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1分間でプレゼンしてみ?「え… 」から「おぉ!」までの軌跡

(※最後の方で撮影時のNGシーンを公開してますが、そのうち消すかも。)

「あなたの会社をプレゼンしてください。ただし、1分で。」

そう言われて、「はい、よろこんで〜!」と居酒屋風に言える人はそうそういないだろう。しかし、ひょんなことから“1分”でプレゼンすることになった。きっかけは、社内の情報共有ミーティング。

「DMMさんから、オンライン展示会への登壇にお声がけをいただいています。ただし、持ち時間は1分とのこと。動画を撮って送ってほしい、と。」

コロナの影響で、以前のような大規模展示会もなくなり、見込み顧客の獲得が難しい状況の中、DMMさんが企画した「DMMピッチ」というオンライン展示会への登壇オファーだった。

“ライトニングトーク”と呼ばれる5分ほどのプレゼンはまだ馴染みがあるが、「え、1分って… さすがにムチャな企画を考える人がいるものだ」と、そのときは思っていた。

「1分って、ムリでしょ…」
「1分って、ねぇ…」

会議室の雰囲気も、これどうしたものか?という空気。しかも、動画の提出期限が1週間後とのことで、もうこの件は「登壇しない」という結論になりそうな流れになっていた。

あれ? むしろ“1分”って、長いほうじゃない?

ところが、そんな空気の中、添付されている企画書をよくよく見てみると「1分でプレゼン・編集」という文字が目に飛び込んできた。そこからパチパチパチっと連想が動いて、脳がぐるぐるっと回って、僕は急に口火を切った。

「あ、これ動画で、編集アリって書いてあるんで、
 1分あったら割といろいろできますよ、たぶん。」

TikTokで1分の動画は長いほうだし、CMはだいたい15秒か30秒。60秒CMは尺としては長い方だ。そう考えると、編集アリの1分プレゼン動画をつくるのは、割といろいろできるんじゃないかと発想が浮かんできた。

ただ、このとき具体的なアイデアはない。ノープランでの発言だった。

「うーん、あんまりイメージできないなぁ。
 じゃあ、稲生くん、やってくれない?」

ま、そりゃそうなるよね。そんなこんなで言い出しっぺの僕は、その翌日、DMMの担当者さんとZoomミーティングすることになった。

詳しく話を聞くと、スライドを出してプレゼンする形式ではなく、話しているのをスマホで撮ってそのまま出すぐらいの動画で、さらには「タテ」で撮ってほしいとのことだった。

こうなるといよいよTikTokぽさが強くなってくる。ミーティング後から、短い尺の動画をバシバシ切り替えるイメージがムクムク湧いてきた。どんどん思考がそっちに爆走しはじめて、こうなってスイッチが入ってくると止まらない。

なにやら脳というのは問いを与えられると、答えを探し続ける機能があるらしく(エビデンスの在り処は不明)、僕の潜在意識は「快」の状態でオートパイロットモードに入った。


いわゆるゾーン的な、あのモードに「今回も入ったな」

そういえば似たような妄想ムクムクモードに入ってつくったのが、いつの間にやら290万回再生になっている結婚式の余興動画がある。これも「余興やってくれない?」とお題をもらってから、ずっと脳みそがぐるぐる回っていた。

(下記の動画、最初の登場から長いスピーチは完全なる前フリ。
 スピーチ部分が少し長いけど飛ばさないで見たほうがおもしろいよ♪)

結婚式で余興をやるのは初めてだったが、依頼されてからは、会う人、会う人に「なんか印象的だった余興ってなんかある?」と聞いてまわっていた。

いろんな人から余興のアイデアになりそうなものを集めていって、最終的には行きつけの美容師さんから聞いたアイデアが「それいいっすね!」というコアになりそうなものだったので、その演出を中心に流れを組んでいった。

ある程度やりたい演出のアイデアが決まって、曲をディグっていたらケツメイシの曲「出会いのかけら」に遭遇して、ビビッと来た。その曲に合わせてサプライズな展開のシナリオを考えていく。

(久しぶりに聴いたけど、やっぱええ曲やわぁ。)

