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SS【最後の戦い】271字

俺がこれ以上苦しまないように、いつでも逃げられるようにと、家族が自ら命を絶ってしまった。

コロシアムに雷鳴が鳴り響き、冷たい雨が涙を隠した。一度入場すれば殺すか殺されるか。鉄の剣を手にし、憎くもない相手と戦わなければならない。拒否すれば殺され、家族も無事では済まされない。だから俺は戦ってきた。

本当に殺したいのは観客席に座る狂った悪魔のような王ただ一人。

勝利後、怒りを込めて投げた剣は空高く弧を描いたが、悪魔の王に掴まれてしまった。悪魔は俺を見下ろしながら声高らかに笑った。すると避雷針となった剣に奇跡の雷が降り注いだ。

狂王の時代は終わった。


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