CASEに関わる最新海外動向 (2021年5月)

~2021年6月5日

この期間の重要な動向

■ バイデン大統領は$174BのEV化計画をFord F-150 Lightning発表の前日、Fordの工場で表明した。米国にとってのEV化と国内産業醸成の重要性を強調している。

■ 米国連邦政府の半導体製造と研究への政府資金$52B ($174Bの内数)は、州政府や企業からを含め最終的に$150B以上の投資の呼び水になり、今後米国で10程度の半導体工場を作り得る。

■ 韓国は今後10年間で世界最大の半導体製造基地を建設し世界の半導体生産の王冠を獲得するため$450Bを投資。次世代半導体事業に$116Bを投じるSamsung電子や、$20Bを投資するIntelとの競争激化に直面し、台湾TSMCは$100Bを投資し生産規模を増やす3年間の計画を発表。

■ 自動車がセンサーとオペレーティングシステムにより、コンピューターのようになるにつれ、中国市場の戦場化とHuawei等の中国ハイテク巨人の投資能力に注視を要する。

■ 石油資源が20世紀経済の生命線であったように、EV時代の主要な資源はバッテリーとなる。今後、希土類鉱物資源の確保とリサイクル技術の拡大が政府レベルや企業レベルで重要な議題になる。

■ 米国でTeslaはModel 3とModel Yで、レーダーを外して出荷している。カメラ+AIベースのビジョンシステムがレーダーを不要にした。また、キャビンカメラを利用してドライバーモニタリングシステムの提供を開始した。

以下詳細です。

◎◎◎ 中国の動向 ◎◎◎

★ センサーとオペレーティングシステムにより、自動車はコンピューターのようになり、自動車産業が燃焼エンジンから離れてハイテクになりつつあり、中国が重要な戦場になっている

◇ Huaweiが最前線に立っており、EVと独自の自動運転技術に$1Bを投資する計画で、すでにいくつかの面でTeslaを「すでに上回っている」と主張している。

◎◎◎ 米国の動向 ◎◎◎

★ バイデン大統領は$174BのEV化計画をFord F-150 Lightning発表の前日、Fordの工場で表明

◇ 「米国はEVの市場規模とバッテリーの生産の両方で中国に遅れている」と言い、「自動車産業の未来は電気だ」、「もう後戻りは出来ない」、「米国はEVの世界市場をリードするために中国と競争している」と宣言した。
◇ 米国政府は、50万台の公共充電器の設置に$15B、EVの購入に対する顧客のリベートに$100B、半導体の研究開発資金として$52Bを拠出予定。

★ バイデン政権のEV化計画には、リチウムやその他の金属を再利用するための国内リサイクルの推進も含まれる

◇ 使用済みバッテリーをリサイクルすることで、2040 年までに採掘による EV バッテリー用の新しい必要性を銅で55%、リチュウムで25%、コバルトとニッケルそれぞれ35%削減できると予測されている。

★ 政府高官によると、米国の半導体投資で10の半導体工場を作りうる

◇ 半導体製造と研究への米国政府資金$52Bは、州政府、連邦政府、民間セクターからの寄付を含め、半導体の製造と研究への投資に「$150B以上」がもたらされ7から10の新しい米国の工場をもたらす可能性がある。

◎◎◎ 日本の動向 ◎◎◎

★ 人々は運転免許証を取得し始めている。過去10年間でドライバー数と自動車販売が頭打ちになっている日本にとって重要な変化

◇ PwC Japanによると、昨年の世論調査の85%が、Covid-19禍の生活で、自分の車を持つことの重要性に気づいたと述べている。

◎◎◎ EVの動向 (Tesla) ◎◎◎

★ Model 3/Yはすでにレーダーセンサーなしで出荷している、一方LiDARをこれまで不要としてきたが、現在Luminarをテストしている

◇ 「我々のAIベースのソフトウェアアーキテクチャは更にカメラに依存するようになり、レーダーが予想よりも早く不要になっている」

★ ようやくAutopilotとFull Self-Drivingパッケージ機能を使用する際、キャビンカメラを利用してドライバーモニタリングシステムの提供を開始した

