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デザインで企業価値を高めるには?デザイナーだけで集まって議論してみた。

入江開発室に所属するデザイナーメンバーが集まって、「デザインで企業価値をあげるには?」というテーマで議論しました。そもそも企業価値とはなんなのか?そしてそれを高めるとはどういうことなのでしょうか?

参加メンバー

三浦 雅人@masato
サンフランシスコのスタートアップで、エンジニア / プロダクト・デザイナーとして働いています。カルフォルニア在住歴10年。アーリーステージ・スタートアップのプロダクト作りがライフワークです。
川村 亮介
普段はデザイン制作会社のデザイナー&経営やスタートアップのCDOがメインです。たまにエンジニアも。プライベートではUX DAYS TOKYOというUX団体でスタッフもしたりと、1日どっぷりとデザイン漬けの26歳です。
工藤 正勝@masa_MR,BRAIN
MR,BRAINの屋号で個人事業主として広告代理店業・広告広報コンサルティングをやっている広告業界27年目の45歳キャリアの2/3がフリーランス。
グローバルカンパニーの一次請けから近所の八百屋さんのちょっとお願いまで、お役に立てるならやらせていただいております。フリーランスチームのハブをやっているためあらゆる業務を受け付けられます。
松井貴史@マツイタカフミ
拠点は福岡。フリーランスのデザイナー5年目、34歳です。簡単な経歴は、バッグのプロダクトデザイナー→web制作会社→フリーランスという経緯です。グラフィック、WEB、トータルデザインなどのお仕事をしていましたが、最近は、よりプロダクト中心のUI部分に注力した仕事をしています。
元々メーカーにいてものづくりをしていた人間で、サービスやプロダクトを取り巻く物に興味関心があります。
柳原瑛里子@eriko
フリーランスwebデザイナー5年め。34歳。今のメインは3歳双子の子育て。ほぼ個人で活動しておりますが、今年に入って“スペースクリエイションズ“の社外取締役、友人と立ち上げた書籍レーベル“二豚舎”の代表を務めております。デザインから企画、ブランディングなど、こちゃこちゃ考えることが好きです。よろしくお願いします。

企業価値の定義って?

三浦 雅人:
まず企業価値って凄く広義な言葉ですよね。
企業価値の定義自体も、時代によってどんどん変化していると思います。

皆さんがそれぞれ違う文脈でデザイナーとして働く上で、企業価値という言葉をどういう風に捉えているのか?

という点についてある程度テーブルに出し合って、それを土台にディスカッションを進めるというのはどうでしょうか?

工藤 正勝:
企業価値と観念として伝えるならば
昔:企業価値=株価 上場こそ正義!
今:上場しない 株式公開しない 独自性と技術発想で勝負!
こんな感じじゃないでしょうか?

つまり潜在的な発展性や未来への伸びしろを指すように移行した気がします。もう一つ現時点での瞬発力も有るかと思いますが、そこは瞬間最大風速で囚われて一時的なブームにも成りやすいですね。

だからこそ必要とされたのはブランディングでありより正確で効率よく情報を伝える手段で結果としてSNSなどは格好の媒体だったのだと思います。

川村 亮介:
「企業価値」の定義について、色々考えてみましたが、企業である以上、やはり最終的な帰結点は、株価だったり時価総額になると考えています。

株価や時価総額を上げるためには、優れたヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源の上手い確保・活用が必要です。

今は昔に比べて様々な面で競争が熾烈になっているため、いかにこれらの良質な資源を集められるかが重要であり、そうしたものこそがイコール企業価値であると言い換えてもいいくらいです。

“カネ”が重要なのは当たり前ですが、その中でも特に”ヒト”にあたる優れた人材や、イケてるプロダクトといった”モノ”が鍵になりますよね。

優れた人材を集めるために企業は魅力的な独自の制度や待遇を整備したり、魅力的なプロダクトを生み出していく。

そうしたものの積み重ねによって独自性やブランドが生まれ、ヒトやモノのリソースが増え、その結果株価であったり時価総額が上がっていく。といったサイクルを繰り返す中で価値が蓄積されていくのかなと。

まとめると、企業価値とは結果的には株価や時価総額だが、重要になるのは、それを達成するための優れたヒト・モノといった経営資源の蓄積とその過程で生じるあらゆるアセットのことだと考えます。

