ロシア連邦共産党などロシア議会会派が友好議連会合で北朝鮮接近を本格的に始動
◆北朝鮮、ロシアを窓口に”国際的孤立”状態打開を狙うか?
2024年2月に開始されたロシアの「特別軍事作戦」(ウクライナ侵攻)以降、北朝鮮は急速にロシアとの関係を深化させ、存在感を高めている。実は、ロシアがウクライナと本格的な国家間戦争に移行する以前、北朝鮮はウクライナと親密な関係を保っており、旧ソ連由来のミサイルや潜水艦などの技術、あるいは機材そのものをウクライナから密かに導入していた。
しかし、ロシアが戦端を開き、特に戦争状態が1年を超える前後から北朝鮮はロシア側との協力関係を拡大し、公式的には両国は認めないものの当初は冬季用防寒着を始めとした装備の製造が北朝鮮に発注されたほか、最近は弾薬製造まで発注されているという。その他、筆者が独自に把握した情報では、ウクライナのドンバス戦線に北朝鮮特殊部隊要員が送られロシア軍特殊部隊と行動を共にしていた。
こうした経過を経て、昨年9月には「金正恩」総書記が金与正朝鮮労働党中央組織指導部第一副部長と共に極東ロシアを1週間にわたり訪問し、プーチン大統領と首脳会談を行った他、軍用機生産工場や空軍基地、ロケット発射施設などを視察した。その際、「人工衛星など宇宙開発面での協力関係の発展」「両国の旅行者往来の自由化拡大」「資源開発協力(ロシア側からの投資と技術提供、資源輸入)などについて話し合われ、大筋合意している。
そして、この2月9日、早くもロシアからおおがかりな北朝鮮旅行ツァー(3泊4日)が催行され、「金正恩」氏肝入りで開発された馬息嶺(マシンニョン)スキー場や平壌を訪れる団体旅行に100人のロシア人が参加したという。新型コロナウイルス感染拡大以来、旅行者受け入れを途絶させていた北朝鮮にとって、海外からの旅客を入国させたのは4年ぶりだ。
「在北朝鮮ロシア大使館の発表によると、約100人のロシア人団体観光客が4年ぶりに北朝鮮に入った。北朝鮮ではロシア人観光客を受け入れるために、17のホテルと37の旅館からなる新しい元山・カルマ観光地帯が建設されている」
「2月9日、ロシア連邦からの最初の観光グループは平壌空港から入国。平壌市と馬息嶺スキー場を訪れた。このグループには、沿海州とハバロフスク地方、イルクーツク、レニングラード、サハリン、カリーニングラード、ノヴォシビルスク、リャザン地方、モスクワ、モスクワ地方、サンクトペテルブルクからの旅客98名のほか、地方や連邦のメディア代表者も含まれていた。グループの中には、沿海州アルセーニエフのオリンピック保護区地域スポーツ学校の生徒らが含まれた」
(参考)「ロシアから100人の観光客が4年ぶり、北朝鮮入り~北朝鮮、ロシア人旅客向けの観光施設建設」2024/2/12 リア・ノーボスチ通信(ロシア語報道)
https://ria.ru/20240212/turizm-1926773679.html
◆ロシア連邦議会も北朝鮮交流を活発化~ロシア連邦共産党も朝鮮労働党と党間交流へ
こうして、北朝鮮とロシアの交流は軍事面、政治面から民間レベルまで拡大される様相だが、政治面では今月12日から北朝鮮の議会人たちがロシア連邦議会からの招聘でモスクワを訪れていた。その際、野党であるロシア連邦共産党とも朝鮮労働党としての党間交流の一貫として、会談などが行われている。
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