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「腐るお金」の持つ可能性

みなさん、こんにちは。
わたしはとある日本企業のサラリーマンです。所属する部署で、2年前まで管理職に就いていましたが、メンタル不全に陥り管理職を降りました。
気力と体力が回復したら、また管理職に復帰してバリバリと仕事に励もうと志してきましたが、最近自分が就いていた仕事を第三者視点で見ているうちに、「なんて非生産的で、非効率な仕事をしていた、もしくはやらされていたのだろう」と考えるようになりました。果たして自分の仕事のどのくらいに意味があるのか、もしくは自分の働き方が効率的なのか、という視点で日々考え、本を読んで勉強するようになりました。まだまだ勉強中ですが、自分の頭を整理する意味も込めて、noteを使ってアウトプットしていきたいと考え、この記事を書いています。


今回参考にした書籍は篠原 信氏の「思考の枠を超える」です。

人類最大の虚構は「お金」である

書籍では、ベストセラーとなった「サピエンス全史」の中で、「人類最大の虚構はお金だ」と指摘してることに触れています。

お金には、「虚構ならではの不思議な性質がある。劣化しないことだ。一万円札は、ボロボロになっても一万円。バナナは一週間もすると真っ黒になり、商品価値をなくすのに、お金は(インフレやデフレで多少価値が変動することはあっても)劣化しない。これはお金が虚構だからこそ成立する、不思議な性質だ。

思考の枠を超える

私はまだ「サピエンス全史」を読んでませんが、「お金が虚構である」とは考えたこともありませんでした。「劣化しない」という性質は確かに不思議です。篠原氏はさらに続けます。

シルビオ・ゲゼルという経済学者を紹介しておこう。
この人物はなんと腐るお金を提唱した。
万物は腐ったり壊れたりして劣化するのにお金だけ劣化しないのはおかしいと考え、お金も劣化するようデザインしてはと提案した。
このアイデアを採用して大成功した事例がある。
ヴェルグルの奇跡と呼ばれている。オーストリアの小さな町ヴェルグルは世界大恐慌のために大変な不況に苦しんだ。
当時の町長は腐るお金を試そうと毎月初めに1%の有料スタンプを押さないと価値を失うスタンプ紙幣を発行した。そんなお金をいつまでも手元に置いていたらお金としての価値を失うかもしれない。かといって月初めに1%のスタンプ料金を支払うのはシャクそのお金をさっさと使い手放そうとした。
すると驚くべきスピードでスタンプ紙幣が流通し売買が盛んになってヴェルグルの経済が活性化した。
これがヴェルグルの奇跡と呼ばれる出来事だ。

思考の枠を超える

この「ヴェルグルの奇跡」という出来事も私は知りませんでしたが、経済学者のケインズは「腐るお金」を提案したシルビオ・ゲゼルという経済学者を高く評価していたようです。


お金が劣化することなく、それどころか増殖する性質を持つために、ついつい 大量消費を促してしまう仕組みが現在の経済システムには働く。
お金が劣化しないために資源の浪費が止まらず地球環境の破壊が止まらないという面があるならば、今後はお金も腐るようにデザインし、ヴェルグルの奇跡で起きたように経済を活性化させつつ、お金の総量を少しずつ減らし、物質消費を少しずつ減らしていくという思枠のデザインもありなのかもしれない。お金は人類全体を突き動かす最大の思枠でもある。その思枠をいかにうまくデザインするか、これが人類という種族を地球上で持続可能にできるかの試金石になるのかもしれない。

思考の枠を超える

日頃から資本主義一辺倒の現代社会で生きていくことに疑問を感じていた私には、斬新かつ非常に面白いアイデアと感じました。腐るお金の導入には、様々な課題も考えられますし、様々な反対意見も存在すると思います。ですが、「腐るお金」は、経済活性化と環境問題解決に貢献する可能性を秘めた、非常に興味深いアイデアです。

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