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『トヨタの車づくり トヨタでの車づくり 製品開発を語る』トヨタの製品開発(TPDS)の再現性は低い(他社の歴史)

 トヨタ社内で製品開発を行ってきた人の本を読むと、必ず感じる疑問がある。それは「著者は読者に何を伝えたいのか」という疑問だ。この本も例外ではなく、それをすべてのページに感じた。そして、著者は自動車の製品開発ではユーザーのことを深く考えたのだろうが、この本の読者(ユーザー)のことをなぜ考えないのか、という疑問が続くことになる。

 要するに、トヨタの製品開発の仕組みは、トヨタという会社の中では、売れる自動車を作ることができるが、他の異業種や違い分野に再現(ヨコテン)できるシステムではないとうことだ。例えば、トヨタの製品開発のやり方を、ホンダや日産という同業者が聞いたら多少は参考になるだろうが、それを異業種の住宅メーカーにヨコテンするのは難しい。それが証拠に、トヨタホームは売れていない。

 しかし、生産技術のTPSは、異業種にもヨコテンされ、随分と普及している。TPSは異業種にも普及できるのに、トヨタの製品開発(TPD)が異業種に普及できない理由は何なのだろう。私の仮説だが、それはトヨタの製品開発(TPD)が人事制度と表裏一体の関係だからではないだろうか。ならば、それらを紐解き、トヨタの製品開発(TPD)をシステム化できるタレント(才能ある人)を必要とする。

 筆者である正木邦彦さんが製品開発したカムリは、年間で40万台も売れるというが、この本が40万冊売れるとは思えない。カムリを買うユーザーは車を評価し金を払う。私もお金を払いこの本を購入した同じユーザーだが、「トヨタという冠」をつけると売れると考えたのだろうか。もうそんな時代ではないだろう。

 つまり、トヨタの製品開発の欠点は、「再現性が極めて低いことにある」と結論づけると、すべての謎は解ける。その理由は、トヨタの製本開発(TPD)が社内の主査制度という人事性と表裏一体の関係にあるからだ。さらに、それらを再現性の高いシステムとして構想できるタレントがいないのである。逆に、こういう本が出版されるたびに、トヨタの製品開発(TPD)」の再現性を高くする、というニードが熟成されることになる。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。