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「生理」に関する話題が増えたのはなぜ?その先に見えたのはFemtech(フェムテック)だった

生理。
これに関する話題は、長い間どこかタブー視されていた気がする。

例えば私は、生理で腰が痛くなったり眠くなったりしてその原因を異性に説明する時はいつも
「今日は生理なんだ」ではなく、
「今日は女の子の日なんだ」と言っていた。

これは自分に限ったことではない。周りの友達も「女の子の日」と呼んでいたので、「生理」を他の言葉に言い換えることに何ら違和感を抱くこともなかった。

今までタブー視されてきた「生理」

「生理」は恥ずかしいものなんだと私が感じ始めたのは、思春期の頃だと思う。

男友達の前で「生理」という言葉を発した時、直接的すぎてどこか気まずさと気恥ずかしさが漂ったのを覚えている。

ドキドキしながらドラッグストアで生理用品を購入した時は、必ずと言っていいほど中が見えない黒い袋や紙袋に入れられた。

そんな周囲の空気を敏感に察知する年頃だったのかもしれない。何か暗黙の了解のように、私たちは「生理」という言葉を使うことを避けたり、隠すことが当たり前となり、多少年齢を重ねたあともその当たり前を疑うことはなかった。

「生理」は今やバズワードかもしれない

それがここ最近、女性YouTuberが投稿する動画のサムネイルに「生理」というキーワードをちらほら見かけるようになった。

バービーが「初めての生理」というタイトルで投稿した動画は、再生回数300万回を超えている。自分の初潮についての経験談や、生理用品の種類が紹介されており、コメント欄を見ると男性にとっても分かりやすいコンテンツであることが分かる。


SHELLYは「性教育チャンネル」と題した自身のチャンネルで、月経カップの使い方や使用感について紹介した動画を投稿している。こちらも再生回数250万回を超えで、SHELLYは生理以外にも性教育トピックに関する動画を多く投稿している。

(2021/5時点での再生回数)

この動きは芸能人に留まらず、SNSインフルエンサーも生理に関する動画を数多く投稿している。トピックも、生理痛やピル、おすすめの生理用品、PMS(月経前症候群)などと幅広い。中には、彼氏に生理痛の辛さを疑似体験させる動画もあり、楽しみながら生理に対する理解を深められそうだ。カップルで見るのもオススメ!

プロダクトのPRを含む動画もあるが、生理について自由に語るだけの動画も少なくない。それは義務感からではなく、自らの考えや経験を積極的に発信したいという人が増えている証拠なのではないか。

YouTubeほど情報量が多くはないものの、テレビのニュース番組でも生理用品について特集が組まれるようになった。「生理」に対する考え方の変化は、さまざまなメディアを通して若者以外の年齢層にも広まりつつある。


ずっとタブー視されていたはずの「生理」。
これまでは、多くの人の前でオープンに語られるような話題ではなかった。

それがなぜ今、なぜ急に、注目されるようになったんだろう?


Femtech(フェムテック)とは何ぞや?

「生理」に関するコンテンツを調べる中で、「FemTech」というあまり聞き慣れない言葉を何度も目にした。

ーー「FemTech(フェムテック)」とは?
Female(女性)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語。女性が抱える健康課題をテクノロジーで解決できる商品やサービスのことを指す。

ここでいう、「FemTech」が解決する女性が抱える健康課題とはどんなものがあるんだろう?

今回のトピックである「生理」はもちろん、妊娠、不妊、出産、更年期障害による精神的・身体的苦痛などが挙げられる。女性のライフステージによってさまざまな課題が存在するため、生きている限りこれらの悩みがつきることはない。

Femtechという言葉を作ったと言われるデンマーク人は、月経管理アプリ「Clue」を開発したことにより、多くの女性が排卵周期をより手軽に、より正確に把握できるようになった。


日本に目を向けると、Femtech専門のオンラインストアを手がける「fermata」が、今年都内に初の路面店をオープンしたことでメディアでも話題となった。
生理用ショーツや月経カップ、フェミニンケア商品、膣トレ器具など、商品ラインナップは幅広い。Femtechプロダクトはまだまだ海外製品が多い中、fermataでは海外・国内ブランドともに扱っているため、多くの女性たちが色々なプロダクトを手に取りやすくなった。


Femtechから、ジェンダー問題へ

生理をはじめとするFemtechが注目されている背景は何だろう。
それはここ数年で、ジェンダー平等の課題意識が高まっていることが大きく関係している。

SDGsに女性活躍が組み込まれたことや、2017年に世界中で起こった「#MeToo」ムーブメントなどのイベントによって、「ジェンダー平等は、女性の社会進出を支援するだけで解決されるような単純な問題ではない」ということが明らかになったように思う。

女性が社会進出を果たすことがゴールではなく、快適に働くことができて、仕事で成功することまでをゴールだと考えると、女性特有の健康課題をサポートすることがいかに重要かが見えてくる。社会的なシステムで言うと、育休・産休制度や生理休暇を設けている会社も増えてきている。(制度があっても取りにくい現状は課題として残るけれど)

しかし、そんなシステムだけでは解決しない課題も山ほどあるのだ。そんな中で女性たちが必死に課題を解決しようとして生まれたのが、「FemTech」のプロダクト・サービスなのではないか。

今後も、女性の社会進出を促す流れは、勢いを増す一方。
日本は世界的に見てジェンダー平等に関する取り組みで成功していないこともあり、さらなる改善が求められる。これからより多くの女性が社会進出、キャリアアップを目指すということは、女性の健康課題の解決に対するニーズもより大きくなるはずである。


これからのFemtech、そしてその先は

私のように、「Femtechという言葉を最近知った」「このnoteを読むまで聞いたことがなかった」という方も少なくないと思う。
今はFemtechの認知度はそこまで高くはないものの、Femtechはいずれ社会的に大きな影響力を持ち、マーケットとしても成長していくと期待されている。

実際、Femtech市場は2025年に、北米だけでも5兆円規模に成長するという予測もある。(Frost&Sullivan/USによる調査)

今年の3月には、自民議連がFemtechプロダクトの普及に向けた提言を提出しており、日本企業にとってFemtechへの市場参入のハードルが下がることが期待される。(今は制度が整備されていないために、参入への障壁が大きいんだそう)
これからは海外だけでなく、日本初のFemtechプロダクト・サービスがどんどん生まれるかもしれない!!

また、男性に向けた「Mentech」というカテゴリーもあると、ある記事でチラリと目にした。一方で、性を特定したカテゴリーにしてしまうと、LGBTQの人々は排除されるのか、という議論も生まれかねない。

Femtech領域はまだまだ新しい分野で、アップデートも多いので、これからもキャッチアップして気になったことがあればどんどん発信していけたらと思う。


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