◇ Teslaがレーダーを使用せず、カメラのコンピュータービジョンのみに依存する新しいTesla ビジョン システムのリリースと同時に行われた

★ Full Self-Driving Beta v9とFSDサブスクリプションの日程を再び遅らせた

◎◎◎ EVの動向 (Ford) ◎◎◎

★ Fordは2025年までのEVへの投資額を$22Bから$30Bに増額し、ExplorerとLincoln AviatorのEVを開発する

◇ また、Ford Plusと呼ばれる新しい事業計画の一部として、Ford Proと呼ばれる商用車の独立組織を立ち上げ、2022年半ばまでにOTAでソフトウェアアップデートできる車両をTeslaよりも増やす計画。

★ Fordが発表したF-150 Lightningは、手頃な価格で、十分なパワーを備えており、最も安価なガソリン式F-150よりも牽引と運搬に優れている

◇ 巨大なフロントトランク、大量のオンボードパワー、さらには家への給電といった、非常に魅力的な機能を数多く搭載し、かつ全輪駆動を標準としている。

★ SK InnovationとBlueOvalSKと呼ばれる合弁会社を設立し、米国でEVバッテリーを製造する

◇ 2030年までに、自社の車両の年間エネルギー需要は、北米では年間最大140GWh、世界で最大240GWhになると予測している。

◎◎◎ EVの動向 (Daimler/BMW) ◎◎◎

★ Mercedes-Benzは100年続く古い工場(ファクトリー56)に$900Mを投資し、S-SeriesとEQSの連続生産を開始した

◇ Sクラスの強い需要と、6月中旬から注文開始となるEQSへの有望なフィードバックに支えられ、3シフトに労働者を追加予定

★ BMWのiX BEV SUVは走行範囲が300マイルで$82,300から始まる。i4セダンは$55,400から始まる待望の4-SeriesのBEV

◇ Tesla Model Xと真正面から競合するフラグシップラグジュアリーSUVとして位置づけられ、Audi E-tron、Jaguar I-Pace、Mercedes-Benz EQCとも競合。
◇ 当初レベル3の自動運転搭載をほのめかしていたが、i4、iXともにレベル2のADASレベルを搭載。

◎◎◎ EVの動向 (その他) ◎◎◎

★ Stellantisはイタリア政府の依頼により、イタリア国内でのバッテリー製造投資を検討

◇ Tavares CEOは、フランスPuegeotからの圧力もあり、VWに次ぎ欧州で2番目に大きい自動車メーカーのトップとして難しい立場にある

★ RivianはIPOの引受会社 (Goldman Sachs、JPMorgan Chase、Morgan Stanleyが含まれる)を選んだ

◇ Rivianは今年後半に予定されているIPOを経て、来年にはイリノイ工場で数万台の車両を生産する予定。

★ 中国のWulingはMiniの流行に乗って来年百万台を超える出荷に賭けている

◇ 現在、$6,000以下のMacaronシリーズがブランド志向の中国で切望される「アクセサリー」として売り込むSNSメディアを利用したマーケティングで成功している。

