「早く行きたければ、ひとりで進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め」というアフリカの諺に反逆し、ひとりで継続しても遠くに行けるという。これは私にも経験がある。30代の頃、イスラエルとビジネスを行ったときのことだ。ひとりでイスラエルとのビジネスの可能性を追求し続けていたが、エレサレムに日本とのビジネスの可能性を追求し続けていたユダヤ人との「出会い」があった。日本とエルサレムは9,000km以上離れているにも関わらず、だ。この出会いはペアシステムとなり、日本とイスラエルのビジネスは急速にドライブするようになった。つまり、ひとりでも継続していると、遠くまで行けるのである。筆者の主張は物理的に遠くを意味してはいないと思うが、ドメスティックなビジネスとグローバルなビジネスの間の距離は大きいので、遠くまでと言えるだろう。

 本書に紹介される「続ける思考」は、よりよい人生を送るための知恵とも言える。それがわずか1,760円で買えるとはありがたいことだ。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。