三浦 雅人:
Devil’s advocate的なコメントをすると、僕は個人的に`未来への期待値`が2018年現在、高い企業価値を生む本質だと考えています。

これは極端に言えば、利益が0でも、資本が無くても、モノがなくても、情報が無くても、最初は全く構いません。これは`未来への期待値`さえ圧倒的に高ければ、数億、何十億、何百億円という規模で資金調達が出来るスタートアップ文化が、ここ数年の間に世界規模で深く根付いた為です。

僕は過去数年間、シリコンバレーでデザイナー / エンジニアとして働いてきましたが、関わった複数のスタートアップはシリーズ合計で100億円規模の投資を受けました。例えば数千万〜数億円程度の初期投資段階でも、プロダクトは無いに等しく、あるのは壮大な夢と、数名のメンバーと、かろうじて動いているプロトタイプ、そんな世界なわけです。

そして、そんな世界の中から急成長を遂げて、世界時価総額企業ランキングトップを占めるまでになったのがApple, Microsoft, Amazon, Google, Facebookといった巨大startup企業です。

こうした世界的な流れを考えると、企業価値の捉え方というのは従来の「何か有る事が前提」のものとは全く異質な、いわゆるDifferent Animalであり、無いものを形にする力、夢を現実にする力が問われていると言えると思います。

そして`未来への期待値`を最大限高める為に、デザイナーが貢献出来るベストなアプローチは何か?という問いが、 デザインで企業価値をあげるには?という問いに直結していて、これから時代は更に重要になっていくんじゃないかと考えています。

川村 亮介:
Masatoさんはアメリカに住まれているんですか?
シリコンバレーでの実体験に基づくご意見、興味深いですね!
確かに、「未来への期待値」という軸は間違いなくありますよね!
そして必ずしもヒト・モノ・カネがなくても良い、ゼロベースでよいというのもうなずけますね。

一方で、「未来への期待値」というのが巨大な企業価値を生み出すための源泉であり0から1を創り出す元であるのは同意の上で、もちろんそれだけでは、GAFAのような巨大startupにはなりえない。当然ですが。

ではどうするかというと、まず「未来への期待値」によって後に資本や人を集めるというのは前提として、集まった莫大な資金を含む諸アセットをどう活用・分配していくかという実行フェーズがあり、そこの戦略による影響も大きく受けるわけです。

莫大な資金だけ集まってもここを固めなければ、資金だけ消えていくことになりかねません。

その上で、デザイナーが貢献できるところは、その「未来への期待値」を定義・設計するフェーズから、実際の実行・戦略フェーズまでここでは書ききれないほど随所にありますよね。

工藤 正勝:
「潜在的な発展性や未来への伸びしろ」と表現しましたが、現時点より未来を見ている「未来への期待値」という価値基準は概ね皆さん統一見解なのでは無いでしょうか?

その価値を挙げていく為の方法論が語られていく中にデザインの介入が大きな意味を持つことに成ると思います。

ではその介入とは何かということですが、個人的に常々言っていることなのですが、デザインがUIとして仲介者であり翻訳家のような役目をすることだと。

創業の思想と目的・目標を以下に広め定着させていくか?ターゲットは投資家であったり従業員であったりコンシューマーだったりする訳ですが、その様々なシーンでデザインの力は無限に発揮されるのかなと思っています。物事を伝わりやすく伝えるのがデザインの大きな仕事ですから。

柳原瑛里子:
「企業価値」=「未来への期待値」という見解とても良いと思いました。

masaさんがおっしゃってる、“現時点より未来を見ている「未来への期待値」“を聞いて、もう一つ、“その企業がいかに社会に貢献できているか“のような、今までの実績(過去)に当たる「社会貢献度」も「企業価値」の判断基準に入れても良いのかなとも思いました。

そうするとか価値の判断方法として、
「未来への期待値」が皆様のような経営者や起業家、投資家向けで、
「社会貢献度」はコンシュマー向けなのかなと。

“価値“と言われて、誰にとっての価値なんだろう?と考えた末、ここら辺が落とし所かなと思いました。

デザイナーのアプローチとして、「未来への期待値」はmasatoさんがおっしゃるアプローチがとてもしっくりきましたし、「社会貢献度」で言えば、企業のブランディングや広報、プロダクトのブラッシュアップ、リニューアル等、既にある土台を上げていくイメージが近いのかなと思います。