シナリオを考えるというか、曲を聴いていると勝手に脳内妄想がムクムク湧いてきて、「あ、このタイミングで、これ入れよう」とか良い演出が思いついちゃったりする。良いのが出てきちゃうと楽しくなっちゃうんすよねw

通勤中も曲を聞きながら妄想を繰り広げていたら、通勤電車の中にも関わらずニヤニヤしていることにふと気づき、我に返った覚えがある。たぶん正面にいた人は気持ち悪かっただろう。申し訳ございません。

* * *

いわゆるゾーン的な、あのモードに「今回も入ったな」という感覚を持ちながら、まずは台本を練ることを始めた。「たった1分で何をどれだけ話せるんだ⁉」と思ってしまうが、調べてみると「1分で話せ!」という本もあるようだし、

「1分プレゼン」でググってみると、いろいろと関連ワードが出てきた。

「1分プレゼン 文字数」
「1分プレゼン ネタ」
「1分プレゼン コツ」

コクヨでは「1分プレゼンテーション」が社員研修で取り入れられているらしく、1分で伝える形式は、1つのフォーマットとして世の中に存在しているようだ。

1分プレゼンのカケラは、ぼーっとしてると降りてきた

夜、風呂上がりにボーッとしながら扇風機の風を浴びていると、台本のカケラがどんどん浮かんできた。仕事中にデスクに向かってるときより、こういうボーッとしている時のほうがアイデアが出てくる。

脳科学的にも、ぼんやりしているときほど脳が活性化するということがわかっているらしい。おかげで勝手にいろいろ浮かんできたので、iPhoneのメモ帳にメモっていった。

futureshop(フューチャーショップ)という今の会社に気づけば約10年もいるので、おかげで伝えたいポイントはいろいろ浮かんでくる。浮かんできた中から1分間の中に、何を入れて、何を削り、どこにフォーカスし、どの差別化ポイントを入れて、最後にどんな印象で終わるか? 考えるポイントはいろいろある。

1つ言い忘れていたが、この「DMMピッチ」というイベントのプレゼン動画は、準備段階の流れが面白い。できあがった動画を本番でいきなりバンっと出すのではなく、主催者のDMMさんに送ると、登壇する各社にその動画がシェアされる。つまり、ライバルの動画を事前に見ることができる。見た上で、ライバルの出方次第では、内容を修正して、再度提出し直すこともできるのだ。

となると、考えることは2つ。

・競合がカブせにくい優位点を入れる
・弱く見える部分はあえて自ら露呈してカバーする

何を1分プレゼンの台本に入れるべきか?

18年間、日本国内のEC店長の方々といっしょに走ってきたという時間軸は、後追いで他がカブせることはできないし、見た目上の派手さや機能の数ではなく、本質的な機能を提供しているという自負にもつながっている。

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特許を取っている仕組みであること、ECの世界で売れている有名店舗で使っていただいていることも、他社がカブせようのない要素。

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その一方、2800店舗という店舗数は少なく見えてしまう。他のECプラットフォームでは、1万店舗、2万店舗のユーザーがいたり、無料のECカートであれば10万店舗という数になるので、数で見ると少なく見えてしまう。

しかし、その2800店舗の内訳を見ていくと、平均月商(流通額)は他と比べて、群を抜いている。2800店舗だからこそ、1つ1つの店舗にサポートが手厚くできることも言いたい。だが、そこまで言う時間はない。

つまりは、売れている店舗様やEC事業を真剣に考えている方に選んでいただいているということを言いたいところだが、ここで月商金額を出してしまうと、金額に対しての判断軸は事業規模によって主観的なブレが出るので、やめておくことにした。

その代わりに、「ITreview」というITシステムに特化したレビューサイトで、futureshopユーザーの方が投稿しているレビューを見ていただくことに、視聴者のフォーカスが当たる展開にした。

この「ITreview」というサイトが面白いのは、誰でもレビューを投稿したら表示されるわけではなく、実際にユーザーであることが確認された後にレビューが公開されるという点。つまり、社内の人間がサクラで書き込むことはできないし、ユーザーではない人が適当なことを書き込むこともできない。

