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「楽しくないと続かない!いつもワクワクしていたい」なはさんから学ぶ、パラレルキャリアを楽しむヒント


世の常識にとらわれず、自分で人生を切り開いていく。
そのユニークな魅力から、周囲の人たちへ自然と影響を与えている。
そんな強くパワフルに生きる女性たちをフォーカスする、Inspiring Women マガジン。

今回は第2弾。


インタビューを引き受けてくださった Inspriring Women File No.2 は…
高島 菜芭 [タカシマ  ナハ] さん!(以下、なはさん)

現在、なはさんは大手人材派遣会社で営業として働くかたわら、性的同意の大切さを伝える団体「Genesis(ジェネシス)」の共同代表として活動されている。


本業に加えて副業、しかも起業家なんて、体力的にも精神的に大変そう…と感じてしまう人が多いかもしれない。しかしなはさんの話を聞くうちに、自分のペースで自分がやりたいことを実現することは不可能ではないのかも、という希望が湧いてくる。

将来パレレルキャリアを考えている人にとってヒントになるエッセンスが詰まった、なはさんのお話を聞いてみよう。


◼︎  ◇  ◼︎  ◇  ◼︎   

ーー今日はありがとうございます!なはさんとお会いするのは久しぶりな気がします。

久しぶりですね!最後に交流会で会って以来だから、1年半ぶりくらいかな?


ーー近況報告も兼ねて、色々お話しできると嬉しいです!カジュアルな感じで。

ぜひぜひ〜!よろしくお願いします。


ーー早速ですが、今のなはさんのお仕事内容を教えてください。

新卒で就職した今の会社で営業職に就いています。転職者向けのサービスを扱っていて、主に大手のお客さまを担当しています。


ーー本業のお仕事とは別に、Genesisの活動もされているんでしょうか?

そうですね。現在は副業として性的同意の啓発活動を行う団体、Genesisの共同代表を務めています。学生時代に友人と一緒に立ち上げて以来、性的同意の重要性を伝えることを目的に活動しています。

やっていることとしては、大学などから依頼を受けて、性的同意 (※) のワークショップを行なうことがメインの活動になります。

※ 性的同意とは?
性的な活動を行う際に結ぶ同意のこと。同意のない性的な活動は強姦または性的暴行である、と考えられている。


ーー大学からも依頼が来るんですね。ワークショップの内容について、もう少し詳しく教えてもらえますか?

ワークショップでは、性暴力を予防するためのコミュニケーション方法を教えています。

「どうやってパートナーと同意を取るか」「パートナーと性について話し合う機会を持つか」などをテーマに、今まで1000人以上に性について自由に話せる場を提供してきました。

▼Genesisが行うワークショップの様子

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ーー性の話に消極的な風潮がある中、性についてカジュアルに話せる場を作るというのは素敵な試みですね!なはさんが性に対して興味を持ったきっかけがあれば伺いたいです。

1番最初に性を意識したのは、高校生の時に友人から言われたある一言でした。

私は京都大学を目指していたんですが、女友達から「なんで女なのに京大を目指すの?女性は私大に行って、就職して結婚相手見つけて、専業主婦になるのが1番だよ」と言われたんです。

かなりショックを受けたし、なんで女性だからと人生決めつけられるんだろう…?と自分の中で引っかかるものがありました。

その時は価値観の違いに違和感を感じた程度で、性的同意の概念や重要性についてはあまり知りませんでした。


ーーでは、Genesisを立ち上げる原体験はまた別にあったのでしょうか?

原体験となったのは、大学時代にイギリス留学した時に受けたカルチャーショックです。現地ではさまざまなシチュエーションで、日本と海外のジェンダーに対する考え方のギャップを感じました。

ある時現地の友達に自分の恋愛について話していたら「それって性的同意できてる?」と言われたことがあって、その時初めて性的同意という言葉を知りました。

それを機に性的同意に関して調べたり学んでいくにつれて、その概念や重要性に興味が湧いたと同時に、日本人でももっと性的同意というものが広まってほしいと思ったんです。

▼留学中の生活の様子

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ーー確かに日本では、まだまだタブー視する風潮がある感じます。他にはどのよう部分で日本とのギャップを感じましたか?

