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【すり抜け、苦戦、攻略】セリエA22−23シーズン第1節レッチェ-インテル レビュー

こんにちは!TORAです🐯

待ちに待ったセリエA開幕!!!
第1節レッチェ-インテルのマッチレビューです。

ついに公式戦スタートとなりましたが、インテルの大枠はPSM通りと言える内容でした。

ということで先日アップしたPSMの考察記事前提でレビューを進行いたしますので未読の方はぜひご覧ください!

●スタメン

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●レッチェの大外殺し

開始2分、幸先良く先制するインテルですがその後はレッチェの守備に大苦戦、「守備が良い」との前情報を裏切らないクオリティでした。
主な特徴は2点。

)基本的には一旦ブロックを形成してから連動して人を捕まえにいく

ⅱ)超コンパクトなブロックでインサイド〜中央を徹底的に殺す

前者はインテリスタならイメージが湧きやすいと思いますが、ムーブ的にはコンテ政権1年目に似ています。ただ、レッチェはより人にフォーカスした守備ですね。

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必然球際も激しく、レッチェはインテル目線フィルターを除いたとてかなり荒いプレーが続きましたが、これは「一旦ブロックを形成してから」というフローを踏む都合どうしても勢いが付いてしまったり、インテルの様なボールを回せるチーム相手だとワンテンポ遅れてしまったりと戦術的な要因もあります。

より特徴的だったのは後者。

とにかくブロックの間隔が狭くソリッドでした。
分かりやすかったのはインテルが左右どちらかのサイドにボールを展開した場合のスライド。

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✔︎4-5-1の配置からボールホルダー側のSHが上がって4-4-2のブロックに
✔︎全体でスライドするがこの際、逆の大外は完全に捨てる

上図のような撤退ブロック守備のフェーズでは、サイドのスライドは下図のように逆側の大外プレーヤーが大外と中の選手を両監視するのがポピュラー。

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なんですが、レッチェは完全に大外は捨てていました
その分ブロックをソリッドにしてホルダー側のサイドと中央を圧殺しよう!がコンセプトなんでしょうね。

コンセプト自体は決して珍しくはないのですが、コンセプト強度があまりにドラスティックだった点

そして、この手のチームに有効な『保持やり直し→サイドを揺さぶって一気にギアを上げる』を体現できなかった点がインテルにとっては響きました。

考察記事でも触れた通り、現状インテルの保持における最大課題は大外の崩し方。

レッチェの大外殺しvsインテルの未完成大外

ホームチームの長所とアウェイチームの短所がうまく噛み合ってしまいました。

ちなみにレッチェの大外殺しを掻い潜って片側からクロスを上げれば、逆サイドの大外はどフリーなのでインテル得意の『大外→大外(→中央)』はより期待値を増します。実際得点時のダルミアンのフリーっぷりは凄かったですね笑。

開始早々の先制点はまだゲームに入りきれていないところに炸裂した形であっさり風味なでしたが、試合後に振り返るとレッチェが捨てている部分を突いた必然的な得点でした。
その後の展開を考えると本当に価値が高い先制点。

●密集で惑星はどう動く?

苦戦した原因は大外だけではありません。

同じく圧殺対象の中央、特にラウタロが消されてしまったのが印象的でした。

PSM考察記事のリマインドですが、今季のラウカクは以前のソレとは異なります。

ルカクが最前線、ラウタロが1.5列目的な立ち位置。

PSMではデータがありませんで僕の主観をお伝えするだけでしたが、公式戦はデータがあります。見てみましょう。

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・ヒートマップ比較
上がルカク、下がラウタロのヒートマップ。
ラウタロは広範囲を動き、ルカクはそのラウタロよりも高い位置でのプレーであることがハッキリと分かります。
SofaScoreを引用

尚、SofaScoreによると両者のボールタッチ数はルカクが32、ラウタロが40。

ラウタロがよりタッチをしていますが、最前線のポストプレー役とセカンドトップ役というタスクを鑑みれば、ラウタロのタッチ=直接プレー関与は流石に低すぎると言わざるを得ません。

行方不明な惑星

直前に行われたビジャレアル戦も相手に引かれてラウタロは消えてしまった印象が強く、まだこのタスクに馴染んでいないのはあからさまです。

とはいえ、昨季の『THE・センターフォワード』タスクからの移行ですし、結局立ち位置を下げたとてラウタロの基本軸は活かし活かされの「コンビネーションで破壊するフォワード」。

高い位置で指揮をしたり、個で剥がしたり、個で複数相手に対応して他を浮かせるタイプではないので(できなくはないけどメイン装備ではない)、現時点で彼を責めるのは酷ですね。

こういう時にディバラや(絶好調時の)センシが欲しいんですが世の中そううまくはいきませんね。セリエAは特に。

とはいえ、これまでNo.10に相応しい活躍を見せ、本節も「クリアすればドロー!」とレッチェが完っ全に守備に割り切れる最後の最後でアシストを記録するなど結果は出しました。

我らがエースなら現タスクの中でもやってくれるでしょう!信じてるぜ!

