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ISSUE.03「お茶と旅」~長崎雲仙~オリーブ農家のおじさんと、タネトのランチ

そう、後ろ姿で農家さんだと分かった。
農家さんに直接会えることは貴重なのでちょっと話したい気持ちもあり、どんなお茶を並べているか見ていた。気配を察した農家さんは、その並べていたお茶について教えてくれた。

「橄欖(かんらん)茶」。オリーブの葉のお茶ことだ。

タネトからすぐの小浜市でオリーブ農園をやっているという森田さん。やさしそ〜な人がよさそう〜なおじさん。オリーブオイルも作っているらしく、なかなかいい値段で女性のスキンケアとして売れているらしい(3500円)。たしかにバージンオリーブオイルは化粧品として使われているが、こういう直売所でも売れるのだね。

オリーブオイルや橄欖茶などの商品を納品にきた森田さん。

しばらく話を聞きながら、納品の品物に値札シールを貼るのを手伝った。シールを貼っていると、私も農家さんだと思われたらしくおばちゃんに話しかけられた。

気さくな森田さんは「これからどこへ行くの?オリーブ農園に来てみる?」と声をかけてくれた。せっかくなら行きたかったが帰りの雪予報が気になっていたので暖かい頃にまた行きたいと告げた。オリーブの収穫時期は10月らしいから、その頃でもいいかもしれない。橄欖茶を買って帰って、自宅で飲んでみようと思う。
(飲んでみた。ティーバックになっていて便利だし、レモングラス入りで熱いより冷めたほうが味がはっきりしておいしかった)

こういう葉っぱの形状のまま売られているお茶もあった。見た目もいい感じ。

森田さんは無農薬のオリーブ、みかんも栽培しているらしい。またいつか会えたらいいなと思う。

タネトの日替わりランチプレート

13時半を回り、だいぶお腹が空いてきた。
ひとまず橄欖茶のお会計を済ませ、ランチをいただくことにした。

今日のメニューはこちら。

令和3年12月17日 タネトのパンランチ <大雪>
▶︎トミガワベーカリーのパン
|諫早のトミナガベーカリーさんのバケットとカンパーニュ。蒸しています。スープに浸したり、おかずをのせたりして、愉しく召し上がっていただけたら。春菊とひじきの組み合わせや人参サラダとカツをのせたり、様々にたのしいオープンサンドをどうぞ!
▶︎パンに合う在来種とスパイスの味噌スープ
|40年無農薬の岩崎さんの玉ねぎをじっくり炒めて、同じく岩崎さんの源助大根とその菜っ葉たちと。土鍋でじっくり煮込み無添加の味噌・白みそ・醤油、スパイス類と。だしは、昆布といりこ、そして江迎の子豚の頃から完全放牧という全国でも大変希少なのびのび暮らせる豚くんたちの豚脂をごく少々です。
▶︎平飼い卵のオムレツ
|タネト人気の、日本でも希少な放牧、のびのび育つ鶏の卵。みずみずしいおいしさです。堀川さんのサツマイモやしらす、黒ごまが入っています。
▶︎ひじきのソテー
|栄養たっぷりのひじき。実はたんぱく質も豊富です。軽く茹でオリーブオイルと赤バルサミコとソテー。
▶︎トーフカツ
|15分以上塩蒸しした豆腐をカツに。衣にかえるすたいるさんの中強力粉を用いています。味噌をベースのソースをつくりました。
▶︎在来種のフライ
|岩崎さんの黒田五寸姫人参、万木(ゆるぎ)赤かぶをフライに。塩だけでとてもおいしく、受け継ぎたい味です。
▶︎スチーム在来種
|岩崎さんの弘岡カブ、長崎赤カブです。塩だけでこちらもとてもおいしいです。塩は奥能登のお塩です。
▶︎春菊のサラダ
|岩崎さんの春菊を、弘岡カブとサラダに。本多木蝋さんのごま油をベースにドレッシングをつくり、隈部さんのゆずを利かせました。んまか塩とゴマを散らして。
▶︎人参サラダ
|岩崎さんの黒田五寸姫人参。丁寧にスライスして、奥能登の塩、長崎県名産椿油、黒コショウ、煮詰めた白バルサミコと隈部さんのスイートスプリングの果汁で。

 市場の0.5%に満たないオーガニックや農薬不使用。在来種の種取り野菜は、さらにその1%以下と二万分の一の存在で、農家さんの腕ならではです。
調理はすべて職人さんたちによる伝統製法の調味料です。存続が難しくなっていますが、とてもおいしく、ミネラルや栄養の宝庫、かつ塩分や油脂が多すぎた場合は体外に排出されやすいといわれています。「塩分のとりすぎ」などの御懸念なく、召し上がっていただけます。
今日もタネトにありがとうございました。
どうぞ佳い一日ですように。

タネトのメニュー

これだけで、おいしそうでしょう?

写真で見る前に、一度じっくりメニューを読んでいただきたい。簡単に書いてあるけどこのメニューが出来上がること自体、ミラクルなことだろう。

手前のお味噌汁が、ほんのり豚汁の風味で甘く寒い日に染みた、、。

どれも本当に素材の味わいが生きていておいしかったが、とくに私は春菊の魅力に引き込まれた。しっかりとした濃い味わい。シャッキリとした葉のたくましさとあっさりとした苦味。鍋でしか食べてなかった春菊にごめんなさい。生、いいです。 それから卵のオムレツ。奥のパテのようなビジュアルのもの。ジューシー!なんだ!出汁がじゅわっと滲み出て、いろんな野菜が混ぜ込んであっておいしいったら。冷やしているので味が締まっていて食べ応えも◎。そして在来種の黒田五寸人参、カブ……どれもうまい。サクサクのフライに包まれた人参の甘み。カブのしっとり感。ブレッド類も、酵母の奥深く複雑な味と香りがどのおかずとも調和していた。

午後にはだいぶ野菜が減っていた。お客さんが絶えない人気の直売所だ。

どうですか?
タネトに行きたくなったんじゃ〜ありませんか?

奥津さんは(典子さん)、ちょうどテレビの撮影の対応で忙しそうだった。食事後に少し話したのは、タネトにインターンとしてお手伝いに来ているという、大阪のケンタくん。実家が八百屋をやっているそうだ。八百屋を継ぐ予定で、タネトの存在を知って興味を持ち1ヶ月の研修に参加したのだという。「ここは日本でも最先端の直売所ですよね」と同じ認識を分かち合った。

ここは、日本や海外からも注目される、されるべき場所なんだと思う。

農家さんたちは、それぞれ自前の野菜や加工品を持ち込んで、自分たちで値札シールを印刷し(印刷機械がある)、値段を貼って、並べていた。好きなところに置いて、不具合あればお店のスタッフが適所に移動させる。阿吽の呼吸、というか自然なシステムができていて不思議な安心感がある。フラット、平等。そしてほぼ無農薬、オーガニックなのだ。改めてすごいことだと感じた。

タネト外観。ほそーくながーい。

丁寧に懸命につくられるもの、四季折々、季節に逆らわずに育てられたもの。それは決して大きな利益(お金)にはならないけれど、細く長く続けることで私たちの暮らしやそのベースにある地域、地球の環境に有益なものになっていくんだろう。

今日も一日ありがとう。と、言ってみたくなった。

そして福岡まで4時間かけて無事、帰路に着きましたとさ。(峠越えは吹雪!)☃️


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