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SS【夜明け前の告白】450字

夜明け前に目が覚めた。死刑執行の日が当日の朝に伝えられるという噂が頭をよぎる。僕は強盗殺人の冤罪で死刑囚になってしまった。あと数時間で、僕は死ぬかもしれない。

最後に親友に会いたかった。何度も面会に来て僕を励まし、無実を信じ、待ってくれている親友だ。

部屋の隅に佇むわずかな光が、窓を通して夜明け前の静かな空気を感じさせる。恐怖に震えながら、僕はぼんやりと部屋の天井を見つめていた。

重い扉の音が聞こえ、心臓が跳ねる。入ってきたのは、僕の弁護士だった。彼は落ち着いた様子で、「これを見てください」と、僕に一枚の書類を差し出す。そこには、僕の無実が証明された新たな証拠が記されていた。

「これで僕は救われるんですか?」と尋ねると、彼は微笑んで、「もちろんです。あなたは無事に釈放されます」と語った。

しかし、彼の表情が突如として陰り、「ただ、一つだけ注意しておくべきことがあります」と言う。彼は深刻な表情で答えた。

「この証拠の提出により、ある人物が新たな犯人として捕まりました。その人物とは、あなたの親友です」

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