●失点はPSMよろしく、最悪の形

さて前半は開始早々に先制したインテル、後半は逆に開始早々に被弾します。
失点シーンはPSMの焼き直しといった形でめちゃくちゃ悪印象でした。

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✔︎直前のプレーで右IHバレッラが飛び出している
✔︎こぼれ球を拾ったゴンザレスからカウンター発動
✔︎シュクリニアルがディフランチェスコを潰そうとするも失敗
✔︎シーセイからディフランチェスコに戻した部分でもデフライがディレイできず

まずはシュクリニアルに『喝ッ』。
この状況下で”行ったなら”潰し切らないとダメ

PSMからプレス強度は上がれど”行った先”で相手を潰せず、は多発しています。今回もこれが同点弾のとっかかりとなってしまいました。

バレッラが上がっている+ブロゾヴィッチはスプリントに秀でていない、という状況を鑑みるとここは無理に潰さなくても良かったと思います。

ただ、昨季からのブレイクスルーを図っているからこその事象であることは頷ける。

であればですよ。

デフライは再度ボールを受けたディフランチェスコをなんとか遅れさせなければいけないでしょう。

状況的にディフランチェスコからシーセイへの折り返しを危惧して縦のパスコースを切れなかったのは非常に理解できます。

が、結果的にはどちらも中途半端に終始し、懸命にプレスバックしたシュクリニアルと重なってしまい縦に出された挙句、シーセイにあの角度からコースを狙えるシュートの余地を許してしまいました

個人戦術と連携面の調和ができておらずの被カウンター失点

現状、最も深刻な課題ですね。

個人的に第5節のミラノダービーが今からめちゃくちゃ怖いです。

ミランの長所(カウンター)とインテルの短所(被カウンター)がうまく噛み合いそうで。

●大外での仕掛けで息を吹き返す

失点からレッチェの波に飲まれるインテル。

戦術的な側面に加え試合の流れ由来のバフも乗り、ここは我慢の時間
状況を打破するために57分、67分と早い時間に4枚を替えてきたシモーネ監督ですが采配お見事、これが功を奏しました。

圧倒的なフィジカルを有しつつもなぜか爆裂突破を見せず、ファンをやきもきさせるドゥンフリースですが本節は積極的な姿勢が見られました。

特に68分のカットインは理想的。
レッチェの圧殺を逆手に取った感じで、密集ゆえにドゥンフリースの仕掛けが周囲の意識を奪い他がフリーとなり決定機へと昇華しました。

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また左WBもディマルコになったことで幅広いレンジからのクロスが可能に。
ルカク・ジェコ・ドゥンフリースと巨塔が3枚となりシンプルに空爆の火力が増しました。

上記カットイン直後のディマルコ→ドゥンフリースはレッチェに先制点をフラッシュバックさせたことでしょう。

こちらもPSMで言及しましたが現状、左WBはディマルコがベストですね。
ディマルコ特有のフリーランによるパターンのレパートリーは減りますが、ゴセンスがここまで機能しないとなると単純にクロスを放ってくれるだけで意義が大きい。

CBの層、その攻撃参加によるリスクマネジメントを鑑みてスターティングはゴセンスが勤めることが多いと思いますが、膠着状態やビハインド時は変に引っ張らないで欲しいです。あくまで現状は、ですけど。

両サイドの怖さで保持にリズムが生まれる

大外が効果的になったことで、保持やり直しにもリズムが生まれたのが大きかったですね。
ブロゾヴィッチの代わりにアンカーに入ったチャルハノールも小気味よく捌いてくれたのでスムーズにサイドチェンジができていました。

再び押し込めるようになったからこそ、シモーネ監督はFW4枚投入というファイヤーフォーメーションできたと見ています。
押されっぱなしだったら流石にこの交代策はチョイスできなかったでしょう笑

ポジティブな事象の発生源となり、最後の最後に泥臭くもネットを揺らしてみせたドゥンフリース。
彼は間違いなく本節の主役でした。

●雑感

本節、劇的な勝利だったとはいえインテリスタの不安はむしろ大きくなってしまった試合だったかなと思っています。

とはいえ、試合の流れを俯瞰して見ると

・相手の土俵が整う前にすり抜け、先制

・相手の土俵で戦い苦戦した挙句、失点

・相手の土俵を攻略することで勢いを取り戻し、逆転

という筋書きだったので、とりあえずは美味い酒を飲んだり快眠で良い夢を見れそうです。

がしかーし。

繰り返しとなりますが、第5節でおらが街のライバルであり、現状の課題から鑑みるに天敵であるミランとぶつかるので、「公式戦で最後の最後に勝点3を掴めた」というドラマティックな因子でモチベーション面やチームとしての勢い面でのブーストを期待しつつ、何か一つでも具体的な改善案を示して欲しいですね。

白状すると、本節だけの結果と内容からだとボコられる気がします笑

スクデット奪還には王者からの勝点は必須でしょう!

超がんばれ!インテル!!!

最後までご覧いただきましてありがとうございました🐯



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