【ローマダービーも添えて】セリエA 23-24第12節インテルvsフロジノーネ レビュー2本立て
こんにちは!TORAです🐯
今回はセリエA第12節インテルvsフロジノーネのレビューに、ローマダービーのトッピングも添えます。
というのも、ローマダービーがめちゃくちゃ面白かった!
結果こそスコアレスドローですが「これぞダービー」と言わんばかりの高品質な戦術応酬が見事で、まだ未観戦の方にも魅力をお届けし、あわよくば90分見てもらいたいなと思い、今回はショート2本立てのレビューでお届けします。
どちらかにしか興味ない方は目次から飛べますのでご活用ください。
●インテルvsフロジノーネ
3試合目となる3バックシステム
対首位チームに臨むにあたり、フロジノーネが採用したのは3バックシステム。スタッツサイトFBfefによれば今季3試合目の型であり、レギュラーでないことが分かります。
フロジノーネの試合は半分以上見てますが、やっぱり4バックの印象が(当然だけど)強いですね。
上位チームとの一戦なので、ボール非保持面での効果目的が主だったと思いますが、より刺さったのはむしろボール保持。
彼らはインテルのツートップvs自軍3バックの数的優位を存分に活かしました。
言語化するととてもシンプルなんですが練度がえぐかった。昇格チームながら12位に位置するのはフロックでないことが分かります。ただ、今後維持できるかはまだ安心できないけど。これは後述します。
サッカーが面白いのは表裏一体な点。どちらに優位なのかで見方が変わるところ。
この盤面もインテルがミドルサードで潰せていれば、”引き付けられた“ではなく「プレスを起点に引き寄せて絡め取った」という今季の我が軍らしい評価になるんですけどね。
しかし、この局面はフロジノーネが好印象。インテルは釣られちゃいました、が僕の評価。
特にインテル目線でムヒタリアンが狙われていたと思っています。
以前にも書きましたが、インテルのIHが前線にプレスに行くという観点でバレッラはスペシャル。ムヒタリアンが悪いわけでは微塵もありませんが、どちらかを選ぶなら「バレッラではない方」が優先されるでしょう。
という訳でFBrefによると、右CBモンテリージはパス成功数76回で両チームトップ。対岸の左CBマルキッツァは56回なので右が起点になっていたことが分かります。
またフロジノーネで抑えておきたいのがヘイニエル&バレネチェアコンビ。
フロジノーネはスーレ(ソウレ)に高い位置でボールを持って仕掛けさせてやりたい。したがって、彼の中継点となる設計が必要ですが、その点で彼らの高い連動性が効いていました。
例えば、バレネチェアがサイドに移動したところにスッと降りて中継点に。
時にはバレネチェアが膨らんで、ヘイニエルが大胆にお引っ越ししたり。
誘引した反対側のポジショナルなムーブもまた、フロジノーネのビルドアップを質の高いものにする因子。
特にヘイニエルは本当はスーレ役をやりたいんだと思うし、それが彼の本質だとも思うんですが、この試合は黒子に努めていた感がとっても良きでした。えらい。
スカッドが耐えられるか/90分と180分で捉える力
ディ・フランチェスコ監督はホント定期的にグッドチームを作りますね。
インテルは自滅試合を除くと、序盤で最も苦戦した試合だったと思っています。
が、結果は2-0。
逃した決定機を含めると、いくら局面局面でフロジノーネが優位でも、試合そのものはインテルの勝利がふさわしいと言わざるを得ないでしょう。これはディマルコの大事故を除いても変わらない。
開幕ナポリ戦もそうでしたが「フロジノーネは良いサッカーをしてても、個人vs個人のところで少しずつ後手を踏み、結果耐えられなくなってしまう」という失点パターンが多い感想を抱いています。
シーズンも1/3が終わり、スカウティングが進む今後、中位に踏み留まるにはここが肝でしょう。
いやまぁ、昇格組かつ若手偏重(セリエAで一番若いんでしたっけ?)のスカッドで求めるのは酷で、むしろ今をしっかり評価してあげないと、なんですけどね。
逆にインテルは試合を90分、そして180分で捉える力がさらに強勢に。
分が悪い時間帯や劣位の局面でも焦らず凌いで、慣れて、微調整して仕留める。その後は次の試合も見据えて、試合をシュリンクさせる。
