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7月28日公開オススメ映画『ラテンビート映画祭presents「フラメンコ!フラメンコ!」』

映画ライターの松 弥々子が、7月28日に公開されるオススメ映画をご紹介します。


ラテンビート映画祭presents「フラメンコ!フラメンコ!」

昨年12⽉に2⽇間限定で上映されたラテンビート映画祭 presents「フラメンコ!フラメンコ!フラメンコ!」。その際に特に人気の高かったのが、『フラメンコの魔性と神秘』(1952)、『ロス・タラントス~バルセロナ物語~』(1963)の2作品です。

この7月28日からラテンビート映画祭presents「フラメンコ!フラメンコ!」と銘打って、この2作品がヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸の3館で順次上映されることとなりました。

フラメンコの魔性と神秘

この『フラメンコの魔性と神秘』は、1953年の第6回カンヌ国際映画祭で特別賞・ダンス賞を受賞したドキュメンタリーです。カンテ・グランデ、ファンダンゴ、カラコレスなど、さまざまな形態のフラメンコをじっくりと見ることができます。また、アルハンブラ宮殿やイベリア地方の風景を背景に、当代の名ダンサーたちがダンスを見せています。

また、1952年当時としては革新的だったシネフォトカラーが使われている点にも注目です。当時の人々は、スペインの地の乾いた風景と、色鮮やかな衣装に息を飲んだことでしょう。スペインの地に伝わるフラメンコの精神と、内なる情熱を感じさせるドキュメンタリーでした。

『フラメンコの魔性と神秘』(73分/スペイン/1952年)
原題:Duende y Misterio del Flamenco
監督・製作・脚本:エドガー・ネヴィル
出演:グラン・アントニオ、ピラール・ロペス、ベルナルダ・デ・ウトレーラ

ロス・タラントス~バルセロナ物語~

1964年に『バルセロナ物語』というタイトルで日本公開もされた『ロス・タラントス~バルセロナ物語~』
本作の原作は、『ロミオとジュリエット』に影響を受けたというアルフレード・マニャスの同名小説です。

タラント家の息子・ラファエルと、ソロンゴ家の娘・ファナ。一目で恋に落ち、熱い時間を過ごした二人は、後になって親同士が敵対していることに気づきます。ラファエルの母親はやがて二人の愛を認めるのですが、ファナの父親は彼女を許そうとせず、自分の部下・クーロにファナを与えようとします。しかし、クーロがファナに乱暴を働いたことで、彼らの運命は狂っていき……。

この作品を見ていると、バルセロナに生きるロマの間にどれだけフラメンコが根付いているのかを、深く感じることができます。日常の中にフラメンコがあり、うれしいとき、楽しいとき、心が動いたときと、常に彼らはステップを踏み、歌い踊るのです。

特に、カルメン・アマジャ演じるラファエルの母アングスティアスが砂埃のなか足を踏み鳴らして踊る姿、ラファエルの友人のモヒが夜の街角で見せるダンスは必見です。
他にも、バルセロナの地で生きるロマのさまざまな暮らし、1960年代のバルセロナの街角など、見どころたっぷりの名作です。

『ロス・タラントス~バルセロナ物語~』(83分/スペイン/1963年)
原題:Los Tarantos
監督・脚本:フランシスコ・ロヴィラ・ベレタ
出演:カルメン・アマジャ、ダニエル・マルティン、サラ・レサーナ

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