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#440 思考的多様性を求める教育現場

 以前、コラムで多様性の力について書きました。

 多様性とは、何か大きな集団の大きな動きのように思えるけれども、その本質は非常にシンプルであり、私たちの日々の何気ない生活の中でも意識すれば「多様性の力」を多く感じることができると個人的には感じています。

『日本の教育現場にはもっと多様な人材が必要』という記事を見つけました。

 日本の教員の他業種での労働経験がある人の割合が、他国の教員と比べ非常に低くなっていると指摘。多様な業種を経験した多様な人材が教員になることで、「リアルな社会」を教えることができると、記事では述べられています。

 個人的にはこれは正確な伝え方ではないと感じている。もちろん、多様な業種を経験した人たちが入ることによって、その専門知識の幅は広がる。リアルな職業体験を通じた授業によって、学校で学習する教科・科目の奥行きが出るでしょう。

 一方、社会を教えるとは何か。例えば、もし仮に他の業種を経験した人が、同じような社会を経験していればどうだろうか。ある一定の均一化された労働資本として、働いた人たちの社会には多様性はない。社会に出たら通用しない、社会とはそういうものだ、という理論が、多くの他業種経験教員から出れば、多様性は失われてしまうだろう。

 教育現場に必要な多様性とは、職業的多様性がその本質にあるのではなく、思考の多様性であると考えている。

ある物事に対するより多くの考え方に触れることによって、児童・生徒は、様々な視点を持つことができるのではないか。

多様な人材とは、記号的多様性ではなく、思考的多様性の中にあるのです。

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