見出し画像

成瀬家の3つの重宝

成瀬家には精神的な家の宝以外に、江戸時代初期に刊行したと言われる茶道具の大名物帳「頑貨名物記」に載っている3つの重宝があった。
1つは唐物の茶入「ろてい」、2つ目は、室町時代、3代将軍足利義満の時代に収集された品が中核と言われる「東山御物」。その中で結構有名な掛軸で、今は徳川美術館所有になっている中国の夢準師範自画自賛の「達磨・政黄牛・郁山主図」だ。そして3つ目が、鎌倉時代に活躍した歌人・藤原定家が書いたと言われる「小倉色紙」。江戸時代から所有が変わっていないのは、確か3家ぐらいしかなく、そのうちの1つが成瀬家であり、その成瀬家に伝わっているのが、小倉百人首で知られている女官の右近作である「わすらるるみをばおもはずちかいてしひとのいのちのおしくもあるかな」だ。

ここから先は

3,964字

¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?