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“聞く力“は自分の可能性を広げてくれる | 読書ログ#003「聞き方の教科書」

今回は、「聞く力」にフォーカスした本をご紹介。それはこちら!

「外資系コンサルに学ぶ聞き方の教科書」
著者:清水久三子(IBM出身、株式会社&クリエイト代表取締役)

👤 この本はこんな人におすすめ 
💭 コミュニケーション力を鍛えたい
💭 仕事で日常的にインタビューやヒアリングを行う
💭 話し方については色々勉強したが、聞き方については学んだことがない
💡この本を一言でいうと?
聞く力の重要性を再認識し、聞く力を鍛える上で意識するポイントや実践的なTipsが紹介されている本

この本を手にとった背景

2021年になってから、誰かにインタビューをする機会が増えている。それもインタビューをして終わりではなく、記事として公開することが多い。

最初は正直軽い気持ちだったが、インタビューの内容を不特定多数の人が見るということは、ある程度の責任が伴うことに気づいた。内容の正確性が問われるのはもちろん、誰が読んでも理解しやすいような話の構成が望ましいはず。

やろうと決めたはいいものの。わたし、インタビュー経験がまったくないじゃないか。何事も「やってみないと分からないからまずトライ」派ではあるものの、人に話を聞く上でのスタンスやポイントを最低限知っておきたいと思い、関連する本を数冊つまみ読みしてみた。

今回紹介するこの一冊は、インタビューという限定的な枠に留まらず、仕事や色々な場面で生かせるような内容だった。実践的なTipsや方法論は本に記載されているので、ここではあくまでも私の解釈をエピソードとともに書いてみる。

「聞く力」は過小評価されている説

今まで「聞く力」を鍛えたことがある、という人はどのくらいいるだろうか?

正直に言うと、わたしは一度もない。
一方で「話し方」を鍛えるためには、色々やってみた。たとえば大学ではパブリックスピーキング、ディスカッションのクラスを受講したり、社会人になってからはプレゼンのTipsを学ぶようなe-learningを受けてみたりした。

それらはすべて、いかに自分の意見を相手に伝えるかにフォーカスを当てたものばかりだったし、わたし自身、「話し方」を鍛えていれば対人コミュニケーションにおいて怖いものはないでしょ!大丈夫!と疑わずにいた。

しかしこの本は、まさに目から鱗。なんと仕事は「聞き方」で決まるらしい。その心は・・・(私の解釈も含む)、

①アウトプットの質はインプットに左右されるから
②貴重な情報は、人を介して得られるから

とのこと。今まで「聞く力」は自然と身につくもので、鍛えるものではないと思っていたわたし。しかしこの本を読んで「聞く力」を意識するようになってからは、その重要性を身をもって実感しつつある。

ここから具体的なエピソードを交えながら、「聞く力」がどう重要かについて、もう少しかみ砕いて説明してみる。もしあなたに置き換えられる部分があれば、イメージしながら読んでもらえると嬉しい。

アウトプットの質は、インプットに左右される

これは「アウトプットの質は、自分のインプット次第」というわけだが、わたしは自分の仕事であるカスタマーサクセスの経験をとおして、この言葉の意味を痛感している。

カスタマーサクセスの仕事を一言で説明すると、顧客がサービスを契約した後に、しっかりとサービスを使いこなして、顧客自身の課題解決と目標達成(=サクセス)ができるようにサポートすることである。

これは個人的な考えだが、顧客にサクセスしてもらうまで下記のプロセスを繰り返していると考えている。

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上の図の「現状を把握する」ステップは、たいてい顧客へのヒアリングとなる。ヒアリングが中途半端だと、それから先を全力で取り組んでも、ボタンをかけ違えたかのようにズレが生じてしまう。そのズレが的外れな提案だったり、障害発覚の遅れだったり、のちのアウトプットに大きな影響を与えてくる。

このようなズレを防ぐために、「聞く力」が求められる。最初の段階で適切なヒアリングができれば、その後のアプトプットも的確でより質の高いものになる。

これがまさにアウトプットの質は、インプットに左右されるということなんだ、と1人で深く納得した。

また、「聞く力」を鍛えるために自分がどのような姿勢で聞いているかを意識することも効果的らしい。この本では、下記の4種類の聞き方が紹介されている。

・Selective Listening ー自分に都合の良いことだけを聞く
・Cynical Listening ーバイアスによって相手の話を捻じ曲げて聞く
・Polite Listening ー無関心にただ聞き流す
・Active Listening ー相手に興味を持ちバイアスを持たず素直に聞く

