見出し画像

対談-僕らの会社ができるまでの話。 〈1〉

2022年の2月末に外資系大手を辞めて、会社をつくることにした。
企業のIR資料づくりを中心に据えた制作会社だ。
本作は、リアルタイムで創業を目指すそんな僕自身の物語。

2022年4月4日、ついに僕らは株式会社イチロクザンニを創業した。

今回は番外編として、ここまでやってきた創業周辺の流れと感想を友井との対談形式で記していこうと思う。
長くなったので、数回に分割して投稿していく。

現職を辞めて起業することにした流れや、登場人物(僕と友井)、事業領域決定の経緯についてはこれまでの記事を読んでもらえると嬉しい。


4月4日、ついにイチロクザンニ創業!!


新実:
ついに開業しちゃいましたねぇ。

友井:しちゃいましたね。4月4日16時32分。チートイツの日のイチロクザンニに。

新実:たまたまだからね。狙ってないからね(笑) とりあえずここまで全体を振り返ってどんな気持ち?

友井:長くてとてもしんどい準備期間を終えて、いよいよという感じだね。ここから本格的に頑張らなきゃ、と。

新実:翔太(友井)には早い段階から全企業のIR資料を見てデータベースを作ってもらったり、会社立ち上げの事務手続きとかを全部やってもらったりしたからね。本当にありがとうございます。

友井:本当にその通りでしかない。思い出したくもないくらいツライ日々だったよ……(笑) でも結果的には世の中のIR資料の大半に改善の余地があることが目に見えて分かったから、やってよかったと思う。

新実:出発点は「微妙な資料が多いんじゃないか?」という仮説だったからね。それがすべての資料に目を通していく過程で「何が足りないのか」「どう改善していけばいいか」「良い資料はこういうものだ」みたいなことを言語化できるようになった。

友井:そう。とても学びがあった。と同時に、以前のnote「顧客候補=全上場企業3,769社の分析が完了。」にも書いたように、そのデータを生かすも殺すも自分たち次第だから、データベースのブラッシュアップとより詳細な分析をなるべく早めに進めなければならないと強く実感したね。

新実:おっと、それは僕のタスクですね……。頑張ります。ちなみに僕も翔太と同じように、会社ができた喜びよりもここから本気で頑張らなきゃという気持ちのほうが強くて。すべての物事を僕らで考えて、決断して、進めていかなければならないからね。そこにものすごく興奮しているし、緊張感があるのがたまらなくいい。

友井:ちょっと変態チックだけど、言いたいことはよく分かるよ(笑) 月並みな言い方をすると、まだスタートラインに立っただけ。SNSで開業を報告したときにたくさんの方から「おめでとう」と言ってもらえたけど、まだおめでたいことは何一つ成し遂げてないから頑張っていきたいね。

新実:クリエイティブに従事する身としてあまりにも月並みな表現でどうかとは思うが、概ね同意です。

左奥:新実 拓(にいのみ・たく)
代表取締役CEO/クリエイティブディレクター。1991年生まれ、東京都文京区出身。趣味はスポーツ観戦(主にサッカーと野球)と、麻雀やボードゲームなどの頭脳ゲーム。犬(シェットランドシープドッグ)のあおが可愛すぎて、ずっと家にいる。座右の銘は『果報は寝て待て』。IQは600を超える。

中央:友井 翔太(ともい・しょうた)
代表取締役COO/IRプロデューサー。1993年生まれ、神奈川県町田市出身。趣味はバレーボール、麻雀、ボードゲーム、読書。個別株投資が大好きで投資歴は今年で9年目。酒にめっぽう弱く、缶チューハイを1本空けると次の日には雪が降ると言われている。


法人登記完了までの歩み

新実:ここからはそれぞれの出来事について振り返っていこうと思うんだけど、第6話「タスクの整理は、地獄のはじまり?」でやるべきタスクを整理したじゃないですか(以下のリスト参照)。上から順に当時の心境とかを話していこうかと。

友井:いいね。

会社の立ち上げに向けたタスク
・会社名の決定
・法人登記に向けた各種準備
(オフィスの選定、定款の作成、事業計画書の作成、出資額の決定など)
・企業の顔となるロゴやコーポレートページの作成
・編集時代にお世話になった人への挨拶
・現職の会社を辞める
・家族に説明し、納得してもらう

①イチロクザンニで本当によかったのか?

