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#374 サッカーJリーグ発展から見る、『地域と共にある学校」の意義

 先日、兵庫県神戸市を本拠地とするプロサッカークラブ・ヴィッセル神戸がJ1初優勝を飾りました。1994年のクラブ発足後、29年という長い時を経てのリーグ制覇は、神戸で生まれ育った私にとっても感慨深いものがあります(個人的には、歓喜の瞬間にアンドレス・イニエスタ選手がピッチの中にいて欲しかったなぁ)。

 プロサッカーリーグとしてJリーグが開幕したのは今から30年前の1993年。プロ野球の歴史から考えれば非常に浅い。それでもたった30年の間に、サッカーという競技の注目度とレベルは劇的に上がったと言えるでしょう。開幕当初は10クラブで開始したJリーグも、2023年シーズン開始時点で、日本国内の41都道府県に本拠地を置く60クラブ(J1:18、J2:22、J3:20)が参加しています。

 多くのJクラブが存在するのは、都市圏に本拠地を置くのではなく、地方にもサッカー文化を根付かせたいという思いがあるからではないだろうか。自分が生まれ育った故郷を代表して戦うサッカークラブは老若男女にとって、自分の子どものようなもの。クラブは地域の活性化に貢献し、そして人々はクラブを愛するようになる。今のJクラブは地域に開かれファンに愛されるべき存在を目指しているように見える。

 ヴィッセル神戸もまた初練習の日が1995年1月17日。阪神・淡路大震災が起こった日で、最初の神戸での活動は被災者への支援活動でした。サッカーを通じて地域を支える文化は、Jリーグ発足時の大きなテーマの1つだったのかもしれません。

 今の教育業界のキーワードの中に「地域・社会と共ににある学校」があります。学校という学びの場が孤立的に機能するのではなく、所在する地域と協力しながら1つのチームとして子どもの教育を支えるべきだという視点が重要だという考え方です。その理念は地域に根差した今のJクラブと共通するものがある。学校が地域の学びを、また地域も学校の学びを支える協力体制を構築することで、学校も地域も共に成長していきます。学校と地域社会がそれぞれが抱える問題の解決策を相互的に考えることで、「地域・社会と共にある学校」が生まれるのではないかと思います。

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