今回はkayserが担当します。
「このマンガ、映像化してほしい！」企画の第2弾。取り上げるマンガは『月夜のグルメ』です。それでは、早速、どんな作品なのか紹介しましょう。

マンガ『月夜のグルメ』とは

多くのグルメ漫画があるなか、この『月夜のグルメ』もまた独特の世界観を持った特別な作品。「週刊SPA！」にて連載されていた本作は、作者都合により、2021年現在は休載されています。

父の遺した手帖に書かれたグルメな店の数々。その手帖を頼りに、主人公・朔良が深夜に繰り広げられるグルメな冒険に足を踏み出すという物語です。

原案は『阿修羅ガール』などで知られる作家・舞城王太郎。不思議な世界観で読者を魅了する舞城作品ですが、本作では新境地に挑戦しています。さらに、作者の舞城本人も酒好きということもあり、本作では、その幅広い知識を遺憾なく発揮することに。

その舞城原案をもとに、繊細な鉛筆画でこの物語を描くのは、新鋭・奥西チエ。前作の『玉子の毎週BBQ！』でもグルメの世界を描き、高い評価を受けました。奥西の描く圧巻の画に感動すら覚えます。

こんなに美味しそうな料理の画を描くグルメ漫画はそうそうありません。舞城王太郎×奥西チエという奇跡の競作が生み出した珠玉のグルメ漫画です。

マンガ『月夜のグルメ』あらすじ

主人公・朔良は、父のモレスキンの手帖を見つけます。その手帖は、東京で父が訪れた店とその店で父が味わった料理や酒について書かれたグルメ手帖だったのです。

手帖片手に、朔良は父の足跡を辿りながら、初めてのグルメの冒険「手帖のグルメ」を体験していくことに。

そこで待っていたのは、朔良がこれまで知らなかった新たな世界でした。美味しい料理や酒だけなく、父との思い出や初めて知る父の素顔、偶然出会う同僚の新たな一面など、数々の出会いが朔良を待ち受けていました。

そんな手帖のグルメを通して、自分自身をも見つけ成長していく朔良を描いた物語です。

こんな風に映像化してほしい！

『月夜のグルメ』を映像化するなら、まずは実写化してほしいなと思います。でも、アニメ化も捨てがたい。どちらにしても楽しめる作品です。

この作品に登場するお店は、みな実在します。そう考えると、実際の店で撮影し、その店で提供される料理や酒をみてみたい気もします。

また、作品の中に登場する店の種類も多岐に渡っており、その豊富さもこの作品の魅力です。和食、スペイン料理、中華料理、タイ料理、そば、もつ焼き、おでんなどなど。どれもとっても本当に美味しそう。加えて、それらの料理に合わせる酒の数々も知ることができます。

そんな原作に負けないようなグルメな知識も楽しめる充実な内容にしてほしいと思います。

ここだけはおさえてポイント！

『月夜のグルメ』は、グルメ漫画という側面だけなく、主人公の成長物語でもあります。父の手帖を参考に、それまで知らなかった食の楽しみを見つけていく主人公の朔良。

父の手帖を探る冒険は、父自身を知ることにも繋がります。そして、父に似た自分自身も。朔良も知らなかった自分と出会うことで、彼女もまた大人へと成長していくのです。

そんな朔良と父という親子の絆を描くこともこの作品では大事な部分。美味しい料理や酒が登場するのはもちろんですが、朔良と父の親子の物語としても楽しみたい作品です。

また、季節ごとの夜の風景も魅力のひとつ。夜桜、春雨、こいのぼり、ツツジ、夏祭り、夜のセミ、木枯らし、酉の市、初雪などなど。そんな美しい風景も映像で表現されていけば、なお一層味わい深い作品となることでしょう。

登場人物紹介とイメージキャスト

＊朔良（さくら）
本作の主人公。新月（朔）から朔良と名付けられました。月の髪飾りがトレードマーク。父の手帖と出会い、父の足跡を辿るため、深夜さまざまな店を訪れることに。徐々に、お酒や料理の奥深さを知っていきます。

イメージキャスト：松本穂香

＊朔良の父
朔良の回想にのみ登場します。顔もはっきりとは出てきません。すでに亡くなっている様子。手帖の持ち主です。単身赴任だったのか、家族と離れて東京で暮らしていたようです。手帖には、自分が訪ねた飲食店の記録と感想を残していました。

イメージキャスト：小市慢太郎

＊朔良の妹
田舎で母と暮らしています。朔良とは仲がいいようで、雛祭りや朔良の誕生日には連絡し合っています。大人しい朔良とは違い、今どきの元気な高校生です。

イメージキャスト：田牧そら

＊柘植さん

朔良の同僚。朔良が訪れる店で、たまに顔を合わせることも。職場とはまた違う雰囲気です。お酒を飲みながら本を読むのが好きらしく、いつも1人で来店しています。朔良との程よい距離感を保ちつつ、次第に親しくなっていきます。

イメージキャスト：臼田あさ美

謎の男性

朔良が父の手帖をもとに訪れる店で、たまに見かけるメガネ姿の男性。朔良は気付いていませんが、この男性は朔良のことを覚えている様子です。いつも同僚の男性らしき人物と一緒に店にいます。

イメージキャスト：岡山天音

まとめ

今回の「このマンガ、映像化してほしい！」企画第2弾では、『月夜のグルメ』を紹介しました。食の楽しさと奥深さ、親子の愛など、心温まるエピソード満載。映像化された際には、原作漫画とともに楽しめる作品になってほしいです。そしていつか、朔良の辿った足跡を筆者も巡っていこうと思っています。

kayser