大好きな奥田英朗さんの本が出たと新聞で見たので，図書館で予約して取りに行ったら，あまりの分厚さに圧倒されました。
栃木と群馬にまたがる連続殺人事件…と聞いたら，「足利事件」が頭に浮かびます。捕まえた犯人は冤罪で，犯人はまだ捕まっていない事件なのだが，「真犯人はそこにいる」という清水清さんが書いた本で，真犯人に触れられている。もしかしたら奥田さんはこの事件を小説にしたのか…と思って読んでました。(結果，違うのですが)

栃木と群馬の県境で女性の全裸殺人事件が2件続く。この地区は10年前にも似たような連続殺人事件があり，犯人は捕まってなかった。同一犯なのかまた別の犯人か…と色々な視点から犯人につながる証拠を追っていく中で，三人の容疑者が捜査線上に上がる。

一人は10年前に絶対こいつが犯人だと皆が思っていた変質者。10年前はアリバイが崩せず捕まえられなかったが，警察みんなが犯人と確信しているような奴。
二人目は県会議員の息子で引きこもりの男。毎晩車で徘徊し女性の後をつけたりしているので近所の住民も困っていた
三人目は近くの自動車工場に季節工として働いている男

この三人がどれも怪しいのと，捜査が両県にまたがっている事のやりにくさ，10年前の犯人を逃したトラウマ…などが絡み合って物語が進んでいく。
解決に一番貢献したのは，10年前の事件の被害者の父親。写真館という仕事をやりつつ，現場に10年間張り込み，来た人を全て写真に撮り，不審者は警察に連絡という事をやっていた。警察では迷惑な親父だと煙たがられつつ，無下には出来ないので皆がはれ物に触る感じで接している。
しかし実際に自分の子供がそのような目に遭ったら，そこから人生は止まってしまうと思う。

結果的に犯人は捕まるのだが，あまりにも話を膨らませすぎた感じは否めない。最後は無理やりバタバタ帳尻合わせした感じが残念。