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お勧めの書籍:現実とは?

本のタイトルは、「現実とは?: 脳と意識とテクノロジーの未来」です。ハヤカワ新書から出ています。VR、ARなど総称してXRを軸にして、現実とは何なのかを多数の対談者と議論しています。XRテクノロジーの向かう先、将来的なXRの発展形を想像するのに適した本だと思います。

私はテクノロジー好きです。Apple Vision Proの日本発売はまだですが、日本で買えるようになったらすぐに買うと思います。そんな私ですが、この技術の向かう先を想像するのはなかなか難しいです。そこで、今後発展しそうなテクノロジーや関連企業を考えるために、本書を手に取りました。

単なるエンタメとして発展する形、人間の能力を拡張する方向での発展(身体障碍者のサポートも含む)、コミュニケーションツールとしての発展など、様々な具体的可能性が議論されており、この本を手に取った目的には十分すぎる内容でした。

個別の対談で興味深かった回は、養老孟司先生との対談です。私は、「唯脳論」など養老先生の本は以前からよく読むのですが、先生の論理的でかつ明晰な物言いが好きです。

養老先生と著者との対談で、著者がBMI (Brin Machine Interface)を研究していることを話すと、養老先生がBMIは気持ち悪いというクダリがあります。私の理解では、個性は身体に宿り、精神や心に個性はないと養老先生はお考えです。要は脳機能(精神や心)は、他人に理解され社会で共有されて初めて意味が生まれるので、脳機能(精神や心)は、個性のような自分だけの特徴ではない、と。その共通性が揺らぐことに関してBMIが気持ち悪いと養老先生は仰ったのだと思います。本書では著者が対談を振り返るパートがあるのですが、養老先生との対談後の振り返りを読むと、そもそもこの養老先生の基本的な考え方と著者の考え方が違うのだろうと感じました。

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