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道の駅「飛鳥」車中泊禁止看板撤去撤回


 「公共施設を利用するときは管理者の言う通りにしなければならない。」
多くの場合はそうかも知れません。しかし、一概にそう思い込むことは危険です。
 奈良県の道の駅飛鳥は、施設管理者である明日香村が車中泊を禁止し、看板を立てていました。しかし、にんにんさんの地道な説明や交渉の末、車中泊禁止看板撤去撤回をしました。そして明日香村村長から公式に謝罪と看板訂正の文書が届きました。禁止事項として「車中泊」という表記はなくなり、「宿泊場所として利用すること」に変更されました。もともと道の駅飛鳥の規則は、道の駅が開設される半年前から明日香村の条例で決められており、禁止事項として「車中泊」が書かれていました。その文言が「宿泊場所として利用すること」に改められたということです。にんにんさんが、条例を改めさせたということです。道の駅飛鳥の施設管理者は奈良県の明日香村という地方自治体です。公(おおやけ)である地方自治体の言うことにも、とんでもない嘘があるという大きな問題の存在を、にんにんさんの活動で初めて気づいた人も多かったのではないでしょうか。私もそうです。にんにんさんの行動が「皆に気づきを与えた」ということが、この問題を浮き彫りにしました。これはにんにんさんの最も重要な功績だと思います。
 多くの善良な人には「郷に入れば郷に従え」という道徳観があり、道の駅を無料で利用するのであれば、その道の駅の施設管理者の意向や価値観に合わせた行動を取るべきだと思うでしょう。ところが、その道徳観を利用して、車中泊を禁止し、車中泊すれば施設管理者の権限で過料という強制力のある罰則まで科すことを決めてしまった。そんなとんでもない地方自治体の条例や自分勝手な独自ルールを決めて管理運営する道の駅が現実にあったわけです。そんなことをすれば本来の道の駅の要件を満たさないことになります。
 例外的に瀬戸大橋記念公園のように、夜間に暴走族のたまり場になって管理上の問題が生じた場合は特別なルールが決められている場合もあります。その場合も利用制限など道の駅のコンセプトにかかわることをしたいのなら、施設管理者は国交省に対策の方法を上申する立場にあり、国交省が認めた範囲で、夜間利用の制限をすることになります。(上申という言葉は上の立場の人に事情や意見を言うという一般的な意味で使っています。)当たり前ですが国交省は道の駅の登録を認めたり抹消したりする権限があるので道の駅の施設管理者よりも上の立場です。施設管理者が事情により、登録要件にかかわることを変更したい場合には、国交省に事情や意見を説明して認めてもらった上で変更することになります。なのにあたかも施設管理者に大きな権限があり、施設管理者が都合の良いようにいくらでも独自のルールを決めてよいようなことをもっともらしく言う人がいますが、そんなことがまかり通れば、もはや道の駅は公共施設としての体(てい)をなしません。
 誤解の無いよう念のために言いますが、国交省と施設管理者の関係は発注者と受注者のように対等な関係ではありません。受注者は発注者が注文した物を作り、発注者はその対価を支払う。両者は対等の関係です。それが対等でないならば公正な取引とは言えません。ところが国交省と管理者の関係はそういうものではありません。道の駅は一般道路の休憩施設という機能を果たすことが基本的なコンセプトですので、広大な駐車場や高級ホテル並みに美しいトイレなどは公共施設として国交省など行政が作ります。出来上がった施設の管理運営つまり、経営は大半が地方自治体や民間が行います。施設管理者つまり道の駅の経営者にとって数億から数十億という莫大な初期投資が不要なのです。初期投資の回収が不要であるという事は経営上非常に大きなメリットです。しかし、初期投資を行政が行うということは、行政の意向にそった多くの制約があるということです。当然のことですが、国交省はお金を出したのだから口も出すということです。特にコンセプトにかかわることを施設管理者が独断で変更することはできません。私はそのことをわかりやすく言うために運営上の意思決定においては国交省が上の立場であり、施設管理者は下の立場であると言いました。それは当然です。施設管理者はお金を出してもらった代わりに国交省の方針に沿わないことを独断でやることは許されません。あたかも管理者に大きな権限があるかのような風説の流布が散見されますが、そのようなことはありません。道の駅飛鳥に代表されるように施設の管理運営者が地方自治体という公(おおやけ)であっても例外ではありません。
それでも
「利用者は管理者が決めたルールを守ればよいだけ。」
「利用者は管理者に意見できる立場にない。」
「管理者が間違っているなどと言っても何の説得力もない。」
という人がいますが、にんにんさんの活動の結果を見れば答えは明らかです。にんにんさんは、これまでに全国165箇所以上の道の駅に対して施設管理者が独自ルールで表記している「車中泊禁止」の看板やチラシなどについて、国交省のコンセプトに照らしてして不適切であることを説明し、撤去撤回をすすめてきました。にんにんさんが根拠もなくクレームを付けているノイジーマイノリティであるならば、絶対にこのような結果にはなりません。この結果を見て説得力が無いと言える人は現実を見ていないとしか言いようがありません。


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