女性蔑視的な発言が少なかったし、みんな性についてオープンに話すのが当たり前、という感じ。印象的だったのでよく覚えているんですが、図書館で女性同士で性の相談をしたり、セックストイをおすすめしあったりしていました。

学校での性教育も充実していて、ピルや中絶へのアクセシビリティも整備されていました。女性が露出の多い服を着ていても変な目で見られたりそれに対するネガティブな風潮がなかったんです。

性を変に意識せずに自分を表現したり、自由に楽しめる空気って本当に大事だと思いました。


ーーそのような経験を経て、実際にどんなアクションを起こされたんでしょうか?

まずは自分にも出来ることがないか思い、留学中にロンドンのある会社でインターンシップを始めました。その会社は性教育を黒人の少女たちに届けることをミッションにしており、私はワークショップの実施や営業業務を手伝っていました。

留学から帰った直後もジェンダーに関わる仕事をしたいという思いは強かったので、UN Women (※) で半年間のインターンシップを経験しました。そこで出会った同僚の1人がルワンダ人だったのですが、彼女と一緒に中東やアフリカにも足を運んで、NGOの活動を手伝いながら、現地の人たちに話を聞いたりしていました。

▼UN Womenでのインターンシップ

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そのような経験から途上国でも活動したいと感じ、それが実現可能な環境が整っているUN Womenで働きたいと思った時期もあったんです。ただ、大きい組織だからこそ難しい側面もあると気づき、最終的には自分で自由にやることを選択しました。

UN Women(国連女性機関)
ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国際機関。女性のリーダーシップと参画、女性に対する暴力の廃絶、平和・安全保障のあらゆる局面での女性の関与、女性の経済的エンパワーメント、国家の開発計画と予算へのジェンダー平等の反映、といった5つの活動領域に対して取り組みを進めている。


ーー経験をもとにアクションを起こしたことで、色々な気づきを得られたんですね。それからGenesisの立ち上げに至った経緯を教えてください。

ちょうどその頃、他の国に留学していた友人と連絡を取り合っていたんですが、彼女もジェンダーの価値観について違和感や興味を持っていることが分かって、その話題ですごく盛り上がったんです。

それから2人とも日本に帰国したタイミングで、Genesisを共同で立ち上げることになりました。ちょうど大学4年生の頃になります。私はインターンシップでの経験、彼女は現地のボランティア経験をもとに、性的同意に関わるような内容のワークショップを中心に活動することを決めました。


ーー同じような原体験を持つメンバーが身近にいると心強いですね。Genesis立ち上げ後に就職されていますが、それにはどういった経緯があったんでしょうか?

実際に自分でGenesisを立ち上げてみて、収益化するまでの道のりにはかなり時間がかかるなと感じました。そこでまずは、自分が働きたいと思う企業で経験を積んでみようと思ったんです。

企業選びの条件として、
①起業家が多いこと
②事業内容が社会的に大きなインパクトを持っていること
という2軸で探していたんですが、今の会社だったら働いてみたいと感じました。会社側もGenesisの活動に理解を示してくれた上で選考が進み、結果的に就職することができました。


ーー個人も企業もWinwinな関係で、理想的な働き方だと感じます。一方でパラレルワーカーはプライベートの時間が取れないイメージがありますが、なはさんはプライベートの時間についてどんな考えを持っていますか?

自分の性格的にストイックにやるのは無理だな、と思うんです。楽しんでやりたいし、プライベートも充実させたい。だからそこまで仕事一本ではないかもしれないです。

その分副業もものすごいスピード感を持ってできてるわけではないけど、無理してもしょうがないので自分のペースでやりたいと思っています。特に友達、家族、パートナーと過ごす時間は大切にしたいですね。


ーーそれが継続できる秘訣なんですね。プライベートでは何をされていますか?

アウトドアが多くて、先日は筑波山に登りました。音楽が好きな友人が多くてパーティーにも行きますね。自然に元気付けられて感動したり、人に会うことでインスピレーションをもらっています。

あとはアートが好きで、美術館にもよく行きます。最近アートと哲学は、性と親和性があると気づいて興味があります。哲学対話という、答えは出ないけど疑問に思うことを話すことにもハマっています。

例えば「男性はなぜ喘がないのか」「コロナ禍でのセックスはどう変わったか」というテーマについて議論するのではなく、ただ問い合うんです。対話にいくつかルールを設けることで、お互いの意見を尊重することができます。哲学対話も知人に教えてもらってひらめきを得たので、周囲からのインスピレーションは大きいですね。


ーーお互いに良い影響を与え合える友人がいるのは素敵なことですね。今後は、Genesisでどんな活動を予定されていますか?

