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君と僕

 嫌いだと意識しながら、その奥では心がべったりとくっついてしまっていたんだ。

 心と僕との乖離かいり。僕を離れた心が向こうとくっついていた、ということ。
 それで、嫌だと意識したものですら、心が離れられなかったのである。

 それは、心が悪かったという意味ではない。
 その心を遠ざけていたのは僕だ。
 僕へと近付けなかったこの心は、別なる拠り所を求めるしかなかった。
 ここに、心と意識との乖離が起こったのであった。

 それがかつてのこと。

 今、きっとここまで引き寄せられた。
 心たる君と、意識たる僕との一致は起こる。

 融合してしまうことではない。
 異なりながらも同一 ―― その謎かけが解明されるのだ。

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