新実:まずは、会社名の決定について。イチロクザンニの反響はいかが?

友井:名称を伝えたあと、「どういう意味?」ってよく聞かれるよね。

新実:それな。最近は意味を説明するのめっちゃめんどくさい(笑) ”ありがち“じゃない会社名かつ遊び心があって語感が面白いものがよかったわけだけど、さすがにちょっと遊びすぎたかなぁとも思ったり。
第8話「社名に込めた想いと、ほんの少しの遊び心。」参照

友井:正直、拓(新実)から「いい名前、思いついた!」というチャットが飛んで来たときは冗談だと思ったよね。ただ、いくつかの意味合いを重ねた由来を聞いたら、意外と面白い気がして。麻雀知らない人は由来を説明しても大概みんなハテナを浮かべるけど、麻雀好きの知人からは由来の説明なしに「リーヅモチートイ」とだけコメントが来て、なんか嬉しい気持ちになった(笑)

新実:伝わったら嬉しいよな。この名称で本当に大丈夫なのかは分からないけど、広く浸透して定着するように自分たち色に染めていければいいよね。

友井:メンホンチートイツを目指していきたい!

新実:ツモって、サンゼンロクセンですね。

②バーチャルオフィスという便利な選択肢

新実:続いて、法人登記の準備の話だね。登記する際の住所、つまりオフィスと拠点をどこに置くかについては一瞬で決まった印象があったけど。

友井:ここ数年、コロナの影響で家で働くことが割と当たり前になっていたから、お互いそれぞれの自宅を拠点とすることに何の違和感もなくて。できるだけ固定費も抑えたかったし、バーチャルオフィスに登録して住所と郵便ポストを借りるのが最善だと思うと提案したんだよね。そしたら「それで行こう。オフィスをどこにするかは一任する!」って君が言うもんだから、20秒くらいで話が終わった(笑)

新実:リサーチした人が一番情報を持っているんだから、迷ったときだけ相談してくれれば、あとは勝手に自分の判断で進めてほしいという僕のスタンスを、このときに初めて示したような気がする。

友井:そうだったね。基本的には報告ベースでいいことが分かって、普通の企業なら判断を仰ぐべき項目とかも、返事を待たずに進められるようになった。一方で、自分の決定が会社の動向に直結するから、ちゃんと調べて選んでいかなければならない。「責任」ってこういうことなんだなと実感した。

新実:大袈裟だな(笑) それで結局レゾナンスの渋谷店にしたわけだ。

友井:求めていた最低限の機能がすべて揃っていて、しかも月額1,650円。世の中には便利なサービスがあるもんだなぁーと。ちなみに渋谷店にしたのは、渋谷がスタートアップの聖地だから……というわけではなく、僕らのバレーボールチームが渋谷の体育館を継続利用するために、渋谷区在住もしくは在勤の人があと2人必要だったから(笑)

新実:更新の時期がちょうど近づいていたんだよね! ちなみに登録したもののまだ一回も行ったことないんだよね……一応、自分たちのオフィスなのに。 

友井:俺も(笑)

③会計サービスの決め手はおじさんの声色

新実:定款の作成は結構大変だった?

友井:作成自体はそこまでではなかったかな。「マネーフォワードクラウド会社設立」というサービスに登録して、あとはもう成り行きで。

新実:マネーフォワードさんってそんなこともやっているんだ。

友井:そうそう。しかも利用料金が無料。競合のfreeeも同様のサービスをやっていたから、導入予定だった会計クラウドも含めてそれぞれを比較し、最終的にマネーフォワードに決めたんだよね。

新実:なるほど。会計ソフトの購入にもつながるし、集客にはもってこいということか。両社の決め手は?