Genesisの活動とは別ですが、実は今、下着ブランドを立ち上げようと考えています。ニップレスのようなものを作ろうとしているんですが、これはカジュアルな会話からふと思いついたアイディアだったんです。

ある時、Genesis共同代表の友人と、「下着(ブラ)を気にせずに背中が開いた服を気軽に着たいよね」という話題になったのがきっかけでした。

そこから、そもそも「女性がブラを着けなきゃいけない」という固定概念を崩したいという思いが生まれてきたんです。考えてみれば男性も女性も胸があるのに、女性の場合どうしても性的対象で見られてしまうし、ブラを着けることが常識になっているじゃないですか。


ーーブラを着けていると締め付けられるし、肩が凝ったり動きづらかったりしますね。確かにそもそも、なんで女性がブラを着けなきゃいけないっていう常識があるんでしょう…。

すでに欧米を中心とした国では、ノーブラを支持する大きなムーブメントが起こっています。でも日本ではノーブラがまだまだ受け入れられていない印象です。

女性たちにブラに関する悩みをヒアリングしてみると、多くの女性が胸に関してネガティブな経験を持っていたり、コンプレックスを感じていると気づかされます。一方で女性自身も、ノーブラで外に出るのは抵抗があることも分かってきました。

実際に女性の声を聞いてみて、ノーブラではないけどバストトップを隠せるものであれば受け入れられそうだと思い、まずはニップレスを作ることにしました。今はどんな素材にするかを揉んでいる段階で、そろそろ試作品を作りたいと思っています。

▼女性を対象に「胸」についてヒアリングを行った際に出た意見

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▼なはさんがイメージするニップレスデザイン

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この下着ブランドもジェネシスも、男女平等を目指したいという気持ちから思い立ちました。一見全く違うように見えますが、根っこではもっと性を自由に楽しめたら良いという思いで繋がっています。


ーーニップレスの完成がとても楽しみです!最後に、なはさんがキャリアを通して実現したいことを教えてください。

ジェンダーによって制限されない、自由に自己表現ができることです。性を楽しめるというのがベースにあります。Genesisの活動も使命感を感じるというよりは、自分が楽しいと思うこと、課題に思ってることをやっています。楽しくやっていないと続かないから、いつもワクワクしていたいですね。特に新しいものを作る0⇨1の過程が好きです。

ゆくゆくはアフリカにも行きたいと考えています。以前ルワンダに行った際、ルワンダの性教育がしっかりしてて驚きました!ジェンダー的な意味で言うと「日本は遅れてる」と思ったし、まだまだ発展途上だと感じましたね。やりたいことは沢山ありますが、今は焦らず自分のペースでやっていきたいと思っています。


ーー私自身、なはさんからたくさんのインスピレーションをもらいました。今日は本当にありがとうございました!!

ありがとうございました!

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パラレルワーカーと聞くと、プライベートの時間を犠牲にしてでも仕事一筋!というイメージが強かったが、なはさんは自分のペースとプライベートをとても大事にされている、という印象だった。

もちろん忙しいことに変わりないはずだけど、自分のプライベートを充実させることや自分がやりたいことに挑戦することが、予想もしなかった出会いや気づきを得られるチャンスとなる。なはさんの話を聞いていると、結果的にそれが仕事面にも良い影響をもたらしてくれるんだろうな、と感じた。

最後に私がピックアップした、なはさんのインスピレーショナルな言葉4選をどうぞ。

「なんで女性だからと人生決めつけられるんだろう、と自分の中で引っかかるものがありました」
「性を変に意識せずに自分を表現したり、自由に楽しめる空気って本当に大事だと思いました」
「ジェンダー的な意味で言うと日本は遅れてると思ったし、まだまだ発展途上だと感じましたね」
「楽しくやっていないと続かないから、いつもワクワクしていたいですね」 

Inspiring Womenでは、自分の道を切り開いていくパワフルな女性たちをこれからも追っていきたい。

もし身近にそんな女性がいる、インタビューしてほしい!という方がいればぜひ、私の方までご連絡をください😌

✉️aoi.okumura1159@gmail.com


次回もお楽しみに〜!

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