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Essay_s#9 私の担任②五十嵐先生

私は、毎日コンタクトレンズを利用しています。恐らく0.01とかそういう視力だと思いますので、コンタクトレンズやメガネは必需品です。 そんな視力の私ですが、小学生低学年の頃は、バリバリ視力1.5の少年でした。「2.0は見えなかったー!」とか言って悔しがっているような感じでしたが、状況が一変したのは小学4年生の春のことです。 毎年、4月とか5月くらいに視力検査が行われます。 そのときも、「さあ今回は2.0見えるかな…!」くらい余裕ぶった気持ちで左目を隠し、視力検査表を正面にし

Essay_s#8 私の担任①本庄先生

私が小学校の教員を志望し始めたのは、おそらく小学校6年生のとき。自宅に保管してあった卒業文集を見たところ、将来の夢を書くところがありそこに3つの夢が書かれていました。その中の第1位となっていたので、当時にそう思っていたという私の記憶は間違いありませんでした。 私が将来の夢の第1位に「小学校の先生」をあげるようになった、その理由は、私が通った小学校の先生たちに大いに影響を受けたからです。 一人は、4・5年生で担任だった本庄先生。 もう一人は6年生の担任だった五十嵐先生です。

Essay_s#7 Y君と手話と私

私は高校時代、3年間サッカー部に所属しました。平日も休日もサッカー漬けで、やりがいはもちろんありましたがそれはまあ大変でした。3年生の最後の公式戦で敗退したときは、悔しさや喪失感とともに、どこかほっとした気持ちがあったのも事実です。 そうして大学に入った4月の話です。サッカーは大好きでしたし、大学でも続けたい気持ちはありました。ですが、せっかく大学に入ったのだから何か新しいことを始めてみたい気持ちもありました。 といっても、すぐに新しいことが見つかるはずもなく、ひとまずサ

Essay_s#6 少年の最後の運動会

自分が小学生だったときの運動会。 今でも覚えているシーンってありますか? きっと、ありますよね。 それは、楽しい思い出かもしれません。 残念な思い出かもしれません。 喜んだ思い出かもしれません。 悔しい思い出かもしれません。 私にもあります。 ふり返るたび、今でも心が切なくなる、そんな思い出です。 ・・・・・━━━━━━━━━━━・・・・・ およそ30年も前の初夏。小学6年生。 小学校生活最後の運動会。佐藤少年は紅組団長に立候補しました。 少年は、全校児童が40人弱

Essay_s#5 「アッキーのこと、忘れてないよ」

私が北海道一の大都市から、日本海を臨む小さな漁村に移り住んだのは、小学校2年生のときでした。その村での、私の大切な友達の思い出を話します。その思い出は、とても悲しい思い出です。 (小さな村に転校した経緯は、こちらでお話しています) 1クラス40人程のクラスから、その転校先の教室に入ったとき、教室の中には机が10台程しかありませんでした。そこは1・2年生の複式学級で、1年生は3人。私と同学年の2年生は、私も含めて7人です。 その7人の中に、アッキーはいました。 アッキーは、

Essay_s#4 「話は下手くそだけど、文章はすばらしいね」

私が大学院を修了し、初めて小学校に赴任した、その一年目。 5年生の担任となりました。 子どもたちのために、頑張りたいという思いは強くもっていました。 子どもたちが楽しく、意欲的に取り組める授業にしたい。 でも、何をどうしてよいかも分からぬまま翌日はやってきます。 チャイムが鳴ってから、黒板の前で授業の進め方を考えるのですから、それはうまくいくはずなどありません。 クラスのみんなが仲良くなり、笑顔であふれる学級にしたい。 でも、やはり分かりません。 毎日のように喧嘩やトラブ

Essay_s#3 「心が前に動いている」

「心が前に動いている。もう大丈夫だ。」 ◆◆◆ T君の担任となった年のこと。学年は、4年生。 前担任から引継いだこと。  ●彼はクラスで浮きがちであること。  ●いじめられていると本人が感じていること。  ●彼の母親も彼のことをとても心配していること。  ●そして、彼はかなりの肥満体形であること。 4月から毎日彼と過ごす中で、なるほどそういうことかと感じる場面によく出会った。授業中、教師の私からすると、「おっ、なかなか鋭い発言だな。」と思うような場面でも、まわりの子ど

Essay_s#2  プロになった少年

「先生、Sがプロのフットサル選手になったの知ってますか?」 かつて担任をした子からそのことを聞いたのは、昨年のこと。 教えてくれた子は、Sと同級生。二人とも、かつて担任をした子です。 早いもので、もう高校も卒業し、20歳の青年になろうかという年月が経っていました。 ◆◆◆ Sが小学3年生だったとき、勤務校にはサッカー少年団がありました。 私の担任したクラスには、1年生の頃からその少年団に入っている子や、他のクラブチームに入っている子もいて、サッカーが人気スポーツである雰

Essay_s#1  Mちゃんと出前授業のこと

私とMちゃんとの出会いは、彼女が小学3年生のとき。担任として受け持つことになった彼女は、1・2年生の2年間、全く小学校に通っていなかった。いわゆる不登校。 4月1日。 その日は新一年生が一足早く学校に来て、二計測をしたり、面談をしたりする日。彼女の弟が新一年生として入学してくる。もしかしたら、お姉ちゃんも一緒に付いてくるかも。ふとそんな予感がした。 顔は知っている。その日は朝から彼女探しで頭がいっぱいになった。 いた。 新一年生が身長と体重を測るコーナー。 私は、とにかく