見出し画像

『アルベール・カミュ』2022年から日本ではじまる多文化共生社会において、アルベール・カミュの生き方や主張は輝くものになる(世界の歴史)

 カミュの最後の遺作となった「最初の人間」を書いている頃の映画。ソ連の強制収容所を批判したことで、サルトルと対立したり、サルトルを殴りたいがチビだから無理だといきがっていたカミュが描かれている。ちょうどその頃、アルジェリアの独立戦争があり、カミュはアルジェリアに住む母親にパリに移住しないかと懇願する。しかし、母親はフランスは静か過ぎるし、アラブ人がいないから、と移住を断ったのが1956年。(アルジェリア独立戦争は1954年〜1962年)

 父親がアルジェリアに移民として移住し、そこで生まれたのがカミュなので、彼は移民2世となるが、何もないゼロの地点から出発した人間、という意味でカミュは「最初の人間」ということになる。(実際には4世のようだが、カミュはそう聞かされていた)カミュはアルジェリアにおいて、フランス人とアラブ人の共生を望んだ。この映画でも、アラブ人に尊厳の権利があることを分かっていたとしても、フランス人はアラブ人との共生を望んでいない、と演説している。

 ノーベル文学賞受賞後の会見でも、アルジェリアの記者の、サルトルは民族解放戦線の支援を表明しているに、なぜあなたは発言しないのか、という質問に対し、テロリズムは嫌いだと答え、「私は正義を信ずる。しかし正義より前に私の母を守るであろう」と付け加えている。彼はソ連の強制収容所と同じく、アルジェリアの民族解放戦線における暴力も好まなかったのだろう。

 友人の運転する車でアルジェリアからパリに帰る途中、木に激突し助手席のカミュは即死した。事故現場近くの黒皮のカバンが落ちていて、「最初の人間」の草稿が散らばり、この映画は終わっている。
 アルジェリア独立戦争に対し、当時の風潮とは異なった非暴力の主張を書いた「最初の人間」は、妻や友人の反対で1994まで出版されなかったという。

 2022年から日本ではじまる多文化共生社会において、アルベール・カミュの生き方や主張はきっと輝くものになるのではないか、という予感を与えてくれた映画だった。

https://amzn.to/3IxuKoC

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。