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8歳にも衝撃を与えるインパクト。吉村芳生展@京都

「これ写真に見えるやろ?実はな、色鉛筆で描いてんねん」
「えっ……?!(ポロッと歯ブラシを落とす)」

というマンガのような反応をしてくれた8歳娘が見ていたのは、京都駅ビル7階の美術館「えき」KYOTOで開催中の、吉村芳生展で買ったポストカードだ。

山口出身の画家・吉村芳生さんの作品は、細密系/写実系絵画が好きなわたくしにドンピシャだった。写真ではなく、写真を「原材料」として、黒鉛筆や色鉛筆で書き写したり、版画にしたりといったスタイル。

…こう書くとあっさりすぎるけど、例えば右端で見切れている車の絵は、ちっちゃいマス目ごとに10階調の濃淡をつけたエッチング技法でめちゃめちゃ細かい。色つきのコスモスと藤は、「120色」の色鉛筆で描いている。

展示会場で、顔を近づけて見ると、確かにマス目の斜線や、色鉛筆の細い筆致を目の当たりにすることができる。どの作品も、細かい細かい細かい作業の圧倒的な積み重ねすぎて頭おかしい(失礼)。でも意味はわかる。よっぽど変な人じゃないと実際やらないでしょ…と思われるやり方をやり続けて、圧倒的な存在感を見せている。新聞の一面に自画像を書くのを何百日と続けた… という作品も圧がすごい。

広告の「これ、鉛筆画です。」というコピーはストレートだけど端的にすばらしい選択だと思った(新快速の車内広告でたまたま見て、いいやん!と大面ってそのまま立ち寄った)。8歳でも余裕で分かる。お昼休みの時間帯、会場は高齢の方がほとんどだったけれど、週末は子どもも大勢来るのではないか。

娘はポストカードを見ながら説明を聞いて「行ってみたい!」と申しておるので、早速日曜に再訪しようと思う。娘は車の作品がお気に入りで、離れてみたり(ほぼモノクロ写真に見える)、目を近づけてみたり(マス目が際立ってすごい違和感が出る)して遊んでいた。

展示内容は、下記の美術手帳の記事で非常に詳しく紹介されている(東京での展示とほぼ一緒)なので、見てみてほしい。京都の会期は、6/2まで。


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