ありがたいことに、この「ITreview」にはユーザーの方々が多くのレビューを書いていただいているので、ITreviewを見ていただければ自分たちが言いたいことを代弁していただけると考え、「ITreviewを見てください」というセリフを入れ、印象を強めるためにITreviewのロゴが大きく印刷されたA3のカードを用意した。

まずは、自分でしゃべってみた1分プレゼン

という流れで台本ができたので、試しに自分でしゃべってみた。「あー、これで1分20秒いっちゃうかー。仕方がないので要素を削らねば…」、なんてことを何度か繰り返した後、なんとか57秒で収まる台本ができた。

できあがった台本を、1人で試してみたやつ↓

なんかボソボソしゃべってますが、この台本資料としゃべり動画で社内確認と承認を得ました。ちなみに、この段階ですでにセリフの合間に、カメラ切り替えのタイミングや、どう切り替えるのかもなんとなくイメージして入れています。

実際には、こういうのは撮影している現場のアドリブでどんどん変えていくけど、とりあえずのイメージは浮かべて、脳内では映像をつないでいる。脳内では、ものすごくカッコよくシュパッと切り替わっているw

撮影と編集にかかった時間。苦戦した俳優デビュー。

さて、そんなこんなで台本ができたら、イメージはできているので、あとは早い。撮影日を決めて、撮影に必要な小物は事前に作成をお願いしておき(作成ありがとうございますm(_ _)m)、無事撮影は予定通り「60分」で済みました。どこで撮影するかもイメージしてましたが、当日はやっぱりアドリブでいくつか場所を変えることに。

何より苦労していたのは、「セリフを覚えて、カメラに向かって話す」という行為を初めてする弊社役員の安原。思わぬ俳優デビューとなり、セリフを覚えることに苦戦していたので、割と短めのカットで、セリフを少し覚えてシーンを撮って、次のセリフを覚えたらまた撮るという流れで進めていきました。

序盤はどうしても「セリフを覚えて、それをなんとか思い出しながらしゃべってます感」が出てしまうので、僕に「ん〜、なんかセリフっぽいな〜。もうちょい感情が乗ってる感じで話してほしいっす。はい、もうワンテイクいきます!」とダメ出しされながら、少しずつ撮影を進行。

そんな様子がわかるNGシーン集もつくってみましたw


昼過ぎの15時ごろに撮影が終わったら、少し休憩して編集へ。

・OKシーンの選択
・不要部分のカット
・シーン切り替わり時の演出選択(トランジション)
・1分に収まるように速さの微調整
・シーンごとの音量レベルの違いを調整
・BGMの選定

といった編集作業をパパっと30分で終わらせて、完成。

社内で数人に見せたら、内容としては押さえるとこは押さえてるので「おぉ〜いいねぇ」という反応をもらいつつも、安原の奮闘ぶりに一同爆笑w

なかなか良いものができたっぽいなーという手応えを感じ、終了。

安原からDMMさんに動画データを送ると、なかなかの評価で「もうDMMピッチの新しいスタンダードを作ってくれたレベルです」と、えらくホメてもらえたので、その晩はおいしいお酒が飲めました。

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完成版は、7月1日の12:12から11分で放映

というわけで本番は、7月1日の12:12からスタート!

「たった11分」で疾風のように駆け抜けるオンラインイベントです。ぜひ、完成版の1分プレゼン動画をご覧くださーい。(12:12から見るのがムリな場合は、申し込んでおくと同日の19:19からも再放送で見れるようです)

いやそれにしても、「1分でプレゼンしてみ?」というお題を与えられてから、なかなか楽しかった。

割といろいろ考えすぎちゃうことも多いですが、情報共有MTGで話を聞いてから、約1週間で勢いにノッてパパッと進めていけたこのスピード感は、さながらダンスダンスレボリューションで早いステップを連打しているような感覚で(いや、たとえ古っ!でもって、全然できないし!)夢中でやってるうちに終わったなー、という感じ。

このスピード感でやってけるのは、気持ちいいっすね。あ、ただ、他の仕事ぶん投げてたんで、後から帳尻合わせが発生したことは言うまでもありません…

では、またー。

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