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読む働き方改革/常識のない喫茶店

読む働き方改革だ、と思った。
『常識のない喫茶店』はそのくらいインパクトの大きい一冊。

クレームが嫌で接客業を避けている。という人は日本にごまんといる。わたしもその一人。
学生時代のバイトで、過剰な要求へ対応することに疲れ果ててしまったから。

6.7点買った商品のタグを全部外してくれと頼んでくる人。
ラッピング有料にゴネて、無料でどうにかならないの?とねばる人。
割り勘したから10円のおつりを5円ずつくれ、なんてお客もいたなあ。

アルバイトなのでもちろん決定権はなく、店長を見て同じように対応せざるを得なかった。
でも毎回「これやってあげる必要なくない?」と思っていたのを覚えている。

なぜか日本のサービス業では、お客からの過剰な要求を断ってはいけない文化がある。
お金を払うお客の立場が、店員よりも上なのが暗黙の了解。

「海外旅行で接客態度に驚く日本人」はもはやあるあるネタの鉄板といえる。
確かに、日本のサービスで生活してたら衝撃的なことばかりだった。

例えば、学生の頃行った韓国。
タクシーの運転手に行き先を告げると、「場所わからんから乗せられない」と断られ。
途方にくれて一時間さまよいながらホテルに行った。

コンビニのお兄さんは、こちらがお会計をするまでの間、ずーっと電話に夢中。
レジに持っていっても、保留にして接客を済ませ、おわったらすぐ会話に戻る。
会話のテンション的に、業務ではなくプライベートの通話だっただろうな。

お客と店員は対等なのが常識なので、必要以上の要求は、当然のように断れる。

そんな様子を日本人のわたしは、うらやましいと思った。
日本では許されないことだから。
お客の要求には笑顔で応えなくてはいけない。
それが嫌なら接客業をするべきじゃない、他の仕事を選べ。
日本では常識となっている価値観。

でも、よく考えたらおかしくない?とうっすら思ってきた。
なぜ理不尽で度が過ぎた要求に応じるのが当たり前なんだろう、と。

「お金を払ってるから。」と主張するけれど、それは商品への代金なわけで。
要求をなんでも聞いてもらう権利が発生するわけじゃない。

そんなことをずっと考えていた。
でも、みんな受け入れて働いている。
わたしが怠惰なだけなんだろうか。
モヤモヤを抱え、接客業に疲れ果てたので就活では全力で避けた。

そんな気持ちを『常識のない喫茶店』が代弁してくれた。

お金を払っているから何をしても許されると思っている人には絶対に来ないでほしい。店員にも感情があるのだ。理不尽なクレームや、値段に見合わない我が儘に耳を傾ける必要はない。

常識のない喫茶店

度を越した要求には「ノー」と言っていい。
お客だから、代金を支払っているから、店員より立場が上では断じてない。

本来はそうであったはずなのに、今の日本では難しい。
むしろ逆の価値観が常識となっている。

本書が、そのおかしさに気づくきっかけとなってほしい。

そんな思いをこめて、「働き方改革」と呼ばせてもらった。

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