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タコ部屋 in the foot

トンネル内の作業も多くやった 山の水がトンネルの壁面のクラックから流れ込むのを止めるのではなく、壁面から水が出ているコンクリートのクラックを大きくカットしホースを埋め込み、水を流れ込ませ排水溝に入れる。まぁ あまり効果はないが やはり山をぶち抜いて水脈を止めているので何をやっても他から吹き出す、自然に抗うことなど出来ないし、最後には大きなしっぺ返しがくる。集中工事では昼夜昼と働いた 昼間は一車線を潰しての工事だが夜は下り車線は通行止めにして 工事車両専用の出入り口から4tユニックを上り方向に進入させる、下り車線を上り方向に進めるので脳が混乱する。深夜眠くて作業内容は全く覚えていないが、他の作業員もいたはずなのに見渡しても青野さんと梅さんと僕しかいない、オレンジ色の車の来ないトンネル他の人もいると思っているがもう僕たちだけかもしれないと思わせる朦朧とした意識、天井に吊り下げられた排気用の大きなファンの不気味な音がトンネル内に木霊している。

工事中は山の方にある旅館に30名近く泊まっていた。旅館の方が昼夜問わず働く作業員を気にかけてくれて特別に伊勢海老の刺身を出してくれた。僕たちを見てくれていることがわかり、うれしかった。二週間 高速と宿の往復じゃ気が病む、やはり出かけて癒やしたいと何人かでタクシーを呼んで飲みにいった。僕は寝不足で仕事をするのが嫌なので部屋で漫画ゴラクを読む。残った人たちも床に付いた10時・・・・ 誰かが騒いでる 寝ぼけ眼でピントを合わす暗闇に二人だか三人だか人影が見える、声で青野さんと角田さんそれと角田さんと同時期に伊豆見工業に来た赤井さんだ、みんな酔っ払っていつものように角田さんは虎になって赤井さんに絡んでいた 赤井さんは温厚でおしゃべり好きちょっと影が見え隠れする。僕が伊豆見工業を退社して何年か経った時、全く別の場所の100円ショップで再会した。軽く挨拶をした赤井さんが購入した物に目をやるとプラスチックの調理器具のボールやまな板だった、それを見て「伊豆見工業辞めたんだな」と直感した。また流れてどこかの寮に入ったのだろう。

寝ぼけ眼で様子を眺めてると 青野さんに角田さんがぶん殴られてた。青野さんは若かりし頃は山下公園で朝鮮高級学校の人たちと構えた事のある喧嘩屋年は取ったが30代一方角田さんは50代150cm程だが過剰防衛で捕まる腕前どうなるかと様子を眺めていたが、ドスンと尻もち付いた角田さんそのまま布団に仰向けになりブツブツ言って寝てしまった。騒ぎで目が冷めた人達も一言も発せず眠りについた。この時間はいったいなんだったのか 

大動脈の末端が織りなす真っ赤に流れる血潮

次回「ついに!!金髪の彼」

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