松井貴史:
企業価値考えて見ました。確かに、masatoさんのおっしゃるように企業価値=未来の期待値は頷けます。日本においては、壮大な夢にかけるベンチャーキャピタルのようなものは、まだまだ少ないような気もしていて、どちからというとビジネスとして成り立つかの方が優先されているように感じます。

そのため、これまでの実績などに基づく将来への評価価値もありそうだなと思いました。その上で、創始者の人となりやビジョンなどは、企業価値に大きく関わってくるかと思います。

そして、本題の「デザインで企業価値をあげるには」ですが、企業が本来持っている価値をきちんと見極め最大化するために、経営者と共に事業を横断的に関わり把握し、ブランドをコントールをしていく必要があると思います。

その結果、磨かれた思想や理念に良いヒト・モノ・カネが集まり、さらによりよいプロダクトが生まれていくサイクルを作るのだと思っています。

三浦 雅人:
皆さんの企業価値に対する意見の輪郭が、徐々に浮き上がってきていて良い感じですね。

ここまで出た企業価値に対する意見を集約すると、こういうトレードオフ構造として捉える事が出来るんじゃないかなと感じました。

横軸:無いものを生み出していくアプローチ
縦軸:有るものを活かしていくアプローチ
---
今までの議論を反芻するなら、
横軸:未来への伸びしろ、未来への期待値、思想、理念、等々
縦軸:ブランド・エクイティ / ブランディング、経営資源の活用、社会貢献、等々

事業形態で例えると:
横軸:新規スタートアップ(右下)
縦軸:大企業(左上)
こんな感じでしょうか。
---
仮説として、企業価値はこの縦軸と横軸が揃った時に最大化される。
けれど企業の現実として、
a. 縦に強く、横に弱い
b. 横に強く、縦に弱い
というトレードオフになりがち。

では、デザインの力でこのトレードオフの境界を破壊して右上に行きたい場合、上に行く施策と、右に行く施策、もう少し具体的な実務レベルでそれぞれどんなアプローチあるのか?

という質問に皆さんで答えながら、「デザインで企業価値をあげるには」という本題への着地点を整理していく、という方向性はいかがでしょうか?
(せっかく皆さん多様なバックグラウンドをお持ちなので、皆さんの普段の視点や洞察が垣間見れるような施策例が出ると、多様性と深度のある結論に向かっていい感じかなと思います)。

では具体的に企業価値を高めていくにはどうすればいい?

工藤 正勝:
「未来への期待値」という部分で特化した場合、目に見えない想像の世界を価値に変えるということに成るかと思いますが、価値を可視化して表現していくということは、その行為自体がそのままデザインであると言えるのではないでしょうか?

大企業の場合はターゲットにするべきところに、本来は「従業員」も含まれていなければならないと思っています。

これは仕事をする上でクライアントさんにも伝えていますが、大企業の企業価値はあまりにも多角的に観察されて肥大化する情報の中でも、「社内の声」これはつまり離職率であったり色々ですが、そういった情報も整理して伝わりやすく「可視化」する訳です。

具体的には社内報のデザインなどですね。そしてこの場合も経営陣と従業員の間に入るUI的存在として存在価値を発揮します。

デザインが企業価値を高めるという方法論はつまるところ、「情報の可視化」であったりデザインという仕事の定義にも近いのではないでしょうか?

三浦 雅人:
僕はスタートアップにおけるプロダクト作りが本業なので、その文脈から普段から意識しているデザインで企業価値を高める具体的な方法を書いてみたいと思います。

まずスタートアップにおけるプロダクト・デザインは、目に見えない部分のデザインが大半です。もちろんUIも作ったりしますが、例えばプロダクトのUXは意思決定の集積であり、それらを決定するのもプロダクト・デザイナーの仕事です。

こうした意思決定プロセスはビジネス上流工程に深く関わるので、例えばプロダクト戦略といった大枠を議論する際には、どうしてもビジネスサイドと連携する必要が出たりしますし、こうした需要は年々どんどん高まっていると感じています。

そんな中で個人的に問題意識を持っているのが、プロダクト・デザインの上流工程に行けば行くほど、どんどん触れるツールが無くなって行くという点です。例えばUIデザイナーであればSketch、プログラマーであればVS Code、データ・サイエンティストであればJupyter Notebookというように、彼等の手足となるツールが存在しますよね。