友井:どっちのサービスも会計機能だけでなく、請求書の作成や勤怠管理などほしい機能を備えているもんだから選ぶのは難しかったけど、無料登録したときに電話をくれたマネーフォワードの方の喋り方と声色がいい感じだったんだよね。一方、freeeは無料セミナーに出たりもしたけど対応が自分にはいまいち合わなくて。だから最後は印象勝負で決めた感じかな。
いずれにせよ、こういうオペレーション系は好きだから色々と楽しみではある。気分は大企業のコーポレートですよ。まだ従業員は2人だけど(笑)

新実:このときのために簿記の資格を取ったようなもんだもんな。対面で会って、資料に入れ込む事項とか話したのはその後だっけ?

友井:そう。定款作成に必要な会社の目的や、決算期をいつにするか、役員報酬の金額といった俺だけでは決められない項目を入力するときだね。

新実:会社の目的はやる可能性のある事業をちゃんと盛り込む。決算期は消費税の納税免除期間(2年間)の恩恵を最大限受けられる2月末に設定。役員報酬は生活を壊さない程度に僕はもらい、翔太は序盤は低めに抑えるといった感じだったね。

友井:1年目は家庭のある・なしを考慮した報酬額にすることで恩を売り、軌道に乗ったタイミングで倍返ししてもらう算段です!

新実:仇で返さぬよう、何が何でも軌道に乗せないといけないわけだ(笑)

友井:キャッシュアウトだけはご勘弁! それから、会った直後くらいに会社印ができた気がする。「うわー、マジで“イチロクザンニ”って掘られてるよ…」って思った記憶がある。

新実:ん? それはいい意味で? それとも悪い意味で?

友井:いい意味で!!(笑) 会社印って大きいから押すの難しいけど、迫力があるから偉くなったな気がしてくるんだよね。

新実:今度、僕にも一度押させなさい。

④お役所行脚と友井の憂鬱

友井:そんなこんなで定款が完成するんだけど、法人登記までに各所に書類を出しに行ったりするのは結構大変だったかな。

新実:結局、何カ所くらい行脚したの? 定款提出だけ俺も行ったけど、そこからは全部お願いしちゃったから知らなくて(笑)

友井:登記自体は2カ所だけ。公証役場に定款を提出してハンコをもらい、後日、登記資料を東京法務局渋谷出張所に提出。あと登記後に年金事務所で社会保険の手続きをしに、3月末と4月1日に2回行った。

新実:あ、サバゲーで半分に折れた僕の前歯を治療するためですね(笑) 4月にならないと、4月から開始する保険の手続きができないってやつでしょ? 仕方ないとはいえ、国が絡む手続きはなかなかハードですね……。

友井:そうなんだよー。用意しないといけない紙の書類がものすごく多いし、事前予約が必要なのは分かるんだけど電話でしか予約できないし、定款の承認を受けるのに5万円、法人登記に印紙代として15万円かかるし、登記申請してから諸々の書類を発行できるまでに2週間弱かかるしで、「勘弁してよ…」と思いながら無事登記を完了させました。

新実:登記するまでに、なんだかんだ時間とお金がかかったよね。登記書類出したときはどんなことを思ったの?

友井:「提出日が登記日となる」ということもあって少しドキドキしながら書類を提出したんだけど、さっと書類に目を通すだけで「何か不備あったらお電話します。問題がなければ29日に登記が完了するかと思います」とあっさり終了したもんだから、なんだか拍子抜けだったよね(笑) 
結局、不備もなく29日に登記が完了。3月頭から準備を始めたからちょうど1カ月かな。そこからようやく社会保険や携帯電話の手続きができるようになった感じ。

新実:現地に行かなかった僕はまだしも、翔太も「会社ができた!」みたいな実感はなかったのか。

友井:なかったね、残念ながら(笑) 


(続く)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?