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第5話 妄信を決めた、2つのビジネスモデル。

2022年の2月末に現職を辞めて、会社をつくることにした。
本作は、リアルタイムで創業を目指すそんな僕自身の物語。

第4話では、僕が挑戦していく事業領域を紹介した。
「IRを、クリエイティブに。」を事業コンセプトに掲げる、企業のIR資料に特化した制作会社だ。

第5話では、もう少しビジネスモデルについて具体的に書いていく。

現職を辞めて起業することにした流れや登場人物(僕と友井)についてはこれまでの記事を読んでいただけると嬉しい。

「投資教育」をやるのか、やらないのか。

日本の投資環境を変えていくために、IR資料の支援に可能性を見出した僕と友井はより具体的なビジネスの形について議論を開始した。

市場の分析、ターゲットの設定、競合の動向調査などを行いながら、短期と中長期での事業のあり方を検討していったのである。

しかし実は内心、僕が気になっていたことが一つあった。
友井がやりたいと言っていた「投資教育」をどうするか、だ。

企業のIR資料がもっとクリエイティブになれば、
日本の投資環境はもっとワクワクしたものになるに違いない。
だから、企業のIR資料に特化した制作会社でいきたい。

という提案に対して、彼は「そんなふうに世の中を変えることができたら、めちゃくちゃ面白いね!」とポジティブな反応を示してくれた。

けれども、僕は彼がもともと投資教育をやりたいのを知っている。
そこで2つの事業を展開してはどうかと、友井に持ちかけた。

もちろんこの提案は情けでもなんでもない。それなりに考えはあった。

企業に働きかける「IR事業」と、友井がやりたいと言っていた「投資教育事業」はとても親和性が高く、企業サイドと投資家サイド、両方から取り組みを進めることで、僕らが目指す投資環境の変化が加速するように思えたのだ。

例えば企業のIR資料について個人投資家から直接フィードバックをもらえたり、企業側のESG施策について担当者から講義してもらう機会を設けたりできれば、双方向にメリットがある。
両事業やっている企業だからこそ、相乗効果を図れる気がした。
(もちろん扱う情報が情報なので、インサイダーを疑われないような注意が必要にはなるが)

そんなことを友井と話し、会社をつくることを本格的に決意した2021年の夏、僕がIR事業、友井が投資教育事業をそれぞれ進めるという想定で、まずはニーズの把握など分析を始めていったのである。

2つの事業を、両輪で頑張ったっていい

友井からの申し出「まずはIR事業から」

ところが結構早い段階で、友井からIR事業を2人で集中的にやっていきたいという申し出があった。
理由は2つ。投資教育を1人で始めたところで、世の中を変えるほどのインパクトを起こすには、相当な時間がかかりそうだったから。
そして、IR事業について考えれば考えるほど、間接的に投資教育と同じ意義を持っていると感じたからだ。

読んでいて分かりやすく、面白いIR資料が増えれば、投資を始める人の増加や「個別銘柄について知りたい!」といったように意欲の高まりが期待できるだろう。それはつまり、投資教育と近しい効果があるのではと彼は考えたらしい。

投資教育と同じような効果が期待できるのであれば、わざわざリソースを2つに割くのは得策ではない。
IR事業が軌道に乗って、企業が成長するタイミングで、その時代に合った投資教育を行うのが最善な気がする、と彼は言った。

彼の考えのすべてに僕は賛同。
結局、2人でIR事業を育てていくという形で進めていくことになった。

ノリで挿絵をPCで描いたけど、マウスで描くイラストレーターさん本当にすごい

創業の根幹となる2つのビジネスモデル

さて、ビジネスモデルについてだ。
ぶっちゃけそんな複雑なことは考えていない。

事業は大きく分けて、2つ。
さらに将来的には、事業の柱をもう2つ増やすことを検討している。

(1)クリエイティブIR事業

1つ目が「クリエイティブIR事業」だ。
言い回しはこの後いくらでも変わると思うが、一旦仮でそう名付けている。

前回紹介したように、企業のIR資料をより分かりやすく、面白く、クリエイティブにすることを目指し、企画・構成・文章・デザインの一切を請け負う事業だ。

主に制作するIR資料は、「決算説明資料」「統合報告書」「中期経営計画資料」「株主通信」の4つ。
決算開示書類やIRサイト、サステナブル報告書などの制作も喜んで受注するが、IRとクリエイティブの噛み合わせが良さそうな4つの媒体を主戦場にしようと考えている。
株主総会の運営などはあまりやりたくない。動画撮影と編集はウェルカムだ。

想定クライアントは上場している企業。直近に上場しようとしている企業もターゲットだ。
もう少し細分化すると、IRへの取り組みがまだ不十分、かつ広報部隊の人員リソースが不足していそうな企業がメインとなる。さらにクリエイティブに対する関心が高ければ高いほうがよい。
Webサイトは凝っているけれども、統合報告書は超平凡。みたいな企業があれば最高だ。

基本的には、媒体単位でまとまったお金をいただく想定でいる。
ページあたりでおおよその金額感も決めているが、前提としてすべてオーダーメイドでつくっていくので、取材や修正の回数など途中の工数を調整しながら、先方の予算や制作期間にハマるような形で制作料を最終的に決定する予定だ。

ちなみに、コンサルがよく採用する稼働時間単位でお金をもらうモデルも検討したが、稼働時間という不透明なものよりも、制作物単位のほうが互いに計算が楽だろうと考え見送った。

ただ、年単位など一定期間継続してIRのアドバイスやコンサルティングをしてほしいというニーズがありそうなら、サブスク的なモデルも取り入れようかと考えている。
まぁこれは事業そのものが走り出してから。メインのターゲットは上場直前の企業という認識だ。

(2)コミュニケーションデザイン事業

2つ目の事業は「コミュニケーションデザイン事業」。
名称は「ビジネスサポート事業」のほうがいいかなぁとまさに今揺れているところだが、IRに留まらず、ありとあらゆる角度から企業の成長やコミュニケーションをサポートしていきたいと考えている。

そもそもIRを担当するためには、クライアント企業のことについてとにかく詳しくならなければならない。
たくさんの方に話を聞いたり、資料を読み込んだりしていくと、やがて企業の課題に対面することになる。
そのときにクライアントの悩みを素通りせず、お役に立てることがあるのであれば、コミュニケーションの専門家として協力していきたい。

特に、近年は統合報告書が採用活動で使われたり、インナーブランディングで使用されていたりすると聞く。また、IR情報は報道関係向けの資料などとも親和性が高い。
幸いなことに昔からのつながりもまだ途絶えていないので、専門外であっても何かしらできるはずだ。

社内外問わずコミュニケーションの面でクライアントが悩んでいるときに、総合的にサポートできる企業でありたいと考え、2つ目の柱にこの事業を据えた。

まぁ本音を言うと、この領域はこれまで自分が担ってきた部分であり、昔からのお客様から案件の相談をいただけそうな範囲でもある。
IRしか間口がないと、創業と同時にまったくのゼロから始めることになりかねないので、皆さんからの愛を取りこぼさないためにも、最初の段階から事業としてオープンにすることにした。

以上の2つが、僕らが挑戦する事業の概要だ。
将来考えている事業については、ここではまだ触れないでおく。

目先で大切なのはこの2つの柱をいかに大きくできるか。
そこに向かって、まずは猛進していく所存だ。

猪突猛進っ!!

猪突猛進。
もしかすると猪突”妄信”なのかもしれないが、信じた苗が無事に花を咲かせることを願って、とにかく僕らは突き進んでいく。
前へ、前へ。
突き進むしかない。

TN



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