でもデザイン戦略とかユーザー・エクスペリエンスと言った、抽象度の高いデザイン問題を扱おうとすると、どんどん利用出来るツールが無くなって行きます。

ツールやメソッドが無いという事は、各個人が効果的にアウトプットし続ける事が出来ない事とイコールです。逆に言えば、ここをクリア出来れば、抽象度の高い問題に対しても一定のクオリティでアウトプットする事が出来ると言えます。

もう少し具体的に言うと、僕は今までアサインされた各ケースを関数構造的に抽象化する事によって、抽象度の高いデザイン問題を構造的に捉えて考えるという言う事を常に意識しています。

構造の具体例はこんな感じです:
1. 直線構造
2. シグモイド構造 (ブレークスルー & 停滞)
3. 波動構造 (=ウェーブ)
4. 上昇構造
5. 下降構造
6. 成長構造
7. 減衰構造
8. トレードオフ構造(≒4,5,6,7)
9. ピーク構造 (スパイク含む)

これによりデザインに再現性を確保したり、構造からパラメーターを調節してデザインのバリエーションを提案したり、構造自体をステークホルダーに共有する事で議論の土台にしたり、時には構造を破壊する事で新規アイデアを考えたりする手助けになります。

あまり深く触れると長くなってしまうので各構造の詳細は割愛しますが、僕の場合はこうして抽象度の高いプロダクト・デザインの問題を、手元でグネグネと扱えるようにモデリングしてツール化する事によって、持続的なアウトプットへと繋げ、結果として企業価値を高める事へと繋がっているのかなと思います。

川村 亮介:
僕もこの業界でずっとプロダクトづくりに携わってきたのでその文脈でお話したいと思います。企業価値を高める方法ですが、UX設計とそれに基づいたプロダクトの構築が大きいと思います。

ではなぜUX設計が企業価値を高めるために必要なのか?というと、適切なUX設計を行うことは人々の課題解決を行い目標・目的を満たしてあげることに繋がるからです。

人々がそのプロダクトを使役する理由は、様々な状況下における自身の目標や目的を達成するためです。

それらを解決できるプロダクトをつくることは人々のエンゲージを大きく向上させるので、その企業の価値を最も高めることに直結しますよね。

これに関連してデザイン思考という考え方がありますが、僕は有名なUXコンサルファームのCooperが一貫して提唱している”Goal Directed Design”という説明が数ある説明の中で一番しっくりきています。

デザイン思考においては、人々がとあるコンテキストにおいて成し遂げたい目標とその目標を達成した時に生じる感情や体験を深く理解することを起点とし、そのゴールまでの道筋に適した様々な体験を設計し、プロダクトを制作していきます。

この一連の過程から分かる通り、プロダクトというのは最終的なアウトプットであり、それに至るまでの上流の設計こそ重要であり、その頂点にあるのは人々の目標・目的なんですよね。

デザインというのは人々の課題解決であり、課題解決の精度を高めてくれるのが優れたUX設計です。こうした視点を持ち上流のUX設計をすることが、最終的に大きな価値を産み出すと考えています。

もちろん、このUX設計というのは単なるプロダクト制作という狭い枠組みではなく、企業・プロダクトと人々の間のあらゆる接点において適用できるため、包括的な価値戦略を立て、大きく価値を高めることができます。

あとこのようなデザインドリブンな思考を組織全体に浸透させるために働きかけることも、デザイナーができる価値を高めるための方法の1つですね。

チームにおいてデザイナー1人がデザインの重要性を理解していても意味がないですから、チームメンバーないし経営陣がこのような視点を持っていなければ経営層に働きかけ、組織全体に浸透させることも重要だと思います。

masatoさんのアイディアの発散方法面白いですね!おっしゃるツールに関しては、UXデザインも「理解/調査・発見・プロトタイピング」など様々な段階があるわけですが、なかなかこれといったツールはないですよね。

もちろん、UX設計をサポートしてくれる様々なフレームワークはありますが。(例えば、有名なものだと、カスタマージャーニーマップ、ストーリーボードなどです)