★ 日産は半導体不足により、フラグシップEV Ariyaの販売開始を遅らせる

★ スバルは来年米国で出荷するBEV SUVのSolterraの一部を見せた

★ FiskerとFoxconnの ‘Project PEAR’ EVは楽観的な$30,000の価格を目指している

◇ Foxconnは、25万台以上の予測年間生産量で車両を製造する。生産開始予定は2023年第4四半期。

◎◎◎ EVの動向 (全般) ◎◎◎

★ ガソリン車とEVの価格差が縮んでいる

★ EVは環境には良いが、財布にはそうでもない

◇ EV車両はまだ新しいので修理費用は高価。生産規模が拡大するにつれて、EV部品のコストは下がる可能性がある。

★ EVスタートアップのいくつかはSPAC/IPO等で莫大な金を集めた後、さらに金が足りず生産に至らぬまま止まっている 

◇ Lordstown、Canoo、Lucid、Faraday Future、Fisker等がそれに相当する

★ EVにおけるグリルデザインの目的はブランドを明確に呼び起こし、最先端のテクノロジーを表現する事にある

◎◎◎ EVバッテリーの動向 ◎◎◎

★ 石油が20世紀経済の生命線であったように、EV時代の主要な資源はバッテリーだ

★ 希土類鉱物資源のサプライチェインが自然災害、労働争議または貿易紛争、建設の遅れ、およびパンデミック等により分断された際、EVへのインパクトは長期化する

◇ 米国大企業による鉱物の再利用とリサイクルの拡大、倫理的な採掘のための国際協定、および米国の探鉱の拡大が始まる可能性がある。

★ クリーンカーブームでEVバッテリーの売上が爆増している

◇ 上位10社の内、トップ7社がその92%の生産量を占め、各社の前年からの伸び率は上位からCATL (289%)、LG (133%)、Panasonic (52%)、BYD (181%)、Samsung (84%)、SK (143%)となっており、パナソニックの伸びは他社より低い事が危惧される。

◎◎◎ MaaSの動向 ◎◎◎

★ UberとLyftは2030年までに完全EV化を約束しているが大きな困難に直面している

◇ ドライバーにEVを買う余裕がない。

◎◎◎ 自動運転の動向 ◎◎◎

★ VWは今夏ドイツでArgo AIを載せた完全自動運転バンのテストを開始

★ Appleは自動運転EV市場への道を探している

◇ 自動車が携帯電話と同様にパソコンに変身する兆候があり、自動運転技術とEVのリーダーが勝者になる。

◎◎◎ 半導体不足の動向 ◎◎◎

★ 韓国は、今後10年間で世界最大の半導体製造基地を建設し、世界の半導体生産の王冠を目指すため$450Bを投資

★ 台湾TSMCは、次世代半導体事業に$116Bを投じるSamsung電子や、$20Bを投資して足場を取り戻す計画を立てているIntelとの競争激化に直面し、4月、生産規模を増やすために$100Bを投資する3年間の計画を発表

★ 半導体のリードタイムは新記録を達成しており、在庫の蓄積、安全在庫の構築、二重発注など、顧客の「悪い行動」を誘発しうる

◇ 本来不足していなかったディスプレイドライバICや、パワーマネジメントチップのリードタイムも拡大しており、一部の顧客による過剰注文を反映している可能性がある。

★ 自動車メーカーは半導体危機によりジャストインタイムによる製造を考え直している

◇ 半導体の供給危機をうまく乗り切っているメーカーは、半導体を不可欠なシステムと見なし、半導体メーカーと直接協力して製品を確保している。

★ 多くの自動車メーカーが半導体不足で生産を落とす中、日本の車メーカーは売上を伸ばした

◇ 中国と米国での自動車需要の高まりを受け、日本の自動車メーカーの売上高は 4 月に急増したが、6 月と 7 月には生産ラインが窮地に陥る可能性がある。

★ 世界が半導体不足と戦っている間、GMにはバックアッププランがあった

◇ 重要な車両への影響を最小限に抑えるために必要な場所に半導体を移動するためのシフトを早期に開始した。

★ 半導体はなぜもっと多く作れないのか?

◇ 個々のトランジスタは、ウイルスの何倍も小さい。層間は、わずか1原子分の厚さで、ほんの一片のほこりが大混乱を引き起こし、$数Mが徒労になる。

◇ 半導体製造施設を建設するのに何年もかかり、何$Bもかかる。








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