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『群衆心理』に思うボードゲームの消費行動について

こんにちは。久しぶりのnoteです。
久しぶりなので今回はボードゲームの話をするだけではなく、今読んでいる『群衆心理』から自分のボードゲームの消費行動について思う所があったので書きたいと思います。

まだ読んでいる途中なので、ここ違うんじゃないかとか、自分はそうは思わないとかもちろんあると思います。その自分が感じたことを大切にしていただき、その上で読んでいただければ幸いです。

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NHK Eテレの「100分 de 名著」で、2021年9月に取り上げられている『群衆心理』。

ギュスターヴ・ル・ボンが1895年に書きあげたこの本は、個人が群衆と化したとき、普段の個々人では決して行わない行動でさえ実行に移してしまう、その無意識的に同一の方向に動く危険性や、盲目的に煽動される心理状況について分析している本です。

ヒトラーが愛読していたことからも、「群衆」と聞いて全体主義やあの異常な熱狂を思い浮かべる方もいると思います。自分も読んでいて思い浮かべたのは、ハンナ・アレントが『エルサレムのアイヒマン: 悪の陳腐さについての報告』の中で書いていたアイヒマンでした。個人の意思をなくし、上からの指示にただ従い、行為の意味するところを考えもせず、淡々と殺害を繰り返していく恐ろしさ(そこには感情すらありませんでした)と、誰もがアイヒマンになりうるということを示唆していた本だと記憶しています。

ル・ボンの『群衆心理』もそのような「群衆」と化すこと、あるいは意図的にそのような群衆の特徴を利用し、悪用しようとするものに警鐘を鳴らしていると言えます。ただし、ル・ボンも良い方向に向かえばこの「群衆」も社会を変えうる力になると言っているので、必ずしも「群衆」が悪であると断定しているわけではなさそうです。ここら辺は自分がこれから読み進める中で書いてありそうなのでもしかしたら違うかもしれません。

現代の問題では、この悪い方向の「群衆」として、いじめや、国家権力を含む暴力や破壊を含むデモ、SNSでの誹謗中傷などがあると思います。
良い方向としては人々が自分の意思で声を上げる「Me Too運動」や「ブラック・ライヴス・マター運動」などがNHKテキストの『100分 de 名著 群衆心理』であげられています。

「群衆」とならないためには、自分の頭で考えること、大きな流れに対して一歩引いて考えること、一度立ち止まること、個人の考えを大切にすること、その上で他者へのおもいやりを持つことなど、NHKテキストとまだ読み途中ですが原著の『群衆心理』から自分が学んだことです。そして、ここからが本題です。

noteではボードゲームの話を主にしているので、ボードゲームを例にしますが、この「群衆」に自分も知らず知らずとなっているのではないか、あるいはボードゲームと聞くと容易く群衆化している自分がいるのではないか、それがボードゲーム購入という消費行動に反映されているのではないかと思い当たる節があったので、自戒を込めてこの記事を書いた次第です。

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※写真はボードゲームの中で1番好きな「テラフォーミング・マーズ」

自分はボードゲームの情報の多くをTwitter、ボードゲームサイトのBGG、そしてキックスターターから得ています。最新作や人気作、再販情報をはじめ、TwitterのTLでプレイされているボードゲームなども参考にしております。Twitterはボードゲームアカウントのため、TLに流れてくる情報はほぼボードゲームといっても過言ではありません。

そして自分は1人でボードゲームを遊ぶのが好きで、ジャンルとしてはハンドマネジメントやワーカープレイスメントが好き。そのため購入するボードゲームも、本来ならその条件に当てはまるものになります。

しかし、新しいボードゲームが毎月のように販売されたり告知されたりしている状況の中、例えば「今これを買わなきゃ買えなくなる」などといった言葉を目にすると、それが今後も再販される可能性があるかもしれず、また上記にあげた自分の好みに合わないものでもよく考えずに買っていることがしばしばあります。

確かにボードゲームは流通量に限りのあるものもあり、買えなくなることも多いと思いますが、ボドゲにハマったここ2、3年で再販や新版が出て普通に買えるボードゲームも多くあるため、その時点で文字通りの意味で今後二度と買えなくなるかどうかはわかりません。

これが本当に自分が欲しいものだったり、よく考えた上で買うのならなんの問題もないのですが、自分の場合、本当に遊ぶかどうかわからないのに人気だからという理由で買ったり、みんなが買っているからという理由で購入しているものも少なくありません。トレンドになったパーティーゲームや大勢で遊ぶカードゲーム、一時期流行った100均のゲームなどがその類で、実際遊ぶことなく積んでいるものもあります。

「群衆」の性質として、ル・ボンは信じ込みやすく、衝動的で、動揺しやすく、昂奮しやすい自動人形と表現しているのですが、まさにそのような状態になっているなと思いました。

「今これを買わなきゃ買えなくなる」を例であげましたが、ル・ボンは断言・反復・伝染力のある言葉ほど、群衆を動かしやすいとも言っているので、この他にも衝動的な購入に繋がりやすい言葉は多いと思います。

「誰でも楽しめる」「面白すぎる」「実質無料」など。さらにプラスの言葉に限らず、このボードゲームのここはいまいちだったけど、ここはそこそこ、でもここは面白かったなという感想があったら、Twitterの文字数の都合、面白い部分かつまらなかった部分だけが切り取られやすく、面白い/つまらないのどちらかになりやすい特徴があるかもしれません。面白いと言う場合は衝動的な購入に繋がりやすく、つまらないという意見には盲目的に信じやすいということも個人的に当てはまるかもと感じました。

TwitterといったSNSの世界だけが全てではないのですが、新しいボドゲが出てはすぐにプレイされなくなり、また新しいボドゲを…というサイクルになりやすいことに疑問を感じていたため、今回の『群衆心理』の「群衆」という切り口から自分の行動を振り返れたのはすごく良かったと思います。

自分が購入するボドゲはこれからもっと考えて買うようにしよう、ボードゲームを語るときは主語を入れて多くを語ろうと思います。

今回はボードゲームの消費行動を取り上げて『群衆心理』について語りましたが、なんとなく買ってる商品とかにも思い当たる節があるし、会社などで特に考えずに受け入れている慣例など、「群衆」になる危険はどこにも転がっており、思考が停止している時や感情で動いている時はちょっと立ち止まった方がいいかもと思いました。ただ反対に、何か社会を変えたい時は意思を持って声を上げて集団で行動すれば大きな力にもなると言う前向きな可能性についても再確認できた本でした。

以上です!
ここまでお読みいただきありがとうございました😊

写真で取り上げているボードゲームはちなみに自分が欲しくて購入したボードゲームとなります。念のため。上からバラージ、テラフォーミング・マーズ、そして下にあるのが最近遊んだThis War of Mineです。

これからもnoteには本の感想を書いていきたいと思います!

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