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夜について。

最近何かとテーマが夜になりがちだ。
夜に書いているからなのか。

わたしには朝早く起きることこそが
良いことだと思っていて
誰彼構わず早起きを押し付けていた
たいへん迷惑な時期があった。
深夜の3時や4時まで起きている人のことを
それだけで社会不適合だとすら
思っていた。

小さい頃、全人類が朝は7時に起きて夜は9時に
寝ているものだとばかり思っていたものだ。
夜はとても怖いから、だから眠らなきゃ
やってられないのだとも思っていた。
それでもクリスマスの夜なんかは
寝たふりをして朝まで起きていてやろうなんて
ことも考えたけど結局いつのまにか
意識を失い、朝7時に鳴り響く
「朝だよー!起きて!」と
コラショの目覚まし時計で目が覚める。
(コラショって知ってる?)

コラショの目覚まし時計を使うより
さらに昔、まだ幼稚園で泥団子を作ることが
生きる意味だと思ってたころ。
夜というのは世界の全てが
眠っていると思っていた。
いや、眠っていなければならないと
思っていた。

そんなわけだから喘息で初めて入院した時、
看護師さんが夜も起きていることを知って
驚愕したものだ。
わたしは深夜に目が覚めて、
廊下を歩く看護師さんを見て
大号泣。おばけと間違ったからじゃない。
「看護婦さんになりたい」と
幼稚園で言っちゃったのを
取り消したいと大泣きしたのだ。
夜眠れないなんて聞いてないよというわけだ。
そんなわけでわたしは、夜眠れないという理由で
5歳の時に看護師になる夢を捨てた。

余談だが、看護婦さんになるという夢を取り消し
お花屋さんに変えたいと退院したあと
幼稚園の先生に言った記憶もある。
むしろ幼稚園のころの記憶は
それくらいしか残っていない。

そういうわけでわたしはなぜか昔から
夜は寝なきゃいけないものだという
思い込みがすごかった。
夜は悪いものだと思っていたし、
だから夜に眠らないのは悪いことだと
信じていた。


大学生になってから初めて
深夜の3時にコンビニへ行った時
大犯罪を犯しているような気持ちで
メロンパンを買った。

そうして社会人になってからも
朝善夜悪説(そんな説あるのか)
を唱え続けていたのだが
あるときわたしは
半端ない夜型の人間に出会う。
もうそれは半端なかった。
その人は会社の上司で、
朝の5時に寝る生活を何年もしていた。
シフト制の職場で、彼女だけが
遅番の固定シフトだった。
わたしはそんな彼女にも
朝善夜悪説を唱えた。
すると彼女は「人類は昔…」なんて
言い出した。なにかおもしろそうな話が
始まる気配を感じわたしは口をつぐんだ。


「人類は昔、、狩りなんかをしてたくらい
昔の話だよ。明るいうちに狩りをする人間と、
夜、日中活動している人たちが眠るのを
見守っている人間の2種類がいたんだ。
わたしの祖先はきっと、
夜みんなを守るために起きてたんだと
思うんだ。だから今も夜は眠くないんだよ」

本当かどうかはわからない。
それでも妙に説得力があって
わたしは納得してしまった。
なるほど、わたしは昼間に狩りをしてたんだ。
だから夜が怖いんだ。
そして夜眠らない人がいるおかげで
安心して眠れることもあるんだ。
そう思ってわたしは20年以上唱えてきた説を
間違いだったとし、夜を認めることにした。

今もやっぱり夜より朝の方が好きだけど
お風呂上がりの夜風は気持ちがいいし
星を見るのも好きだ。
あの人はどんな夜を過ごしてるんだろう
なんて考えたりもする。
それにロマンチックなことはたいてい
夜におきるものだし。

さて、昼間に狩りをしていた側の人間は
そろそろ眠らなきゃ。

グンナイ。



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