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140字小説【背中のゼンマイ】

背中のゼンマイが戻りきると命は尽きる。妻が出ていく前は毎日お互いのゼンマイを巻いていた。死に場所は妻と出会った公園。年老いて背中に手の届かなくなった僕はベンチに横たわり瞼を閉じた。結婚詐欺に遭い深く絶望した妻が死に場所を求め公園にやってきた。「今度はゼンマイが切れるまで離さない」

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