曽水に生きて 成瀬正成 下


21 犬山城拝領

江戸に下向してきた付家老5家に対し、将軍秀忠公は驚いたことに、居城を与えられた。
成瀬家が拝領した居城は、さらに驚いたことに、小吉が初陣を果たした時の、豊臣秀吉の陣であった犬山城であった。あまりのことに小吉は、その場で声をあげそうになるくらい、嬉しかった。その気持ちを抑えて、必死に冷静を保とうとしている小吉の気持ちがわかったのか、安藤帯刀は笑みを浮かべて「隼人正、良かったな」と素直に肩を叩いて、喜んでくれた。
翌日小吉達は、名古屋に戻るべく江戸を立ったが、小吉はいつになく自分が、晴れやかな気持ちであることに、気がついた。

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