現チームが昨季の黄金体験で積み重ねた能力。スカッドが一部変わろうとも装備は変わらない、定着させた能力。
もはや秘密でもなんでもない今季最大の目標スクデット奪取に必須のアビリティだと思うので、このまま錆びさせないよう研磨を続けたいですね。
●ラツィオvsローマ
襲い掛かる狼と翼を広げた鷹
立ち上がりに戦術的な先手を取ったのはローマ。
同数プレスでテンション高くライバルに襲い掛かかります。
噛み合わせは以下の通り。
ボーヴェが一列上がって、カタルディを監視。そして、狼たちが襲い掛かります。前線からしっかり嵌め込む、追い込むような圧力をかける。
ダービーへの熱を感じましたがそこはモウリーニョ。リスクマネジメントも忘れません。
両WBはラツィオのWGを背中で注視できる位置でセット。そこから対面のSBにボールが入ればプレスを起動させます。
おそらく最終ラインの処理負担をなるべく軽減させたかったのでしょう。
彼らのせいだけではありませんが、今季のローマは個人的に被カウンターが最大の課題と見ているので頷けます。
15分過ぎからラツィオが逆襲。設計そのものに落ち度はありませんが、シンプルにリスクマネジメントの薄いところを狙われました。
ラツィオはSBが低い位置を取るようになると、距離が長くなったWBがプレスに行けず、ビルドアップのポジティブな起点に。
ラツィオのSBは両刀とも単騎突破に優れているとは言いづらいものの、中盤との関係性優位での攻め上がり(要はワンツー)が非常に上手いので、低め発進はお手の物。
押し込んだ後も5−3ブロックの“3の横”を攻略の糸口にするラツィオ。
ソリッドな5-3ブロックの攻略として王道中の王道でありますが、ゆえに効きました。これでいい、これがいい。
襲い掛かる狼を翼を広げた鷹が回避。
ローマダービーにふさわしい構図でした。
ボールを分け合うも
後半の入りはまたもローマが掴みます。
ボールを持つ展開となり、前からプレスの関係で前半から高い位置でプレーしていたボーヴェが本格的にトップ下配置に。
ラツィオの布陣的にはむしろ合致するのですが、降りてくるディバラが不協和音となっていたのが大きいと見ます。
ラツィオとしては中盤の噛み合わせが良くなり、付きやすくなってしまったことで降りてくるディバラに数的優位の効果を引き立たせてしまいました。前項レビューでも記載してますが、やっぱりサッカーは表裏一体で面白いですね。
また、ローマはビルドアップの根っこ部分も機能していました。
ラツィオの前からプレスはローマのWBにはWGがつき、両CBにはIHが前に出ていくスキーム。
この型自体はラツィオにとって特別なものではありませんが、最終ラインがあまり上がらない点はダービー仕様に見えました。
ルカクとディバラという強烈なツートップに対して数的優位を確保。代わりに逆サイドの許容度を大きくした狙いだったと考えています。
対するローマはWBが高めから低めに降りる移動にクリスタンテとパレデスが絡むことでそれを躱します。
サイドプレーヤーを起点に使う様の文字通りの”お返し”。スパイスが効いていました。
ラツィオは最終ラインを低め設定にしている代償でプレス回避されるとミドルサードで相手に時間と空間をプレゼントしてしまう点はネックでしたね。
67:20~のビルドアップは企図と事象を綺麗に確認できます。これは降りてきてWBを囮に中を使うルートだったけど。
その後、ラツィオは途中交代のベシーノがアクシデントで交代を余儀なくされてしまう不運がありながらも、プレスの強度を落とし、すっかり通常営業となったローマ相手にポゼッションを取り戻します。
必然押し込む時間も増えますが、鷹の牙は狼の喉元には届かず。両者、ボールを分け合うもスコアレスドローで着地しました。
あくまで私見ですが、本ダービーは主導権という観点ではローマ優位。しかし、「あとほんの少しプレーが嚙み合えば得点に昇華できた」的な決定機の種はラツィオが多かったと見ています。
これまた文字通りの”痛み分け”。なんとも痺れるダービーでした。
以上!
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