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SS【果実の記憶】283字

深い森に囲まれた魔法使いの村、彼らの隠れ里だ。ぼくはそこにあると噂される不老不死の霊薬を求めてやってきた。余命の短い彼女のために、わらにもすがる思いだ。

森に隠れた魔法使いの村には、九つの秘密がある。不老不死の霊薬を求めて、ぼくはその謎を解き明かしてきた。しかし、霊薬の秘密だけが手に入らない。彼女の余命は少ない、だからぼくはあせっていた。

ある夜、星空の下でふと思い出した。大昔、初めて村に来た時に飲んだ果実のジュース。その甘美さ、そして胎内で守られている赤子が覚えるような安心感。それが霊薬だったのだ。彼女が短命なのではない。

ぼくが長生きしすぎている・・・・・・。


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