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すべての悩める子どもたちに届けたい名曲「透明切符」(ゆづりぱ)

現在、第3回大会まで終了した『Sing&Win-賞金歌手』のカバーバトル。
選定曲をアーティストが思い思いのやり方でカバーして、YouTube動画の再生回数を競い、1位になったら優勝。1位から3位までは賞金がもらえる。そんなコンテストだ。

OSAKAのタニマチさんという実業家が主宰している。

このカバーバトルは、カバーが得意な歌手にとっては、世に出る絶好の機会。
私も、毎回、すべての参加者の動画を視聴させてもらっている。新たな才能を見つけるために。

ただ、再生回数という結果は、あまりあてにしていない。元々のファン数にも左右されるからだ。
私が専ら視聴するのは、そのアーティストのYouTubeチャンネルに発表されているオリジナル曲である。

私は、これまで3000組を超えるアーティストを視聴してきて感じていることがある。
歌が上手い歌手はごまんといるが、曲作りが上手いシンガーソングライターはほとんどいない、ということを。

それだけに、素晴らしい楽曲を制作するシンガーソングライターに出会ったときの喜びは大きい。年に数回出会えるかどうか、という程度だからだ。

先日の第3回大会出場者の中で見つけたのは、ゆづりぱさん。
「透明切符」という曲に引き込まれた。

ゆづりぱさんは、Xで「透明切符」について、自らこう解説している。
「本気で死にたいと思った子どもの頃の自分に宛ててかいた歌
いろんな気持ちを抱えながらも今を生きている、全ての人に届きますように」

私は、この曲を聴いたとき、アンジェラ・アキさんの「手紙~拝啓 十五の君へ~」の2番を思い出した。あの曲は、1番で15歳の自分が未来の自分に向けた手紙を書き、2番で大人の自分が15歳の自分に向けて手紙を返すという構成だった。

そんな「手紙」へのオマージュも入っているのだろうか。
ゆづりぱさんの「透明切符」は、大人から子どもへの想いをさらに深めて表現している。
描いているのは、全編にわたって大人の自分が子どもの自分に向けて、まるで親が子どもを見守るように、心配し、励まし、温かく鼓舞するメッセージだ。

ゆづりぱさんが死にたいくらい悩み苦しんだ子ども時代へ向けたノンフィクションとも言える作品だけに、実感がこもって伝わってくる。
私も、死にたいくらい悩み苦しんだ子ども時代は実体験として共感できるから、歌詞がすっと入ってくる。
「透明切符」とは、人間が生きている証である透明な息のことだ。ゆづりぱさんは、そんな透明な息を未来への切符として描き上げている。生きているだけで充分素晴らしいんだよ、と。
今を苦しみ、深く悩んでいる子どもたちに届けてあげたい名曲だ。

そして、何より、この曲が1回聴いただけで耳に残るのは、リズムとメロディーの心地よさだ。
優しく、それでいて温かく語りかける歌い出しと、何も求めず褒めて鼓舞するサビ。どちらも心弾むようなリズムで、極めて前向きに心を高揚させてくれるメロディーである。

こういう曲こそ、全国に広まってほしい。
NHKの『みんなのうた』に採用されたらいいのにな。そう願っている。


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