まぁUXデザイナーはどちらかというと、Macと向き合ってずっとカタカタするよりも、足と手と耳と目と口をフルで使う方が合ってるように感じます笑

松井貴史:
自分なりに考えてみました。前提として価値のつけ方はひとつではなく、色んな方法があると思います。

ボクは実際体験した事、デザイナーはこうあってほしいという理想の姿という視点から、企業価値を上げるためにすべき施策に対して投稿できればと思っています。

まず企業価値を上げるために、マーケティング(どう売って行くか)とブランディング(何を浸透させるか)の両側面が必要になるかと思います。長期的な創造をブランディングと位置し、定期的な施策をマーケティングで補完し合わなければならないためです。

そして、どちらの面でもデザイナーとしての役割は、その情報の整理と設計と具体案かと考えています。

実際には、皆さんが言われるUX部分などの体験価値から、具体的にビジュアルに落とし込むUI部分に関するところまで、企業の真髄を歪みなく伝えるために、デザイナーが存在していると考えています。

たとえば、そもそも強みって何?ビジョン、フィロソフィー、ブランドコンセプト、コンセプトワード、コアとなる部分などをワークッショプを通して整理などした上で、どう組み立てていくか、どう差別化し、どう体験価値をあげていくか、展開していくかなどなど。

そのため、経営的部分な数字までデザイナーは、きちんと理解しておく必要があるのではと思っています。

そういった意味では、デザイナーは上流から下流部分まで関与して理解する必要があると思います。よくデザイナーは、千利休のような存在と言われますが、その通りかなと思っています。

ジョブズがとあるスポーツメーカーに対して「あなたの会社の商品は素晴らしい、ただそれ以外の商品も作りすぎている。大事なものは良いものだけにフォーカスすることだ」(うる覚えですいません。)というような事をいったように記憶していますが、この発言自体がデザインだなと思っています。

そのためには、外部だけではなく、会社内のインナーブランディングまでもデザイナーが関わらなければならないと思っています。

またブランディングという面では、日本の武士道に通ずるものがあるのではと思っています。心・技・体を一つにする事自体がデザイナーが関わる場所ではないかと思いながら目の前の仕事を日々取り組んでいます。

masatoさん ボクは、逆に海外に住んで仕事をした事がないです。なので、どちらかというと海外のデザイナーの事情や仕事観、どんな仕事の仕方をしているのかを知りたいです。

三浦 雅人:
@masa_MR,BRAIN さん
情報の可視化は確かに大切ですよね。似たような例だと、プロダクトのKPIをプロダクト・チームがダッシュボード化して、オフィス内で共有するのはサンフランシスコ市内の企業でも頻繁に利用されています。

個人的な実感からもインターナルのコミニケーションが促進され、早期の課題発見にも繋がるので、施策としての価値が高い気がしています。

@川村 亮介 さん
Goal Directed Design、とても良い概念ですね。Jobs-To-Be-Done理論にも通じるものがあるかなと思いました。またデザイン・ドリブンを組織全体に浸透させる重要性にも大きく共感します。

これは日本に限らず海外でも多くの企業が強い必要性を感じている反面、マネジメント・レベルで組織的にデザインを浸透させる事の出来るデザイナーは母数が圧倒的に少ないので、このギャップを埋める事のデザイナーは向こう数年間の間、企業価値向上に大きく貢献できるだろうなと感じます。

@マツイタカフミ さん
デザイナーがビジネスにまで関わっていく重要性、最近日本だと越境という文脈で語られる事が多いですよね。ビジネスに限らず、どの方向に越境して、越境した状態からどう企業価値の向上に貢献するか?という問いは、頂いた質問に答える形でも海外のデザイナーの事情として当てはまっている気がします。

少なくともサンフランシスコ市内のプロダクト・デザイナーは少なからずビジネス的な側面に関与する事はほぼ必須ですし、プログラミングやデータ分析といった今まではデザイン対象外だった分野を深いレベルで扱える人材が年々増えている印象があります。

個人的にはですが、周囲を見渡してもデザインという枠をあまり意識せずに、柔軟な学習姿勢で課題解決に取り組めるデザイナーがより活躍している傾向が強い気がします。

デザイナーがビジネスにまで関わっていく重要性、最近日本だと越境という文脈で語られる事が多いですよね。ビジネスに限らず、どの方向に越境して、越境した状態からどう企業価値の向上に貢献するか?という問いは、頂いた質問に答える形でも海外のデザイナーの事情として当てはまっている気がします。