いちばん理想的なのは、「Active  Listening(積極的傾聴)」と言われる聞き方。

実際に、hubspotの記事 “2021年版 カスタマーサクセスが持つべき9つのスキル” にも取り上げられており、「顧客のニーズを理解するためには、Active  Listeningの姿勢で聞くべきだ」と書かれている。これはカスタマーサクセスに限らず、ヒアリングや提案を行うすべての仕事に共通すると思う。

また、この本の著者は、「ビジネスパーソンの多くが、顧客とのミーティングで一方的に説明・提案をして満足してしまっている」と指摘している。

これを聞いて自分はそうなっていないか?と何回も考えてみた。自分の役割は、相手の話を積極的に聞いて良いアウトプットを出すことであり、準備したものをすべて話し切ることではないということを意識したいなと思った。

貴重な情報は、人を介して得られる

これを補足すると、「貴重な情報はネット検索で見つかるようなものではなく、人から得られる」ということに思う。わたし自身、実際にインタビューをしてみて初めて分かった。

今の時代、ネットのおかげで苦労せず多くの情報へアクセスできる。文字を打ち込めば答えをくれるなんて、好奇心旺盛で常に気になることがあるわたしにとっては最高だ。

ただ、利便性を追求するとデメリットもある。検索して情報を得るということは、重要な情報を得る機会損失になりかねないことにまったく気づいていなかった。

ネットから得られる情報というのは、簡単に誰でも入手できる程度の情報ということ。欲しい答えがシンプルなもの、たとえば今日の天気や歌の歌詞などであればネット検索でも十分かもしれない。

ではそれが、自分の人生やキャリアに関わることだったら?
Googleで「キャリア 生き方」のようなキーワードで検索して、自分の将来に影響を与えるほど有益な情報が得られるだろうか・・・。わたし自身この類いのことを検索してみたが、いま記憶に残っているほどの情報は見つけられなかった。

それが、色々な女性に対して生き方やキャリアについてインタビューする企画「Inspiring Women」を始めたあとはまったく変わった。ネットでは得られないような、面白くて貴重な情報を知ることができたのだ。インタビューで情報を得ることのメリットを、簡単に3つにまとめてみたい。

1)一次情報を得られる 

わたしは「貴重な情報」= 一次情報だと解釈している。
一次情報とは、いわゆる自分が直接体験したり調査して得た情報なので、希少性と信頼性が高いことに加え、記憶に残る。ちなみに、メディアや本、ネットで公開されている情報は、すべて二次情報と言われている。

自分がインタビューする側になって感じたのは、同じ情報でも「編集」という行為によってそれが別物になりうるということ。編集されていない生でフレッシュな情報を得るには、自分で体験するか、本人に直接聞くかがベストだと思う。

2)自分にない視野を得られる

自分1人で情報収集をしていると、検索キーワードやソース(情報元)も自分が知っている範囲のものに限られてしまう。いくら情報収集に時間をかけても、真新しい情報や最適解が見つからない・・・ということになりかねない。

対してインタビューでは、ひたすら質問を壁打ちしているうちに予想もしなかった気づきを得られた、ということも多い。1人ではいくら調べても埒あかないことが、30分間話をしただけでクリアになったり、少なくとも何か方向性が見えてきたりするものだ。

3)人との繋がりを得られる

これこそ、インタビューする醍醐味かもしれない。インタビューとは、相手の貴重な時間をいただき、1対1で対話する体験をシェアするということ。初対面でも質問をとおして相手を知るうちに不思議と親近感が湧き、「また話してみたい」という気持ちになる。

そこから長いお付き合いとなる場合もあれば、インタビュー相手から「この人面白いよ〜」と別の方を紹介いただくこともある。こういった繋がりは、人を介してしか得られない。

聞く力は、仕事へ、インタビューへ、人生へ

今回はこの本の中のエッセンスを、自分の「仕事」と「インタビュー」のエピソードを交えながら記録してみた。

わたし自身、カスタマーサクセスとして仕事を始めたのも、Inspiring Womenのインタビューを始めたのも、ほんの6か月前のこと。

今後も日々「聞く力」をブラッシュアップしながら、色々なことを学んでいきたいし、まだまだ知らない世界を知れるチャンスがあると思うとワクワクする。仕事やインタビューといった目の前のことに限らず、「聞く力」を鍛えるということは、自分の人生の可能性を大きく広げてくれるかもしれない。

Inspiring Womenのインタビュー記事はマガジンにまとめているので、気になる方はこちらもぜひ。(わたしの聞く力が伸びていく過程も見ていただけるかも?笑)


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