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"技術革新"だけじゃないイノベーションとは?~第7回インターン勉強会~

こんにちは。インターン生の国井です。

私は経済の実践的な知識をつける為にインターンに参加し、IRサポート業務を行いながら、主にメールマガジンの作成・配信等のマーケティング面を担当してきました。現在は僭越ながらリーダーの役割をやらせていただいています。

今回は、日本では技術と関連が深いと思われがちな「イノベーション」をテーマに勉強会で取り扱った内容をまとめてみます。

イノベーションの提唱者

イノベーションは、オーストリアの経済学者シュンペーターが1912年に出版した著書「経済発展の議論」の中で初めて唱えられました。その中で、シュンペーターは以下のような定義を述べています。


「新しいものを生産する、あるいは既存のものを新しい方法で生産すること」

そして、イノベーションの例として次の5つを挙げています。


1. 創造的活動による新製品開発
2. 新生産方法の導入
3. 新マーケットの開拓
4. 新たな資源(の供給源)の獲得
5. 組織の改革

では次に、各具体例について考えてみたいと思います。

イノベーション5つの具体例

1. 創造的活動による新製品開発
例)携帯音楽プレーヤー、スマートフォン

市場を一変させる新製品の開発が1つ目の例として挙げられます。具体的には、音楽を気軽に持ち出せるようにした携帯音楽プレーヤー、大画面で直感的な操作が出来るスマートフォン等があります。これらの新製品が瞬く間に世界に広まっていった光景は記憶に新しい方も多いかと思います。

スマートフォン

2. 新生産方法の導入
例)SPAモデル、カンバン方式

既存のモノを新しい方法で生産する事が2つ目の例です。企画から生産、そして小売りまで一括して手掛けるSPAモデルと呼ばれる生産方法や、トヨタ自動車が開発した生産指示書(カンバン)を用いたカンバン方式等が有名です。

3. 新マーケットの開拓
例)スマートフォン向けゲーム市場

それまで参入が無かった新しい市場を開拓する事が3つ目の例として挙げられます。多くの人がスマートフォンの普及でゲームを始めた事は、企業にとって大規模かつ魅力的な新市場の出現を意味していました。

4. 新たな資源(の供給源)の獲得
例)ポスト・イット

製品を作る為の新しい材料や提供元を確保する事が4つ目の例です。まず、「新しい資源の獲得」の例としてまずポスト・イットを取り上げたいと思います。元々は別製品を作る過程で生まれた接着力の弱い接着剤が「新しい資源」として活用されています。

ポストイット

また、サプライチェーン(供給源)の変更も「新しい資源の供給源の獲得」の例として挙げられます。例えば、飲食店で提供する食べ物を今までより安く、そして早く届く産地に変更するといった事も実はイノベーションとして考える事が出来るのです。

5. 組織の改革
例)社内ベンチャー

所属する組織の中で、新しい組織形態を生み出す事が5つ目の例です。具体例としては新事業等を進めるために社内に独立した組織を作り、社員が企業家として活動する社内ベンチャーが挙げられます。また、他の企業との協業で付加価値を生み出す事もこの「組織の改革」に分類されると言われています。

ここまでシュンペーター教授の定義に従った5つの分類を取り上げてみました。「技術」だけに留まらない幅広い事象がイノベーションの対象になる事が分かっていただけたかと思います。

では次に、現代でよく使われている辞書で、「イノベーション」という語句を引いてみたいと思います。果たして「技術」という言葉は出てくるのでしょうか?

国語辞書・英英辞書の「イノベーション」

辞書一覧

英英辞書と国語辞書でそれぞれ「イノベーション」という語句を引いてみると面白いことがわかります。ご覧のように国語辞書には英英辞書に書かれていない「技術」という語句がイノベーションの解説に登場しているのです。ではいったい何故、日本ではイノベーションが「技術革新」と定着したのでしょうか?

日本で「技術革新」が定着した理由

日本で初めてイノベーションという語句が登場したのは、内閣府が発行する「年次経済報告」であるとされています。

経済白書

確かに、イノベーションが「技術革新」とされていますね。この年次経済報告から、日本国内で「技術革新」という語句が定着したとされています。

さて、「技術革新」となった理由については様々な説が唱えられていますが、一説では当時の時代背景が関係しているとされています。当時の日本は高度経済成長期、つまり機械を作り、輸出して国力を高めていくという時代でした。

そのような時代で、新しいモノの生産等となると必ず機械、つまり「技術」が絡んできたと考えられます。そのような背景から「イノベーション=技術を開発あるいは改良する事」とされて、日本で定着していったとされています。

最後に

日本では「技術」の話と思われがちな「イノベーション」という概念について今回は取り上げてみました。イノベーションはもともと幅広い定義を持っており、そして世の中の多くの事象がイノベーションとして考えられるのだ、と理解していただけたら幸いです。

「技術」という語句に囚われすぎず、もっと自由に考えてみると、皆さんもイノベーションの実現者になれるかもしれません!

※本noteは株式会社インベストメントブリッジとしての意見・見解ではなく、あくまでも一個人の意見・見解となります。

参考文献

『明鏡国語辞典(第2版)』(2016)大修館書店
『新明解国語辞典(第2版)』(2012)三省堂
Oxford Learner’s dictionary(オンライン版)
https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/
Cambridge dictionary(オンライン版)
https://dictionary.cambridge.org/ja/
文部科学省 平成18年度版科学技術白書 コラムNo.7「イノベーションとは」
https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11293659/www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa200601/column/007.htm
内閣府 年次経済財政報告(経済財政白書) 昭和31年度(1956年)
https://www5.cao.go.jp/keizai3/keizaiwp/wp-je56/wp-je56-010303.html



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