少なくともサンフランシスコ市内のプロダクト・デザイナーは少なからずビジネス的な側面に関与する事はほぼ必須ですし、プログラミングやデータ分析といった今まではデザイン対象外だった分野を深いレベルで扱える人材が年々増えている印象があります。

個人的にはですが、周囲を見渡してもデザインという枠をあまり意識せずに、柔軟な学習姿勢で課題解決に取り組めるデザイナーがより活躍している傾向が強い気がします。

川村 亮介:
masato さん
> Jobs-To-Be-Done理論にも通じるものがあるかなと思いました。
まさにです!このキーワードがでてきてとても嬉しく思います。

Jobs-To-Be-Done理論はちょうど今所属しているUX DAYS TOKYOというコミュニティで改めて深く勉強していますが、デザイン思考と密接に結びついていますし、優れたUXを設計する上でのバイブルですよね。

>マネジメント・レベルで組織的にデザインを浸透させる事の出来るデザイナーは母数が圧倒的に少ない
その通りですよね。
まず1つの問題として、マネージ層が「デザイン」というものの概念・目的を正しく理解していないことも挙げられると思います。

よく「デザイン=スタイリング」として考えられているシーンを多く見かけますが、この理解だとデザイナーは「単に装飾によって対象をよく見せるもの」といった間違った理解の元アサインをされてしまう。
本来の役割はもっと上流の部分であるのに。

あとは、ビジネスの上流設計から本来加わるべきであるのに、トップダウンでマーケティング戦略のみで弾き出された要件だけが降りてきて本質的なユーザーの課題発見やパーソナリティの理解がないまま、手だけを動かす存在として認識されてしまうというのも多そうだと感じています。「デザイナーはあくまで現場」といった認識ですね。

確かにマーケティングは重要です。
が、本質的に深くユーザー自身やユーザーの成し遂げたいゴールを理解しようとすると、定量的なデータだけでは全く足りず、定性的なコンテキストは必ず必要です。

マーケティングで出されるデモグラフィックデータだけでペルソナやゴールまでのジャーニーマップを構築できるほど単純なものではなく、そこには社会的・経済的・感情的コンテキストなど様々な要因が複雑に絡み合っています。

そこを紐解き、ユーザーを彼らが望むゴールまで導く1本の道筋をひくソリューションがUXです。

「このサイトキレイだね!」といった単発の体験がUXだと思われがちですが、それらはあくまで1つの細かい要素であって、本質ではありません。
こうした理解があれば、なぜデザインの重要性が叫ばれているのかが分かってきますよね。

柳原瑛里子:
“企業価値をあげるデザイン”で私が意識していることは、ユーザー(第三者)よりにいることです。

企業の価値を評価するのは、その製品やサービスを使う人間がメインかと思いますので、たとえどんなにコンセプトの素晴らしい企業理念をもっていようと、カッコいい商品があろうと、第三者から評価されなければ、価値があるとは判断されないのではないかと思います。

これらを全てデザイナーの仕事として考えるとマツイさんがおっしゃるような、マーケティングやブランディングは必要ですし、上流から下流まですべてこなせてこそ、真のデザイナーになってしまい(スーパーマン!?)、私には到底無理なので、私がデザイナーとして上記を達成するためにしていることは、情報の可視化が一番しっくりくるのかなと思います。

企業理念でしたら、企業カラーや企業新聞だしたり、SNSでその企業はこんなことしてるんだよー、ここを大事にしてるんだよーと共感をかったり・・

など、企業や作り手が思うサービスとユーザーの溝をせまくするために、うんうん考えたり、なんか作ったり・・かなって感じです。(企業やサービスがブラックではないことが前提ですが)

深く好かれれば、嫌う人もでてきますし、共感してくれるだろう層により深く届けられて、深く好きになってもらる、つまり価値があがることと同意じゃないかなと思いました。

議論を振り返って

入江開発室はSlackというチャットツールで交流しているんですが、いろんなチャンネルやスレが立ち上がっていて、勉強になるやりとりもたくさんあります。

そんなことから、なにかテーマを決めて議論ができれば学びが深まるのではないかというきっかけではじめてみた企画です。去年の年末に企画して議論を続けてきたのですが、最終的に1万文字を超えるボリュームになりました…。みなさんの熱量がすごい。

反響がよければ、また別のテーマでやってみたいなと思います!


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